脳梁 corpus callosum


脳梁は頭の中心にあって,左右の脳(右脳と左脳)をつなぐ働きをしています。
脳梁を切ってしまうと,右脳と左脳の間の神経線維の連絡が断たれて,バランスよく働かなくなります。


4つの部分に分けます
R (rostrum) 吻部
G (genu) 膝部
B (body) 体部
S (splenium) 膨大部

脳梁の前の方にある膝部は,左右の前頭前野をつないで認知機能を支えています。脳梁の中央の体部は,左右の運動機能を連絡します。脳梁の後部の膨大部は,左右の視覚情報を伝えます。


体部をさらに4つに分けます
AB : anterior body
AMB : anterior midbody
PMB : posterior midbody
I : isthmus


臨床的に問題になる脳梁症状は,交通外傷後のびまん性脳損傷や広範囲の脳梗塞の場合がほとんどです。これらは,認知機能障害,高次脳機能障害,失行などの治療をするリハビリテーション科の領域になります。
脳神経外科領域では脳梁を侵す腫瘍や手術で脳梁を部分的に切断することが問題となります。
脳梁の機能は,いわゆる「高次脳機能」「認知機能」に分類される症状を担っています。麻痺とか失語症とか失明とか目立った症状ではなく気づかれない症状です。患者さんからの訴えは,「なんとなくおかしい」,「以前と同じようにできない」など漠然としたものです。
複雑な作業工程,図面を描く仕事,計数を使用する研究などをしていると,脳梁離断を伴う手術後に復職できないことがあります。

脳神経外科の手術で切断しても症状が出ないのは,脳梁体部の前半部 (ABとAMB)だけです

前交連と吻部,膝部,大部の後半,膨大部の切断では,認知機能が低下していることが検査で捉えられます。

経脳梁法 transcallosal approach


経脳梁法 transcallosal approachという手術手法で切断できる脳梁は黄色の線のところです。
側脳室や第3脳室の腫瘍摘出に用いられる手術方法です。
脳梁膝部,体部後半,膨大部では症状が出て,手術後に,学校での勉強や元の職場で仕事ができなくなることがあります。
脳神経外科の長い経験則で得られた知識です。


脳梁離断症候群 disconnection syndrome

伝導失語,視覚性運動失調,交叉性視覚性運動失調,左手の失行 apraxia of the left hand(優位半球が左の場合,言語命令で左手の動作を促されても,左手でその動作ができないこと),左手の失書 agarphia of the left hand (右利きの人が左手だと文字が書けない症状),左手と右手の動きが一致しなくなるエイリアンハンド症候群,などです。脳梁膨大部では視覚と聴覚の情報統合や記憶機能に障害が出ます。
これらの症状は日常生活で目立った障害を呈さないこともあり,特殊な脳梁機能検査を行わないと捉えられないことも多いです。

 

 

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