次世代の老年病学・老化制御学・
高齢者診療をリードする

GREETING

「病気をよくする」だけでなく、
「病人をよくする」
老年病科 教授 小川 純人

2024年7月に東京大学老年病学教授に着任しました小川純人です。
東京大学医学部附属病院老年病科は、1962年に文部省の予算措置によって老人科の設立が認められたことに端を発します。当教室はわが国で最初の老年病学教室でもあり、冲中重雄教授が初代教授(兼任)として外来開設の後、1964年初代専任教授に吉川政己先生が就任し病室開設に至りました。その後も、当教室は原澤道美教授、折茂肇教授、大内尉義教授、秋下雅弘教授のもと、国内外において老年病学や高齢者診療をリードし、多くの優れた人材を輩出する役割を担ってきました。1995年からは当教室は産婦人科学教室、小児科学教室、小児外科学教室とともに生殖・発達・加齢医学専攻という大学院講座に所属し、現在まで老年病学分野と老化制御学分野の2分野を担っています。

様々な問題や疾病を併せ持つ高齢者は、現在の臓器別・疾患別の専門診療では対応できない場合が少なくありません。また、どこに原因があるのかわからないが、身体の調子が悪く悩んでいる高齢者もいらっしゃいます。老年病科は、高齢者のための総合診療科として「病気をよくする」だけでなく、「病人をよくする」ことを目標にしたトータルケアを特徴としています。外来では、認知症や高血圧、動脈硬化、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患、サルコペニアといった高齢者に多い病気を、それも複数有する患者を中心に診療しており、当科には各分野をリードする専門家も揃っています。さらにまた、食欲低下、体重減少、息切れ、誤嚥、フレイル、めまい、歩行障害、抑うつ、発熱、転倒などの老年症候群や睡眠時無呼吸症候群についても幅広く対応しています。生活機能や生活状況の評価も併せて行い、アドバンス・ケア・プラニングを含めて診療に活かすことも重視しています。認知症については当院認知症センターとも連携し、「物忘れ外来」や「物忘れ精査入院」で素早く対応できる診療体制をとっています。肺炎や脳卒中といった高齢者救急も老年病科が得意とする分野であり、老年科専門医の取得に向けた教育体制も整っています。

また当教室では、老年病学や老化制御学の発展を目指した国際的評価の高い基礎研究、臨床研究の推進や国内外の連携強化はもとより、次世代の老年病学・老化制御学・高齢者診療をリードする医療人・研究者の育成や学生教育、海外留学の支援、国際的な人材交流にも力を注いでおります。2040年には日本の高齢者数がピークを迎え、ますます老年病科や老年病学教室の重要性が増していく中で、熱意や気概に溢れた多様な人材、若い人材が積極的に教室に参加し、共に歩み、大いに飛躍してくれることを切望しています。今後とも老年病科、老年病学教室をご支援いただきますよう、宜しくお願い申し上げます。

FEATURES 教室の特徴

  • PIONEER

    高齢者総合診療の先駆者

    私たちは、単なる疾患の治療に留まらず、高齢者を包括的に診察し、患者様一人ひとりに寄り添いながら、スタッフ全員で最適な診療と治療を提供しています。

  • TREATMENT

    再入院ゼロを目指す診療方針

    私たちの目標は、疾患を治療して退院するだけではなく、再入院や再発を防ぐことにあります。患者様の健康を長期的に支えるため、退院後も丁寧なフォローアップを行っています。

  • CLINICAL RESEARCH

    豊富な臨床研究の蓄積

    多くの高齢者患者様に向き合う中で、当科の強みはその臨床研究の豊富さにあります。連携する老人ホームや介護施設のご協力のもと、フィールドワークを通じた実践的な研究も推進しています。

  • BASIC RESEARCH

    世界最前線の基礎研究

    フレイルやサルコペニアといった高齢者に多い疾患のメカニズム解明や骨代謝に関する研究に取り組んでいます。また、最先端技術を駆使したオミクス解析、オルガノイド、空間トランスクリプトームなどの技術を有しており、これらを活用して老化の本質に迫る研究を展開しています。

NEWS お知らせ

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