漏斗胸に関する情報をわかりやすく説明いたします。
ぜひご来院いただく前にお読みいただき、参考にしてください。
胸の形が凹んでしまう病気です。約1000人に一人程度の割合で起こるといわれています。成長に伴ってひどくなってくることもあります。原因ははっきりわかっていませんが、肋軟骨の成長が他より早く成長するために漏斗胸になると考えられています。
漏斗胸では胸のへこみにより、肺活量が通常より少ない方もいますが、日常生活や運動への影響はそれほどないようです。
また健康診断などで心電図異常を指摘されることがありますが、心臓の機能に影響があることはあまりありません。
日常生活に支障がなく過ごせていれば治療を急ぐ必要はありません。本人が見た目などを気にしていなければ様子をみても大丈夫です。成長とともに凹みが進行するかどうかは個人差があります。
喘息などの内科的な病気とは関係はありません。
一般的には子供なら小児外科、大人なら形成外科か呼吸器外科(胸部外科)で扱われます。慶應義塾大学病院では漏斗胸専門外来を開設しています。まず漏斗胸外来を受診していただき、個人に応じた治療について対応します。
漏斗胸外来は 火曜午後 呼吸器外科外来 予約制 です。
漏斗胸に関するお悩みは、まず漏斗胸外来を受診していただきます。慶應義塾大学病院で治療が必要となった場合、15歳以下は小児外科で治療をすることになります。
凹みの度合いを正確に知るためCTを撮ったり、心肺機能を測定したりします。ある程度以上の方は治療の対象になります。
個人の事情に合わせ、相談しながら決定していきます。
・CT index > 3.25 (図のb/a)
・心臓や肺の機能が悪い場合
漏斗胸により明らかに心肺機能が低下している場合は治療の対象となりますが、不都合のある方はさほど多くありません。見た目の悩みが大きく性格的に内向的になったり問題を抱えるようでしたら治療の適応があるといえます。
大きい吸盤で胸を持ち上げる方法があります。軟骨が柔らかい子供では効果があるといわれています。慶應義塾大学病院では小児外科での治療となります。木曜午後の漏斗胸外来を受診していただき、適応があれば小児外科での治療が可能です。
なお、成人の場合は肋軟骨も硬くなってきますので、手術による方法をおすすめしています。
以前は「胸骨挙上法」や「胸骨翻転法」など軟骨と骨を切除し形成する手術が行われていました。この手術は何時間もの手術時間がかかり、術後は正常よりも硬直してしまったりすることがありました。慶應義塾大学病院では主に、胸にバーを挿入し形を整えるNuss法を行っています。
内視鏡を使い、左右の小さな傷からチタン製のバーを挿入し、体の内側から凹みを持ち上げる手術です。手術時間は2-3時間、手術の後は約1ヵ月で通常の生活に戻れます。バーは2-4年後に抜去します。
メリットとして、体の正面に大きな傷が残らず、従来の手術と比べて体に対する負担が少ないことが挙げられます。デメリットとしては、痛みや違和感が数ヶ月続くこともあることです。
手術の1-2日前に入院です。手術は全身麻酔で行います。手術は2-3時間です。数日は無理をせず動く練習をしていきます。
痛みが減り、日常生活が出来るようになったら退院です。退院までは早くて1週間くらい、2週間以内に退院出来ます。
手術をして6-8週間経ったら徐々に運動も出来ます。運動制限はありません。バーを抜くまでの数年は、接触するようなスポーツは避けていただきますが、バーを抜いた後は全く制限はありません。
漏斗胸の手術費用は保険適用で、3分の1がご本人の負担となります。
18歳以上の方については「高額療養費制度」の限度額申請が可能です。
また18歳未満の方については自立支援医療(育成医療)の申請をされれば、所得に応じて医療費補助が受けられます。
慶應義塾大学病院では漏斗胸専門外来を開設し、漏斗胸治療に取り組んでいます。