救命救急センター等での歯科医研修問題について:

メーリングリストを通じた論議

★この問題について、皆様のご意見をお待ちします。★

ウェブ責任者:愛媛大学医学部救急医学 越智元郎


救急医療メーリングリスト(eml-nc)での論議より 【非公開ゾーンへ】


【公開ゾーン】

救急医療メーリングリストならびに医療改善ネットワークでの論議より


From: 越智元郎(愛媛大学医学部救急医学)
Date: Sat, 12 Jan 2002 18:07:25 +0900
Subject: [mi-net.13200] Re: 13194 歯科医の専門外医療行為

 Aさん、・・さん、岩岡さん、皆様、愛媛大学の越智です。

 現在、厚生労働省は歯科医が医科領域の患者において救急や麻酔の研修を
することは違法(医師法違反)と取れる見解を出しています。これを受けて
市立札幌病院救命救急センターで救急の研修を受けた歯科研修医3人と救命
救急センター長が「書類送検」されました。

 全国の大学医学部附属病院でも沢山の歯科医師が麻酔科研修を受け、麻酔
指導医の指導下に歯科領域以外の全身麻酔も担当しています。全国の麻酔科
科長と歯科研修医も医師法違反で処罰されるのでしょうか。今後、蘇生処置
をほとんど実施したことのない歯科医によって、局所麻酔薬や抗生物質の投
与(アナフィラキシ−ショックがおこり得ます)や歯科領域の全身麻酔が行
われることになりますが、これによって国民は何を得、何を失うでしょうか。
決して国民のためにはならないと思います。

――――――――――――――
救命救急センター等での歯科医研修問題について
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/02/shika.htm
――――――――――――――

 皆様のご意見をお聞かせいただければ幸いと存じます。

Aさんは書きました(mi-net.13194):
><歯科医の専門外医療行為問題で家宅捜索>
> 市立札幌病院の救命救急センターが、歯科医師免許しか持っていない研修医に専門
>外の医療行為をさせていた問題で、道警は12日、病院の家宅捜索を行い関係書類を押
>収しました。この問題は、市立札幌病院の救命救急センターが1996年から2000年まで、
>歯科医師免許しか持っていない歯科口腔外科の研修医4人を当直につかせ、専門外の
>医療行為を行わせていたというものです。札幌市は10月、医師法違反の容疑で研修
>医4人を刑事告発していました。道警は今回の捜索で、カルテなど関係書類を押収。
>今後関係者から事情を聴くとともに、告発された研修医以外に関わった者がいないか
>も視野に入れ、捜査する方針です。
>
>*歯科(研修)医が医科全般の麻酔(研修)を行うことは法律的に違法でしょうか?

From: "岩岡秀明"(セコメディック病院内科) 
Subject: [mi-net.13202] Re:歯科医の専門外医療行為
Date: Sat, 12 Jan 2002 18:39:22 +0900

越智さん、Aさん、・・さん、みなさん、こんにちは、岩岡@千葉市の内科医です。
越智さん、たいへん重要なご意見ありがとうございました。

越智さんwrote.
>  全国の大学医学部附属病院でも沢山の歯科医師が麻酔科研修を受
> け、麻酔指導医の指導下に歯科領域以外の全身麻酔も担当していま
> す。全国の麻酔科科長と歯科研修医も医師法違反で刑を受けるので
> しょうか。今後、蘇生処置をほとんど実施したことのない歯科医に
> よって、抗生物質の投与(アナフィラキシ−ショックがおこり得ま
> す)や歯科領域の全身麻酔が行われることになりますが、これによ
> って国民は何を得、何を失うでしょうか。決して国民のためにはな
> らないと思います。

はい、私も、越智さんのご意見にまったく同感です。

私も、勤務先の麻酔科医に聞いてみましたが、「従来から歯学部には歯科麻酔という分野
があり、歯科医師も麻酔科指導医の指導下で麻酔科研修を受けて、全身麻酔を担当してい
る。」とのことです。これは全国で「ごく当たり前のこと」としてずっと行われてきてい
る、とのことです。

もし、警察が「今回の事例は、歯科医師を救急センターのスタッフとして当直業務に従事
させて、通常の医師と同様に救急医薬品の使用や外傷の処置等の医療行為をさせたことが
医師法違反だ。」というのでしたら、そもそも「歯科医師が麻酔科や救急部で研修する意
味が無い」と私は思います。
その理由は、歯科医師が手術室で気管内挿管や術中管理等の指導を受けても、実際に当直
やICU業務に従事して救急医療の「現場」でも研修しなければ、「実戦では役立たな
い」からです。
なお、この発言は、決して「手術室での気管内挿管や術中管理等の指導・研修」を軽視し
ての発言ではありませんので、どうかその点はご理解ください。私の言いたいことは、
「それだけでは不十分でしょう」ということです。

警察がどうしても「医師法違反だ」と言いはるのでしたら、国民で議論をした上で早急に
「医師法を改正すること」が重要だと考えます。

特にコンシューマーのみなさん、いかがでしょうか?
是非、ご意見をお聞かせください。


岩岡秀明
Iwaoka Hideaki M.D. Ph.D.
http://www15.u-page.so-net.ne.jp/gd5/iwaoka/iwaoka1.htm

From: "岩岡秀明"(セコメディック病院内科) 
Subject: [mi-net.13221] Re:歯科医の専門外医療行為
Date: Sun, 13 Jan 2002 09:26:02 +0900

越智さん、みなさん、こんにちは、岩岡です。
貴重な議論ありがとうございます。

みなさまの議論を参考に、今回の問題の論点を私なりに整理してみました。
私の意見、考えは、越智さんとほとんど同じだと思います。

「歯科医師が、麻酔科指導医の指導下で全身麻酔の研修を受けること、そして、歯科・口
腔外科領域の麻酔を実施すること」に関しては、大きな異論は無いように思えますので、
以下、「歯科医師が研修医として救急医療へ参加することの是非」について考察してみま
した。
おかしな点、間違っている点がございましたら、どうぞご指摘ください。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1 まず、基本的な前提条件として、歯科医師が「業として行う診療行為」と「(医科)
研修の一環として行う診療行為」とは、きちんと区別して考える必要がある。

2 「業として」は、当然、医師と同様な診療行為は出来ない。

3 「研修の一環」として、かつ「指導医の指導、指示の元」で、歯科口腔外科領域以外
の診療行為をすることは、必要かつ可能であろう。その理由は、越智さんが詳しく書かれ
ておられるように、通常の歯科診療中にも発生しうるアナフィラキシー・ショックや急性
心筋梗塞等の救急の病態に、迅速かつ適切に対応できるだけの知識と技術を習得しておく
必要があるからである。そして、上記を目的とした研修としては、「歯科、口腔外科領域
の救急疾患に限定した研修」だけでは、不十分だと言えよう。

4 ただし、かりに指導医が不在、または後追いで確認するような形で、事実上、歯科医
師が「単独で」診療行為にあたっていたとすれば問題であるし、その点は至急改善されな
ければならない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Eさん、Dさん、Gさん、みなさん、いかがでしょうか?
今回の事件は、4の検証が一つのポイントになるかと思います。

岩岡秀明
Iwaoka Hideaki M.D. Ph.D.
http://www15.u-page.so-net.ne.jp/gd5/iwaoka/iwaoka1.htm


From: "岩岡秀明"(セコメディック病院内科) 
Subject: [mi-net.13235] Re:歯科医の専門外医療行為
Date: Sun, 13 Jan 2002 16:03:55 +0900

みなさまこんにちは、岩岡です。

今回、問題になっている市立札幌病院に関する基礎情報です。
議論の参考にされてください。

全国でも有数の規模の臨床研修指定病院です。
下記サイトに臨床研修システムの概要(指導医数等)が掲載されています。
http://stream.pmet.or.jp/docs/search/html/00200.htm

病院のホームページです。
http://www.city.sapporo.jp./hospital/


岩岡秀明
Iwaoka Hideaki M.D. Ph.D.
http://www15.u-page.so-net.ne.jp/gd5/iwaoka/iwaoka1.htm


From: 石原 晋(県立広島病院救命救急センター)
Subject: [eml-nc2: 0104] Re:  歯科医の・・(mi-netより)
Date: Sun, 13 Jan 2002 19:02:27 +0900

石原晋@県立広島病院救命救急センターです。

市立札幌病院救命救急センターでは常時4人一組の医師チームで救急診療にあたって
おり件の歯科研修医は、そのチームの一員として研修していたものです。それぞれの
チームには当然指導医がおります。その他にも常時、duty外の医師がごろごろしてい
ます。ひとたびドクターカー出動の指令がかかれば、我先にと救急車にかけつけます。
指導医のほかには先着1−2名の研修医しか乗せてもらえないので、遅れてはならじ
と走るのです。市立札幌病院救命救急センターは私どもの業界ではトップクラスの施
設です。私も同じ自治体病院の救命救急センターに身を置く救急医として見学に行き
ましたし、常々お手本として、市立札幌のシステムを勉強し続けてきました。岩岡さ
んが指摘された「歯科医師が単独で医科診療行為にあたる」ようなことはありえない
救命センターです。そのことを前提に以後のご議論をいただければと思います。とい
うよりもこのような問題がないのであるから、本件には違法性も非倫理性もないとい
うことでしかありません。

歯科口腔外科医はもちろん、歯科医師一般について診療に関連して発生しうる危機に
対応する知識・技術はその専門性に付随すべきものです。そうでなければ安心して歯
科受診できません。私は歯科治療を受けている最中に気分不良になったことがありま
す。薄れ行く意識のなかで、処置台を水平にし、点滴をし、血圧を測定し、昇圧剤を
投与する歯科医師の処置や指示の適切さに安堵したことを憶えています。この歯科医
は3ヶ月間の医科麻酔科研修の修了者でした。歯科医師が医科麻酔科や救急部門で研
修することは必須のことです。これは歯科口腔外科医、麻酔科医、救急医にとって異
論のないところでしょう。異論があるとすれば、その根拠は「保身」ということしか
考えられません。

本件では、札幌市からの疑義照会に対し「厚労省医事課」は「歯科医師が医行為を業
として常態的におこなうのは医師法違反」としか回答しておらず、疑義の焦点である、
「研修」が「業」であるのか否かの問いに答えていないことが問題です。怠慢あるい
は逃避と言われても仕方がないのではないでしょうか。


From: "岩岡秀明"(セコメディック病院内科) 
Subject: [mi-net.13256] Re: 歯科医の専門外医療行為(emlより)
Date: Sun, 13 Jan 2002 20:38:49 +0900

みなさまこんばんは、岩岡です。

石原さん
> 市立札幌病院救命救急センターでは常時4人一組の医師チームで救急診療にあたって
> おり件の歯科研修医は、そのチームの一員として研修していたものです。それぞれの
> チームには当然指導医がおります。その他にも常時、duty外の医師がごろごろしてい
> ます。ひとたびドクターカー出動の指令がかかれば、我先にと救急車にかけつけます。
> 指導医のほかには先着1−2名の研修医しか乗せてもらえないので、遅れてはならじ
> と走るのです。市立札幌病院救命救急センターは私どもの業界ではトップクラスの施
> 設です。私も同じ自治体病院の救命救急センターに身を置く救急医として見学に行き
> ましたし、常々お手本として、市立札幌のシステムを勉強し続けてきました。岩岡さ
> んが指摘された「歯科医師が単独で医科診療行為にあたる」ようなことはありえない
> 救命センターです。そのことを前提に以後のご議論をいただければと思います。とい
> うよりもこのような問題がないのであるから、本件には違法性も非倫理性もないとい
> うことでしかありません。

はい、おっしゃるとおりですね。
私は、このご回答で、もうこの議論は終了ではないかと思いますが、いかがでしょうか?
先に私があげました論点の4に問題が無いとすれば、厚生労働省は、単に「歯科医師は、
たとえ研修の一環として指導医の元であっても、救急医療行為をしてはならない」と言っ
ているだけに過ぎないと思います。その理由は単に「歯科医師である」という一点だけで
す。
Aさんも書いておられるように、「救急には歯科も医科も無い」と思います。

国民が安心して歯科医にかかれるようにとの思いから、すべての医師および歯科医師に救
命救急の研修をしてもらおうという救急専門医の真摯な努力を、単に法律の文言の杓子定
規的な解釈から否定しようとするような厚生労働省とは、断固闘うべきではないでしょう
か?
このような体制で一番困るのは、多くの国民だと思います。

岩岡秀明
Iwaoka Hideaki M.D. Ph.D.
http://www15.u-page.so-net.ne.jp/gd5/iwaoka/iwaoka1.htm


From: Genro Ochi
Date: Thu, 07 Feb 2002 19:48:17 +0900
Subject: [eml-nc2: 0496] Re: 0493 市立札幌病院 救急医が記者会見(asahi.com)

 市立札幌病院 松原さん、皆様、愛媛大学の越智です。
先ほどの投稿への自己レスです。

〇
越智より(eml-nc2: 0493)―asahi.comより引用
> ただ、歯科医が診療に加わっていることを患者に十分に説明せず、理解を
>得ていなかったことなど、「反省すべき点はあった」と話した。

> これまで歯科医の医科研修にはガイドラインがなかったため、今回の事件
>を機に、日本口腔(こうくう)外科学会と日本歯科麻酔学会を中心にガイド
>ラインを策定する動きが始まっている。

 → 上記2点の視点を加えていただいてとてもよかったと思います。MI-NET
  の法曹家や市民の声を転送させていただき、またeml-ncでも論議した甲
  斐がありました。この記者会見の情報に接した市民はきっと私共の味方
  になってくれると思います。

〇
> また、松原部長らの元には、全国の歯科医や救急医らから400通を超え
>る「不起訴要望書」が届き、弁護士を通じて地検に提出されているという。

 → eml-ncの皆様、有難うございました。

〇
>研修歯科医を派遣していた北大歯学部を中心に、不起訴を求める「支援する
>会」も8日、発足する。  (2/7)

 → 松原さん、あるいは情報をお持ちの方から「支援する会」の情報をいただ
  きたく、宜しくお願いいたします。

☆
 最後にeml-ncの皆様へ、

 メーリングリストという仕組みは公平無私であるべきですが、MLの各メン
バーはそれぞれに私見や思想を持ちます。MLの公平性とはある意見と、それ
に対立する意見の、その両方の意見表出が自由に行える(法やエチケットに
触れない限り)ということだと思っています。歯科研修問題に関して私の意
見は、一方に大きく傾斜していますが、これに構わず皆様からも様々なご意
見をいただきたく、どうぞ宜しくお願いいたします。

 それでは皆様、また。


Date: Tue, 12 Feb 2002 23:32:36 +0900
From: 松原
Subject: [eml-nc2: 0572] Re: 緊急メ−ル

松原@市立札幌です

 本日、起訴されました。数日前から、略式起訴で罰金でどうだという誘いが数
回ありました。2−3万円です。全く納得できませんでした。当初から、起訴か
不起訴かという考え方でした。歯科研修医が起訴猶予になったことは喜んでおり
ます。彼らは研修医だったのです。しかも病院が認めた人たちです。
 今回の検察の起訴理由は例の87号です。これからはこの87号との闘いで
す。歯科研修問題も大きな意味でのメデイカルコントロールだと考えています。
そのためには、歯科医師の医科での研修のガイドラインは必要だと考えていま
す。
 10年戦争が始まりました。今研修を引き受けている施設はびびることなく歯
科医師の研修を継続して下さい。上級医師の下で行う研修は業ではありません。
研修なのです。わたしはまだ有罪ではありません。だから起訴を選択したので
す。それがわたしの生き様だからです。皆様のご理解と、ご支援をお願いいたし
ます。


From: 石原
Subject: [eml-nc2: 0575]   起訴の選択
Date: Tue, 12 Feb 2002 23:32:35 +0900

石原晋@県立広島です
----- Original Message -----
> 松原@市立札幌です
>  10年戦争が始まりました。今研修を引き受けている施設はびびることなく歯
> 科医師の研修を継続して下さい。上級医師の下で行う研修は業ではありません。
> 研修なのです。わたしはまだ有罪ではありません。だから起訴を選択したので
> す。それがわたしの生き様だからです。皆様のご理解と、ご支援をお願いいたし
> ます。
ーーーーーーーーーーーーーーー
 この国のありようを問い、あえて自ら起訴される道を選択する松原さんに、鳥肌の
立つような感動と深甚なる敬意と、重ねての連帯を表明します。
10年戦争に参加します。
とりあえずは、乗りかかっている船、日本救急医学会理事会への働きかけを再開しま
す。


Date: Wed, 13 Feb 2002 01:18:42 +0900
From: 松原
Subject: [eml-nc2: 0578] Re:  松原さん。ありがとうございます。

松原@市立札幌です

 東京からの発信メールが「不起訴、もしくは起訴猶予」という内容でした。わ
たし自身もそうだろうと考えた時期もありました。しかし、現実はわたしに対す
る起訴でした。歯科研修医が起訴猶予になったのは不幸中の幸いです。
 わたし自身は降りかかった火の粉は振り払うというのが哲学です。でも決して
ゴリゴリの考え方ではありません。議論の中では妥協はします。しかし、今回の
この問題に対しては決して妥協するつもりはありませんでしたし、今もありませ
ん。実体を無視し、官僚的言辞を振り回す連中に妥協の余地はないのです。わた
しはまだ有罪ではありません。これから公判をとうして議論を深めていきましょ
う。歯科医の先生方のこの問題に対する怒りを集約していただければ、大きな支
援となります。よろしくお願いいたします。


From: "岩岡秀明"
Subject: [eml-nc2: 0593] Re:緊急メ−ル
Date: Wed, 13 Feb 2002 13:28:15 +0900

松原さん、越智さん、みなさまこんにちは、岩岡@千葉市の内科医です。

私は単なる一内科医に過ぎませんが、これからも松原さんを全面的にご支援させていただ
きたいと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

越智さん、「支援する会」に参加する方法をお教えください。

岩岡秀明


From: Genro Ochi
Date: Wed, 13 Feb 2002 17:03:56 +0900
Subject: [eml-nc2: 0598] Re: 0593 緊急メ−ル

 岩岡さん、皆様、愛媛大学の越智です。

岩岡秀明 さんは書きました(eml-nc2: 0593):
>私は単なる一内科医に過ぎませんが、これからも松原さんを
 全面的にご支援させていただきたいと思います。
>どうぞよろしくお願い申し上げます。

 → 私も同様の思いです。岩岡さん、皆様、宜しくお願いい
  たします。

>越智さん、「支援する会」に参加する方法をお教えください。

 → 私はまだ把握していません。わかりましたらeml-nc上、
  また「救命救急センター等での歯科医研修問題について」
  のホームページにも収載したいと考えています。


Date: Wed, 13 Feb 2002 21:21:33 +0900
From: 松原
Subject: [eml-nc2: 0607] Re: 0593 緊急メ−ル

松原@市立札幌です。

 昨日以降、皆様からの暖かいご支援を感謝いたしております。
(中略)
支援する会については今回の起訴がわたし一人となりましたので
(これはよろこんでいますー研修医が起訴されなかったのは本来の研修を行って
いた証拠ですから)、歯科研修を守るが主体ではなく、松原を支援することが歯
科研修を守り、育てるという主旨に変えていきたいという要望がありますのでそ
のように変えていきたいと思います。調整を行った上で正式にお知らせしたいと
思っています。


From: 岡野谷 純(日本ファーストエイドソサエティ)
Date: Wed, 13 Feb 2002 20:48:11 EST
Subject: [eml-nc2: 0621]  Re:緊急メ−ル

松原先生、 皆様、 岡野谷@JFASです。

このたびの松原先生の「起訴に及んだ」事件、とても残念です。どうして
国民の利益のために開催されている「研修」が事件と評価されるのか甚だ
疑問です。
松原先生ご自身が起訴(つまりグレーではなく白を勝ち取ること)を望まれた
ということを伺い、微力ではありますが、「罪無し」を目指して、市民の立場
からの支援をさせていただきたいと思います。

私には、諸先生方のように「松原、潔し」と評価できるバックボーンはあり
ません。医師免許あり、ご家族あり、お仕事ありの人生に優先してこの闘い
に挑まれるのです。ご家族の皆様のお力添え、ご心労を支えていくことも
重要な支援活動になるかと存じます。

国民は「安心して」歯科に掛かることができなければなりません。
しかし、民としての権利を守るためには、自分で選択しなければなりません。
そうした目で、国民の力・声を厚生省に向けていくことが、松原先生への
援護射撃になれば幸甚です。

岡野谷@JFAS 拝。


From: 岡野谷
Date: Wed, 13 Feb 2002 21:02:02 EST
Subject: [eml-nc2: 0622] 歯科研修医の件(質問と回答)

皆様 岡野谷@JFASです。

今回の歯科研修医の件は、国民の利益にもかかわる重要な裁判となります。
emlに参加させて戴いています市民として、この問題を広く国民に正確に
かつ、わかりやすく伝えていく努力をしてまいりたいと存じます。

先般、越智先生に「歯科の一般的な研修制度」につきご教示戴きました。
その際、越智さんから内容をeml-ncへ再掲すべし・・とのご提案を戴き
ました。纏まっていませんが、以下、私からの質問と、越智先生のご回答を
そのままご報告申し上げます。

( → 以下は越智さんからのご回答部分です。)

-------------------------------------------------------
(挨拶部は割愛します)


1)今回の研修を受けた「歯科医」の定義
  研修に加わった方々は、すでに歯科医の免許をお持ちの上、研修に参加
  なさったということで宜しいのでしょうか? ニュースを見ておりますと
  そのように受け取れます。学生ではない・・で宜しいでしょうか。

 → はい。歯科免許証取得者です。たしか麻酔科研修も終了した方々で
   あったとお聞きしております。

2)歯科医の研修の範囲
  一般に言う歯科医研修とは、「歯科医」の指導のもとで、歯科医に掛かる
  患者を対象にする研修なのでしょうか。

 → そうです。

  「医科の先生の下で歯科医が医科の研修を受ける」こと自体が法に触れるのか、
  今回の研修内容がたまたま法に触れるまでの大きな研修であったのか、
  切り分けができていません。(医政医発第87号の回答も拝見しました。)

 → 医政医発第87号は「医科の先生の下で歯科医が医科の研修を受ける」
   を不可としているように読めます。

3)他の病院(たとえば、東京では駒込病院など)でも、口腔外科に8ヶ月、
  麻酔科に2ヶ月の研修・・などと書かれて、歯科医研修を募集していますが、
  これも全て違法なのでしょうか?

 → これまでは違法という認識は持っていませんでした。松原先生が有罪
   になればそういう「判例」ができることになります。

4)歯科医は歯科クリニックに勤めた後、病院内でCPAに陥った患者がいた場合、
  気管内挿管をしても問題がない・・となっています(朝日新聞)が、これは
  事実でしょうか。全身麻酔もしますよね?? (笑気麻酔って全身ですよね)
  これも「歯科」のクリニック内ならばできる・・ということで、「医科」で
  やると違法である・・と、解釈すればよいのでしょうか。

 → 歯科治療中の心停止への対処や歯科治療のための全身麻酔は許されています。
   同じ治療が医科治療に関連して行われた場合は違法だと言われています。
   松原先生の主張は、医師の指導科に「研修」として行うことはこの限りでな
   い(違法でない)ということです。

5)今回の研修は医科・歯科合同で開催されているのだと思いますが、研修とは
  業として行なうことと、切り分けをすることはできないのでしょうか。

 → それが松原先生の主張です。

  もし、研修が「業」と判断されるのであれば、学生時の研修も同様に「業」
  となってしまいませんか。

 → 厚生労働省は学生は見学だけにせよ、といわれんばかりです。

6)国民としては目の前の「先生」が「無資格」であっては喜べないのですが、
  大学病院でも市民病院でも「医師の指示のもとに研修生がいる」ことは理解
  しています。今回は「研修生である」ことを明確にしていたのでしょうか。

 → そうではなかったようです。そのことが反省点の一つであると、松原
   先生も先日の記者会見で述べられたようです。


以上です。
今後もeml上で、皆様のご助言を賜りたく、よろしくご指導のほどお願い
申し上げます。 岡野谷@JFAS 拝。


From: "Masanao Tsuda" 
Subject: [eml-nc2: 0626]  Re: 市立札幌病院、歯科研修医の件
Date: Thu, 14 Feb 2002 14:47:59 +0900

津田@高知県(歯科医師)です。

1月18日北海道歯科医師会会長 永山 一行 先生から
各都道府県歯科医師会長宛に
「市立札幌病院研修医問題への支援について(お願い)の書が届きました。

残念ながら、当時の高知県歯科医師会の状況は
この問題には反応が鈍い(最優先されていない)様子でした。

かた田舎の高知県も歯科麻酔(歯科治療における全身管理)に関しては、
まだまだという状況であり、
麻酔研修された歯科医師も少なく、
先生方のお力になれる方法に思案しておりました。

結局、小生、単独一人の行動ではありましたが、
高知県歯科医師会長に直接、この件に関し問題提議することで、
なんとか優先順位を上げることができ、
5日後の1月23日には北海道歯科医師会へ「要望書」を送付できました。

昨日までの結果は、「不起訴,起訴」という次の段階に進みましたが、
高知県歯科医師会長の許可も得ましたので
「要望書」内容を公表させて頂きまして
他府県の歯科医師(会)の先生方の益々のご協力が得られればと
思い送付させて頂きました。
そして、日本歯科医師会が歯科界需給問題だけでなく
歯科医師会員の医療、保険点数等々の抜本改革の礎になればと思っております。


「要望書」
 歯科界に於いては,歯科医学の進歩発展に伴い,
今や全人格的医学,医療を考え歯科医療が行われております。
我々は歯科臨床家として患者の立場に立って病状等
そのケースバイケースに,それぞれの学識経験を生かして
真の医療に取り組んでおり、
このことにより歯科の全身的かかわりの重要性が見直され、
厚生労働省認可による、8020財団などが設置され、
咬合状態に起因する全臓器への影響等の研究が進められております。
 現今の医療制度の充実に伴い,
老人医療,介護保険,重度身体障害者医療、乳幼児医療、訪問診療医療等々への
歯科医師活動が益々拡がっております。
 この様な多岐に亘る歯科医療を行うためには
当然,緊密な医科歯科の連携が必要であることは言うまでもありません。
 口腔の健康と全身的な健康状態を考察し,
患者に安全で質の高い口腔治療を提供するためには,
全身状態の把握ならびに緊急時の対応方法などについての
知識,技術を習得することは不可欠であリます。
この様な背景の下、全国的に医科歯科連携の研修が押し進められています。
同様に市立札幌病院に於いても歯科医師の救急医療研修の重要性を考え,
歯科研修を受け入れてこられたことに感謝致しております。
 今回,市立札幌病院に於いて救命救急センター部長指導のもとに
研修中の三名の歯科医師が研修の一環で行った医療行為について
医師法違反に当たる疑いがあるとの容疑で告発され,札幌地検に送検されたことは
歯科医学の進歩発展を阻害する恐れがあり、又国民にとって大きな損失となりかねま
せん。
 貴職におかれましては,現今の歯科医療守備範囲をご考慮頂き、
特段のご配慮を賜わりますようお願い申し上げます。

   平成十四年一月二十三日

    札幌地方検察庁
      検事正 桜井 浩 殿
                       高知県歯科医師会長 恒石定男














■救命救急センター等での歯科医研修問題について