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老年科専門研修
プログラム

老年科専門研修プログラムについて

老年病科 大学院卒業後のキャリア例

老年病科 カリキュラム紹介

当科の概要

  • 超高齢社会において、multimorbidity (多疾患併存)、ポリファーマシー(多剤併用)の患者が増加している中、全国的にも老年科専門医の育成に大きな期待が寄せられ、喫緊のニーズともなっています。高齢者は多彩な症状を呈しますが、中には原因が複数の臓器にわたるもの、社会的・環境的要因が関与するものがあり、臓器別・疾患別の専門診療では対応できないことも多いです。
  • 老年病科は病気だけではなく病人を治し支えることを目指し、総合的・全人的医療を行います。そのために高齢者総合機能評価 (CGA) を実践し、薬剤師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、地域医療連携部、救急部・ICUなどを含む多職種で連携し、社会的・環境的要因にも配慮したチーム医療を実践します。
  • 新内科専門医制度の中で老年科専門医を取得でき、自らの専門性(サブスペシャルティ)を磨きながら総合診療、総合内科としての実力、自信を身につけることができます。
  • 高齢者でよく見られる急性期疾患の治療管理に加えて、老年疾患、老年症候群、サルコペニア・フレイルなどの診断・介入を行い、健康寿命の延伸を目指します。
  • 中でも認知症、骨粗鬆症、睡眠時無呼吸症候群については専門的に取り扱い、抗アミロイドβ抗体によるアルツハイマー病の治療も行っています。
  • 医学研究に必要な統計解析を学ぶことができ、やる気があれば老年医学に関する基礎・臨床研究にふれたり、老年医学研究に参加して論文化を目指すこともできます。

主な対象疾患

〈急性期疾患〉
高齢者救急全般、救急部・ICUとの連携
〈脳神経疾患〉
脳血管障害、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、正常圧水頭症、進行性核上性麻痺、パーキンソン病、軽度認知障害など
〈呼吸器疾患〉
肺炎、COPD、喘息、肺癌、睡眠時無呼吸症候群など
〈循環器疾患〉
心不全、冠動脈疾患、不整脈、肺血栓塞栓症、高血圧症など
〈腎臓疾患〉
慢性腎臓病、腎代替療法、尿路結石・感染症など
〈消化器疾患〉
消化管出血、胆嚢炎、消化器癌など
〈代謝疾患〉
糖尿病、甲状腺疾患、電解質異常、骨粗鬆症など
〈感染症〉
COVID-19, 蜂窩織炎など全般
〈精神疾患〉
せん妄、認知症周辺症状(BPSD)、うつ病、不眠症など
〈緩和医療〉
疼痛管理、緩和医療・ケアなど
〈漢方医療〉
虚証など
〈その他〉
低栄養、嚥下障害、褥瘡、サルコペニア・フレイル、リハビリテーションなど

指導体制

  • 助教(主治医)、特任臨床医、専攻医、研修医から成るチームの一員として入院・外来患者の診療に当たります。毎日のチームカンファレンス、毎週の病棟医長・呼吸器・多職種連携カンファで上級医の指導を受けます。
  • 毎週水曜日の午前中は病棟カンファレンス・教授回診を行います。
  • 週1回、外来の初診担当医として診療に当たり、上級医の指導を受けます。
  • 上級医の指導の下、学会発表、症例報告の機会もあります。
  • 月1回のクリニカルカンファレンス、論文抄読会、研究カンファレンスヘの参加も可能です。

当科の研修で身につけられること

  • 新内科専門医制度の中で老年科専門医を取得して全人的医療、総合内科の中で高齢者総合診療を実践できるとともに、サブスペシャルティ領域の専門医等も取得して更なる専門性も十分に発揮できます。これにより、今後ニーズが一層増してくる老年病科・老年医学の中で、将来各専門分野をリードする存在になれます。
  • CGAを実践し、退院後の療養方針まで見据えた治療計画を立てられます。
  • 今後ますます重要になる認知症の診断、治療、ケアについての専門性を十分習得できます。
  • 総合内科、総合診療としての実力や自信も身につけることができ、多彩な臓器別疾患を扱えるとともに、multimorbidityを有する患者を体系的に考察、介入することができます。
  • エンドオブライフの患者の方針決定(人工栄養のあり方を含む)、アドバンス・ケア・プラニング(ACP)を学べます。
  • 各種エコー、腰椎穿刺、CV挿入、嚥下内視鏡などの内科全般の手技を学ぶ機会も多く用意されています。
  • 大腿骨骨折ボードなどの診療科横断的なカンファレンスにも積極的に関与でき、実際的な多職種連携やチーム医療・ケアでの活躍も期待されます。

新専門医制度について

新内科専門医制度は、内科専門研修とサブスペシャリティー領域の研修の二段階制になっています。老年科専門医は、サブスペシャリティーの1つです。

東京大学医学部附属病院内科専門研修プログラムでは、プログラムの開始前にサブスペシャルティ領域を決めていただくことになっております。
将来、老年科専門医になること、老年病科への入局を検討している方は、内科専門研修プログラムに申し込む前に当科に直接ご相談ください。

老年科専門研修プログラムと内科専門研修プログラムの概略

新専門医制度では、内科専門研修を3年間修了し、老年科専門研修を2年間修了後に老年科専門医試験を受けることができます。

なお、希望者は内科専門研修期間から他のサブスペシャリティーとの連動研修を行うことも可能です。これにより、複数専⾨医を取得することも可能です(⽼年科専⾨医 + 循環器内科専⾨医/呼吸器内科専⾨医/糖尿病専⾨医/認知症専⾨医など)。老年科専門医取得後に別のサブスペシャリティーの専門医を取得することも十分可能です(応相談)。
また、専門研修プログラムは大学院の入学を妨げるものではありません。研修の進捗状況によっては、老年科専門研修の1―2年目に大学院に入学して、研究活動も並行しながら専門医取得を目指す道もあり得ると考えています。
詳細については、当科に直接ご相談ください。

東京大学医学部附属病院老年科専門研修プログラムの連携施設

東京大学医学部附属病院老年科専門研修プログラムでは、東京大学医学部附属病院を基幹施設とし、地域中核病院に相当する連携施設(東京都健康長寿医療センターなど)、および在宅診療やリハビリテーションなどに関わる連携施設をおいています。
連携施設で非常勤医師として在宅医療を実践しながら、基幹施設での専門研修を進めることが可能です。

内科専門研修プログラムも含めた研修例

内科専門研修と老年科専門研修の一連の流れをさらにわかりやすくするために下図を用意しました。
一例ですので、具体的なことは直接ご相談ください。

老年病科のキャリア・モデルケース

老年病科の大学院卒業後のキャリアは多彩です。

東大老年病科の医局員として東大病院で勤務、研究のための海外・国内留学、他病院のスタッフ、行政への関与など、多彩な選択肢があります。 具体的な大学院卒業後のキャリアについては、こちらをご覧ください。

専攻医募集・医局説明会について

老年病科では、老年科専門医を目指して内科専門研修や老年病科入局を希望する先生方を募集しています。 医局説明会の日程については、以下のページ(東大病院総合研修センター)をご覧ください。
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/soken/practice/visit/

なお、説明会はこの日程以外にも随時行っています。
少しでも興味を持たれた方は、お気軽にご連絡ください。
大いに魅力、将来性、ニーズの詰まった老年科専門医、老年病科を今こそ目指しましょう。

問い合わせ先

老年病科医局長:矢可部満隆
m-yakabe●g.ecc.u-tokyo.ac.jp 
(●を@に変更してください)

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