特定非営利活動法人 日本核医学技術学会 The Japanese Society of Nuclear Medicine Technology

  • 2024.11.7 |第44回 総会学術大会
    日 程 2024年11月7日(木)~2024年11月9日(土)
    会 場 パシフィコ横浜 会議センター、展示ホールA
        (神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)
    テーマ  築く・繋ぐ・核医学  

理事長あいさつ

日本核医学技術学会 理事長 山本 智朗

 2022年10月、本学会理事長を拝命しました。新型コロナウイルスによるパンデミックで学会活動は大きな変化に対応しなければならず、短時間で急速にWEB会議が広まり、学会や研究会などもかなり様変わりしてきました。このような仮想空間は会議や学会のみならず、医療現場や教育現場にも同時に急速に導入、発展しています。
 核医学の歴史をみると、1895年にWCレントゲン博士がX線を発見した翌年の1896年にベクレルやキュリー夫妻が放射能を発見し、1922年にヘヴェシーが放射性同位元素をトレーサーとして利用することで、様々な生物の代謝や機能の評価を可能にしました。その1世紀後の現在、SPECT/CTやPET/CT、PET/MRなどのモダリティを使用し、体内から放出されるガンマ線を体外から捉えて画像化、定量化を行えるようになり、自動診断や予後予測まで出来るようになりました。さらには、核医学内用療法が免疫学や遺伝学の要素を取り入れて急速に発展し、セラノスティクス(Theranostics=治療Therapeutics+診断Diagnostics)という時代に遷移してきました。そのため核医学分野は、医師に限らず薬剤師、理工学者、医学物理士、看護師、臨床検査技師、医療系企業、そして診療放射線技師がより多くの関係者と連携し、チーム医療として益々絆を強くしなければいけません。

 本会は、核医学診療における不可欠な医療スタッフとなるべきことを目指して「核医学診療における技術的基盤の確立」をビジョンにしています。そのために以下のことを事業目標に掲げています。

1. 専門性の高いライセンスの取得(核医学専門技師,医学物理士等)
2. 核医学初心者の教育
3. 財務の健全化
4. 各地方会との連携
5. 関係団体との協調(日本核医学会,日本放射線技術学会,日本診療放射線技師会等)
6. 国際交流(米国核医学会、欧州核医学会、豪州核医学会、アジア核医学技術学会、中国核医学会等)
7. 入会の促進

 診療放射線技師法が改正され、これからの診療放射線技師は、①造影剤を使用した検査や核医学検査のために、静脈路を確保する行為。②放射性医薬品を注入するための装置を接続し、当該装置を操作する行為。③放射性医薬品の投与が終了した後に抜針及び止血する行為。が可能となります。これらの医療行為が可能になったことから、特に核医学検査に携わる診療放射線技師は核医学検査の一連の流れの中で、ますます重要な責務を担うことになります。また、核医学内用療法では外照射とは異なる概念で正確な病巣線量評価、被ばく線量評価の他、放射性汚染物の安全管理など、専門分野のリーダーとして活躍する必要があります。
 そのために本会は、日本核医学会をはじめとする関係団体と協力し合い、新たな教育研修を行っていくことを考えています。特に、専門知識を持った核医学技術者はこれまでの撮像だけでなく、線量計算や医療行為まで幅広くこなしていくことが求められます。我々核医学技術分野の専門家は、核医学技術におけるオーガナイザーとしての責務を果たし、次世代の技術者を育成していくことが歩むべき方向と考えています。
 今後は国内のみならず、国外の技術者とも情報交換をより強化し、世界標準的な核医学検査法、核医学内用療法の確立が必須となります。そのためには多くの関係者の皆様の積極的な学会、国際交流への参加が必要です。是非、学会や研修会にご参加頂き、人類の健康に寄与できる人材を目指して共に頑張りましょう!