マイクロアレイ染色体検査について
■ 診療において実施するマイクロアレイ染色体検査のガイダンス
2020年3月30日
マイクロアレイ染色体検査は、ゲノムのコピー数変化(Copy number variant: CNV)を評価する検査であり、生殖細胞系列の網羅的遺伝学的検査の一つでもあることから、その実施にあたっては関連学会等からのガイドラインや種々の提言を遵守することが求められています。既に海外ではマイクロアレイ染色体検査は臨床検査として定着し、ガイドラインや提言が公表されています。こうした状況を踏まえ、日本小児遺伝学会では、留意すべき基本的事項を「診療において実施するマイクロアレイ染色体検査のガイダンス」としてまとめました。
このガイダンスは、遺伝医学関連学会である日本先天異常学会、日本人類遺伝学会、ならびに厚生労働省難治性疾患政策研究事業「先天異常症候群領域の指定難病等のQOLの向上を目指す包括的研究」研究班、「染色体微細欠失重複症候群の包括的診療体制の構築」研究班とともに提案するものです。このガイダンスが診療において遵守され、遺伝医療の発展につながることを希望しています。
■ マイクロアレイ染色体検査の結果解釈の補助ソフトウェアツール
(2021年9月24日)
マイクロアレイ染色体検査が「保険項目:染色体ゲノムDNA のコピー数変化及びヘテロ接合性の喪失」として保険収載されることが発表されました。この検査については得られた結果の解釈が重要となります。
この度、当学会前理事長小崎健次郎先生より「マイクロアレイ染色体検査の結果解釈の補助ソフトウェアツール」の開発公表をいただきましたので、ご案内申し上げます。
- マイクロアレイ染色体検査の結果解釈の補助ソフトウェアツール
https://cmg.med.keio.ac.jp/arraryclassified/ - 開発提供:厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「先天異常症候群のライフステージ全体の自然歴と合併症の把握:Reverse phenotypingを包含したアプローチ」(研究代表者:小崎健次郎)
マイクロアレイ染色体検査普及のための産学連携コンソーシアムについて
マイクロアレイ染色体検査普及のための産学連携コンソーシアムは、マイクロアレイ染色体検査の保険適用にあたり、患者に適時かつ適切に網羅的な遺伝学的解析の恩恵を届けるべく、各企業とアカデミアが連携の目的で2022年4月に、任意団体として設立されました。
活動は、これまで検査報告内容の統一化、臨床検査会社に寄せられた依頼医からのよくある質問への回答集の作成、アカデミアにより作成した解釈補助ソフトウェアの普及、QRコードを用いた、報告書内容のデジタル化、結果解釈のセミナー等の取り組みを進めてきました。
メンバーは以下のアカデミア、企業から構成されています。
- 慶應義塾大学医学部臨床遺伝学センター教授 小崎健次郎
- 藤田医科大学分子遺伝学教授 倉橋浩樹
- 神奈川県立こども医療センター遺伝科部長 黒澤健司
- H.U.フロンティア株式会社/株式会社エスアールエル
- 株式会社LSIメディエンス
- 株式会社ビー・エム・エル
- アジレント・テクノロジー株式会社
■マイクロアレイ染色体検査解釈方法学習資料
本項目は、マイクロアレイ染色体検査普及のための産学連携コンソーシアム主催で開催されたマイクロアレイ染色体検査の解釈に関する過去2回のウェビナーで使用された講義資料内容です。
■マイクロアレイ染色体検査(D006-26 染色体構造変異解析)に関するQ&A
(2022年6月3日)
マイクロアレイ染色体検査が、「D006-26染色体構造変異解析」として保険適用となり、臨床検査として定着しつつあります。そこで、診療の中でこの検査を用いる際の基本事項を「マイクロアレイ染色体検査普及のための産学連携コンソーシアム」(2022)がQ&Aとしてまとめました。適正に検査が行われることを願い、ここに掲載致します。