研究プロジェクト
教員の研究
メンタルヘルス支援に関わる専門職を対象とした心理的レジリエンス向上プログラム
本研究では、地域の精神医療の現場で起こる攻撃的な言動や難しい支援関係に対し、支援者がより安心して対応できる力を育てることを目指しています。こうした行動の背景には、過去のトラウマ体験が影響している場合があることに注目し、その理解を深める新しいアプローチを開発しています。具体的には、AIを活用した対話支援や、VRによる体験型トレーニングを取り入れ、多様な視点から状況を捉える力やレジリエンスを高めることを目指します。現場で働く方々が孤立せず、よりよい支援につながることを目指した研究です。
科研費・基盤A「対人支援場面における攻撃性の制御:トラウマ理論に基づく経験学習プログラムの開発」(研究代表・谷口麻希:25H01081)
医療的ケア児の成長と家族の時間を見守る多職種データプラットホームの共創
医療的ケアを必要とする子どもとその家族が、安心して日々の生活を送れる社会の実現を目指して、NECと共同研究を行っています。医療的ケアを日常的に必要とする子どもたちは、成長に伴い、医療や生活環境は家庭から学校、そして社会へと、生活環境を大きく変化させていきます。その中で、保護者は個別性の高いケアを担い、大きな負担や不安を抱えています。本研究では、当事者である子どもや家族を中心として、多職種との連携をスムーズにする情報プラットフォームの開発を進めます。このプロジェクトは、本学の情報通信系(エンジニアリングデザインコース)・中谷桃子先生や、小児・家族発達看護学、災害・クリティカルケア看護学の教員と一緒に実施しています。
NECとの共同研究事業(研究代表・谷口麻希)
参考「https://www.isct.ac.jp/ja/news/jwl0mue9wriz」
発達障害の子どもと親を支援するデジタルツイン・プラットフォームの開発
発達障害や愛着形成の課題を抱える子どもは、情動のコントロールが難しくなることがあります。本研究では、そのような子どもを育てる親を対象に、「正解を提示する」ケアから、関係性や文脈の変化に応じて介入を設計する新たなアプローチへの転換を目指しています。デジタルツイン上で子どもの情動や親子相互作用をシミュレーションし、対話を通じて支援の選択肢を動的に収束させる仕組みの開発に取り組んでいます。東京科学大学の工学系研究者や、オーストラリア・メルボルン大学の看護研究者と共同研究を進めています。
メルボルン大学との共同研究に、ASPIRE(経済産業省)から助成を受けています。「超スマート社会のためのリアルタイムデジタルツインプラットフォームの実現」(研究代表・阪口啓)
精神的困難を抱える若者のキャリア選択支援に関する当事者参画型研究
思春期・青年期は、将来の仕事や進路を考える大切な時期ですが、メンタルヘルスの問題を抱える若者がキャリアを選ぶ際にどのような困難に直面しているかは、これまで十分に明らかにされていませんでした。本研究では、当事者参画型アプローチのもと、精神的な困難を経験した若者へのインタビューなどの質的調査を通じて、キャリア選択における課題や支援ニーズを明らかにします。その上で、当事者・支援者・研究者など多様な立場の関係者とのデルファイ法による合意形成を経て、若者の自己決定を尊重したキャリア支援ガイダンスの開発を目指します。この研究が、メンタルヘルスの課題を抱えながらも自分らしいキャリアを歩もうとする若者への支援の充実と、社会的包摂の実現に貢献することを目指しています。
資金源:科学研究費助成事業(若手研究)
地域精神保健領域の研究におけるコアアウトカム領域の評価指標の制定と開発に関する研究(分担)
精神疾患をもちながら地域で生活する方は増加しており、治療や支援の成果の捉え方も多様になっています。しかし、研究や医療の現場では、どの成果を評価すべきかについて統一された基準が十分に示されていません。近年、科学的根拠に基づく医療や支援を進めるために、研究で共通して評価すべき成果を定める「コアアウトカムセット(COS)」の開発が注目されています。COSの作成にあたっては、医療・福祉の専門職だけでなく、当事者や家族など、さまざまな立場の意見を反映させることが重要です。本研究では、当事者・家族・支援者・行政職員・研究者など幅広い立場の方々との議論をもとに重要と判断された領域について、地域精神保健分野で共通して使えるCOSの開発に取り組んでいます。
資金源:精神・神経疾患研究開発費(当事者視点に基づく精神医療福祉サービスの評価と関連システムの構築:課題番号7-1)