PQJ2023は、2023年3月26日、札幌医科大学の主催で世界12カ国から125チームが集まり開催されました。
今回でPQJは7回目の開催となります。第5回からオンライン開催に移行した本大会
は世界中から参加者を集めており、前回の87チームを大きく上回り過去最高の参加チーム数を記録しました。
インドネシア、エジプト、スロベニア、中国、チェコ、⽇本、ペルー、ベルギー、ベトナム、マカオ、マレーシア、モンゴル(計12 カ国・地域) から125チームが参加し、チェコ、ペルー、マカオからは初めての参加でした。
開会式では、大会代表の工藤大樹君、日本生理学会の南沢享先生と小野富三人先生、PQJ事務局長の井上鐘哲先生よりご挨拶がありました。
全チームが同時に戦う第1ラウンドでは、上位30チームが勝ち抜き、第2ラウンドに進みます。そこで勝ち抜いた7チームに加え、敗者復活の1チームの計8チームが決勝ラウンドで戦ってチャンピオンが決まります。
第1ラウンドは4択や並べ替え、計算問題の計25問が出題され、早く正答するほど高いポイントがもらえるシステムです。
PQJは全ての参加者が医学・生理学のより深い理解を得ることを目的として、過去大会でも各クイズ直後に必ず詳細な問題解説を行っています。この解説が後の問題のヒントになることもあり、参加者に集中を切らす余裕はありません。『出題者の好きなスポーツ4つを好きな順に並び替えましょう』という練習問題でさえも2回目の正答率が98%と高く、参加者の真剣さは言うまでもありません。
生理学、解剖学、免疫学、薬理学などの幅広いジャンルに渡る25問で激しい争いが繰り広げられ、第2ラウンドに進む30チームが決定しました。
この段階でトップに立ったのは、2位に300点の大差をつけて唯一、2000点台をマークしたスロベニアのチーム「Metabolic Masters」です。
第2ラウンドでは、長文の穴埋め問題などの問題形式も加わり、1問あたり30秒〜1分という時間の中での素早い判断力が求められる激しい戦いが繰り広げられました。
第2ラウンドの結果、決勝に進出したのは、「THA」(ベトナム)「Metabolic master 」(スロベニア)「ASU MAOI」(エジプト)「Royale」(インドネシア)「VICTORIA」(中国)「Team Calcium」(ベルギー)「acanethus」(日本、金沢大学)「Kami no money money」(日本、東北大学)の7チームでした。
敗者復活戦では、決勝ラウンドのへの進出が決まっている7チーム以外の全チームが最後の1枠を争いました。
選択肢には点数が割り振られ、正解すれば加算、誤答となればその点数が持ち点から引かれてしまうという問題です。例えばこの問題、Gallbladderが最高点ですが誤答で-11点となってしまうため、ここでは正答で最高得点のoral cavityを選ぶのがベストです。正解選択肢はいくつかあり、確実な選択肢で少ないポイントを積み上げていくか、大きい点数が振られた選択肢を一か八かで選ぶか、1問1分15問の短時間で知識とゲーム性が試されるスリリングなラウンドでした。
ノーベル賞学者を選ばせる問題で代表の工藤君の名前が選択肢にでてきた時は、参加者の緊張が解ける笑いと応援のコメントで温かい雰囲気に包まれました。敗者復活を獲得したのはエジプトのチーム「ASU Ganglion」です。
決勝戦では富士山頂での酸素分圧、パラアミノ馬尿酸クレアランス、肺の毛細血管数などを計算するような日常臨床を発展させたユニークな問題から、KirチャネルやヘモグロビンによるCO2排泄といった専門的な問題も出題されました。次から次へと現れる難問に参加者は苦戦していましたが、狭き門をくぐってきた8チームは簡単には諦めません。
9時間に及ぶ激戦の末、日本の東北大学のチーム“Kami no money money”、スロベニアのリュブリャナ大学の“Metabolic Masters” が同点で優勝を飾りました。東北大学は世界規模のオンライン開催になってから日本勢として初優勝。同チームは2年生の頃から参加し前回は5位、最終学年となる6年生で優勝を飾りました。リュブリャナ大学も予選1位の勢いそのままヨーロッパ初の優勝校となりました。3位にはインドネシア大学の”royale”が輝きました。日本勢としては8位に金沢大学のチーム”acanethus”が入賞しています。
今年のPQJも、オンラインの力を使って世界中の学生が一つの空間に集まり、医療という世界の共通言語を使って切磋琢磨する、素晴らしい大会になりました。チーム全員が同じ場所から参加しているチームも多くみられるようになり、喜びや興奮を共有している姿が見られました。。
終了後の懇親会では、世界中の参加者達と楽しく会話をしました。クイズをきっかけに国際的な交流の機会が豊富にあるのがPQJの特徴です。
今回の素晴らしいPQJを開催してくれた札幌医科大学の工藤君とスタッフのみなさんに拍手を送ります。
これを読んだ医療系学生のみなさん、次のPQJがあなたを待っています。ぜひ参加してみてください。
PQJ事務局 岡田浩太郎(京都大学医学部附属病院 医師)
(構成: 井上鐘哲)
追記: PQJ2023の開催校を募集しています。興味のある方は、ぜひ井上/岡田 (physiologyquiz@gmail.com)までご連絡ください。