痛みとは│ゲート・コントロールセオリー Gate Control Theory│
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 痛み発生メカニズムを説明する様々なセオリーがあったが、いずれも一長一短であり、どれも充分に満足のいく学説ではなかった。Patrick D. WallRonald Melzack1965年に提唱したゲート・コントロールセオリー (Science: 150, 971-979, 1965) は、その当時多分たいへん斬新な説であり、痛みの研究の新しい時代を開くものとなった。このセオリーには多くの誤りがあったが、その後の脊髄後角の侵害受容ニューロンの研究や痛みの鎮痛治療法(TENSDCS)の発展に大きく貢献した。
○ゲート・コントロールに至った研究 ○1965年のゲート・コントロール説
要約
  • ゲートコントロールセオリーの主役は、SG: substantia gelatinosa(膠様質)のニューロンである。
  • SGは、痛みの信号を伝するT細胞に対するゲートを閉じる働きをしている。
  • 侵害性の高閾値感覚を伝える細い神経線維は、SGを抑制するので、痛みの信号伝達のゲートが開き、痛みを感じる。
  • 触、圧、振動などの低閾値感覚を伝える太い神経線維は、SGを活性化させるので、痛みの信号の通路のゲートを閉ざす。
  • 経皮的電気刺激(TENS)もこの機序を応用したもので、Aβ線維を刺激することで、痛覚を分節性に制御する。
  • このような、低閾値感覚が痛覚伝導路に影響を及ぼす機序は、脊髄だけではなく、視床や大脳皮質のレベルにおいてもみられると考えられる。
○ゲート・コントロール説とあわない事実
  1. C線維に電気刺激を加えると陰性後根電位が発生する。
  2. 細い線維は刺激がないときも自発性のインパルスを送るか?
  3. 太い線維は膠様質に興奮性入力を送るか?
  4. 細い線維は膠様質に抑制性入力を送るか?
  5. 細い線維による興奮がSG細胞の過分極を起こし、シナプス前抑制を脱抑制するか?
  6. 帯状疱疹後神経痛では、太い線維が特異的に減少するか?
  7. フリードライヒ失調症では太い線維が選択的に傷害される(?)が、痛みが生じない。
  8. 脊髄侵害受容ニューロンに対する抑制系は、ゲート・コントロールだけではない。
○修正されたゲート・コントロール説 修正も含めてゲート・コントロール説の伝えたことは
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