東京都健康長寿
医療センター
センター長
許 俊鋭
東京大学・東京女子医科大学共催による補助人工心臓研修コースは、医師・看護師・臨床工学技士がチームを組んで補助人工心臓の「植込み手術」・「術後管理」・「機器管理」に関する技能を学んで頂く研修コースです。
このコースは補助人工心臓関連企業8社の協力の下に毎回100名以上の参加を得ており、日本で製造販売される予定の全て体外設置型・植込型デバイスの研修が含まれています。
参加者が各種デバイスを直接手にとって実習を行うことを基本として、ブタ摘出心を用いたポンプ装着実習や補助人工心臓モック駆動実習を行なっています。
これまで7回の研修コースを開催しましたが、平成21年11月に開催された第3回研修コースからは、東京女子医科大学心臓外科も共催施設として加わって頂き、文字通り東日本における最もレベルの高いVAD研修コースが開催されることになりました。また、第4回研修コースからはこの研修コースの創設者高本眞一前東大胸部外科教授から私がProgram Chairmanの重責を引継ぎ、小野 稔東大心臓外科教授と山崎健二東京女子医大心臓外科教授がProgram Directorとして実務を担当していただくことになりました。
安全かつ有効な「植込型補助人工心臓在宅治療」を目指した社会基盤整備の一環として「人工心臓管理技術認定士」の第一回目の認定試験が平成21年7月から始まりました。現在までこの領域の診療に携わってきた66名もの看護師・臨床工学技士が人工心臓管理技術認定士の資格を取得しましたが、その中の22名(33%)は本研修コースの参加者です。植込型LVAS製造販売承認後は「人工心臓管理技術認定士」が患者さんや機器管理のみならず補助人工心臓レジストリー入力業務を行なうことにも参加でき、「包括的な植込型補助人工心臓在宅治療」において極めて重要な役割を担うことになると考えられます。
平成22年12月にはEVAHEART, DuraHeartの国産2機種の植込型補助人工心臓が製造販売承認され、3月〜4月段階で保険償還されると見込まれています。
これまで私達が強く要望していた日本のどこでも植込型補助人工心臓治療が受けられるようにして欲しいという願いが、今回の製造販売承認で実現する可能性が高まって参りました。
とりわけ、今後の植込型補助人工心臓実施施設認定において実施医資格は必須であり、その実施医資格申請に「使用する植込型補助人工心臓システムについての研修プログラムを受講している。」という必要項目があります。関係行政機関にお願いして「研修プログラムとしては、企業が実施する研修以外に現在行われている3つの研修コース(東京大・東京女子医大共催補助人工心臓研修コース、国立循環器病研究センターおよびJACVASのコース、西日本補助人工心臓研修セミナー)のどれかの参加証明の添付でもよい。」という付帯条件をつけて頂きました。
これで多くの方が実施医資格申請に必要なVAD研修を効率的に受けることができることになったのです。
この補助人工心臓研修コースが、「植込型補助人工心臓実施医」ならびに「人工心臓管理技術認定士」資格取得を目指す多くの方々にとって有意義な研修コースとなるべくこれからも努力していきたいと考えています。
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補助人工心臓研修コース
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