大会長挨拶

 日本社会薬学会は、くすりの社会性に着目し、多様性に富んだ研究対象に取り組むことにより、薬を使用する人々、あるいは薬を扱う人々の問題解決のための知見を探求してきました。薬系大学教員や現場薬剤師だけでなく、人文・社会科学など他の学問領域の研究者や行政担当者など、様々な背景を有する会員を擁し、まさに“社会”薬学の名にふさわしい人々の貢献により発展して参りました。

 学会は1982年に設立され、以降、毎年年会が日本各地で開催され、今年で35回を数えます。今回、札幌市で開催されます日本社会薬学会第35年会は、平成28年9月10日(土)〜11日(日)の2日間に渡り、小樽市銭函から移転して間もない北海道薬科大学の手稲前田キャンパスにおいて開催されます。

 本年会のメインテーマは「社会における薬剤師の価値」としました。薬のキーパーソンである薬剤師が社会に提供できる、もしくは社会と共創できる価値には、どのようなものがあり、どのように測り、どのように社会へ発信してくかを、参加者の皆様とともに今一度見つめ直す機会にしたいと考えております。

 現在、薬剤師職能や薬局機能に対して、様々な要請や意見、時には厳しい批判が寄せられています。今年度から、かかりつけ薬剤師が“概念”でなく、調剤報酬の算定要件として示されました。また、2025年の地域包括ケアシステム構築を見据え、薬剤師や薬局側からの、地域医療・福祉・介護への更に積極的な参画と貢献が求められます。このように、薬剤師や薬局には、エビデンスを伴った具体的な行動が必要とされています。よって、「社会における薬剤師の価値」というテーマは一見、非常に簡素なものですが、その実は極めて重いテーマです。このような課題に対して、関心を持つ人々が場所と時を同じくし、共に考え、議論していくことは非常に有意義なことと考えています。

 また、本年会から、学部学生による学会発表の表彰制度も設けられました。これからの日本の医療・福祉・介護を担っていく若い人材にも、ためらうことなく積極的に参加していただき、ぜひ視野と交流の幅を広げて頂きたいと切望します。

 北海道は、例年9月ともなれば、秋の気配が感じられる冷涼な環境となり、皆様と一堂に会し、熱く議論するにふさわしい場所と思います。ここ、豊かな自然と食材に恵まれた北海道まで足を延ばしていただき、日常業務から離れ、ぜひ想いを新たにしていただきたいと思います。

 北海道の薬系大学、業界、職能団体で構成される、いわばオール北海道の実行委員会一同、皆様のご来道を心よりお待ち申し上げております。

 

日本社会薬学会第35年会  

年会長 櫻井秀彦 

北海道薬科大学 

                        

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