令和8年熊本地震、ならびに令和8年8月千葉豪雨に関するこころのケアについて
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2016年(平成28年)の熊本地震から10年後の2026年(令和8年)7月28日、熊本で最大震度7の地震が発生しました。さらに同年8月には令和8年8月千葉豪雨により、各地で大きな被害がもたらされました。相次ぐ災害により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。また、尊い命を失われた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様に心からの弔意を申し上げます。今回のような複合災害や災害の頻発は、被災者はもちろんのこと、その情報に接する多くの一般の方のこころにも大きな問題が生じることと思います。災害・地域精神医学講座では、このような状況で苦しんでいる被災者の方、報道に接する一般の方、および支援者の方に、こころのケアについて災害直後に知っていただきたいことをこの文書にまとめました。災害メンタルヘルス対策の一助になれば幸いです。
引用元(筑波大学 医学医療系 災害・地域精神医学講座)を明示していただければ、ご自由に再配布・転載していただいて結構です。
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<被災者の方へ>
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被災者の皆様は、基本物資の不足や暑さ、水不足、電気供給の問題、大型施設の爆発、住宅被害、車の被害などで大変なご苦労をされていると存じます。このような中でも、こころを健やかに保つために以下の点にご留意ください。
1. 気持ちをリラックスさせる
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大きな揺れ、雨音、雷、警報音への強い恐怖を感じることも多いと思います。このような災害では、被災直後から不安、不眠、興奮が出現します。これはこころが危機を感じ、すぐ逃げられるようにおこる正常反応ですが、過度な不安、不眠が続くと体に悪影響が生じますので、安全な場所に避難した後は、深呼吸法(3秒鼻で息をすい、7秒ゆっくり息を吐く)や音楽を聴くなどしてリラックスするようにしましょう。
2. 頭を整理する
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家族の安否や家の片付け、避難先の衣食住の手配など、被災直後にはやるべきことが一気に多数発生します。これらを同時に行おうとすると、頭が混乱し、不安が高まります。やるべきことに優先順位をつけ、できることを少なくし、先延ばしできることは延ばし、考えすぎには注意しましょう。
3. 適切な行動をとる
4. コミュニケーションをとる
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つらい気持ちを整理するには、親しい人とできるだけコミュニケーションをとり、話をしたり聞いてあげたりして気持ちを共有し、ねぎらいあうことがとても重要です。お子さんは不安を抱えやすいため、傍にいて安心させてあげるようにしましょう。こころやからだの不調がある時は、がまんせずに相談機関や医療支援者に相談しましょう。
<報道に接した一般の方へ>
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直接被災にあったり事故の経験をしていなくても、衝撃的な内容の報道を視聴することによるストレス(惨事ストレス)が生じることがあります。このようなストレスが心身の不調につながらないよう、以下の事に注意しましょう。
1. 繰り返し、長時間、ながら視聴は避ける
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事件報道・映像・写真などの繰り返しの視聴、長時間の視聴、何かしながらの視聴は不安に直結し、PTSDの原因になることが知られています。特に映像は不安の中枢に直接影響を与えますので避けましょう。ニュースなどは最小限の視聴がよいでしょう。
2. 情報の内容・出所に注意する
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災害直後は、多くの人が不安になるために、大量のデマや噂がインターネット等で発信され、この情報がさらに人々を不安にする悪循環が生じます。衝撃的な内容の報道は情報源を確認し、政府機関など信頼できる出所から入手するようにしましょう。
3. メンタルヘルス不調なら報道の視聴は避ける
4. 前向きな情報は取り入れる
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苦労しつつ頑張っている被災者のお話や応援メッセージなどは、逆にこころを前向きにし、気持ちを整理する力を持っています。そのような情報は積極的に取り入れましょう。
<支援者の方へ>
1. 無理をしない
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多くの救援者・⽀援者の皆様、⽇々の活動、本当にお疲れさまです。皆様の働きによって多くの⼈が救われています。被災しながら支援されている方は、被災者であり、また支援者でもあることで、二重のストレスがかかることもあるでしょう。また業務に際して市民の方から心無い言葉をあびる場合もあるかもしれません。業務にあたっては、こまめに休息をとり、決して無理をしないでください。
2. 組織で護る
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苦労話を共有できる仲間とコミュニケーションをとり、互いをねぎらい、不安に陥らないように留意しましょう。精神的につらさを感じたら、上司や信頼できる⼈に相談しましょう。⽀援者の所属機関の所属⻑におかれましては、⽀援活動の内容とリスクに⼗分気を配って職員を守っていただきますようご配慮をお願いいたします。
3. 怒り・対立を上手に扱う
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様々な状況下で、災害派遣チームや自治体への支援、ボランティアとして関わっている方が多くいらっしゃると思います。その中で、強い興奮状態で活動せざるを得ない事があります。活動中の支援者・救援者同士の意見の不一致や対立経験は、その後の強い心理的苦痛と関連があるという報告もあります。医療・救援活動における対人葛藤は、単なるチーム運営上の問題にとどまらず、支援者の精神健康に関連する可能性があります。医療現場の葛藤に関するスコーピングレビューでは、職種間の意見の相違、コミュニケーション不足、権力格差などが葛藤の背景となり、バーンアウト、情緒的消耗、不安、抑うつなどとの関連が報告されています(Kim et al.,2017)。また、2024年能登半島地震で活動した災害派遣隊員を対象とした横断研究では、救援活動中に救援者間の意見の不一致や対立を経験したことが、活動後に評価された心理的苦痛及びPTSD症状の高さと有意に関連していた(Asaoka et al., 2025)と報告があります。対立を個人の問題として処理するのではなく、指揮命令系統、役割分担、安全上の懸念を表明する手順、仲裁・相談体制を事前に明確化するとともに、対立を経験した支援者に対する活動後の個別的な心理状態の確認と必要な支援が重要と考えます。活動後は、対立経験者を支援対象として認識しましょう。