研究の背景と目的

研究の背景

新生児集中治療室に入院する重症新生児の一部には、遺伝学的な原因によるものが含まれています。近年、これらの中に治療可能な疾患が含まれることが分かってきました。新生児期には、疾患特異的な臨床徴候が乏しいことが多く、また、急速に重篤化する恐れもあります。

このような児に対しては、 原因究明のための検査や原因に基づく治療開始をできるだけ早期に行う必要があり、海外でも取組みが始まっています。

研究の背景

研究の目的

i 迅速かつ精緻な遺伝学的診断

迅速かつ精緻な遺伝学的診断
本研究では、新生児集中治療室に入室し、遺伝的原因をもつと考えられる新生児に対して最新の網羅的遺伝子解析やオミックス解析を組み合わせることで、迅速かつ精緻な遺伝学的診断を行うことを目指します。

ii 新生児の後遺症なき生存率の改善と、個別化医療の実現

診断結果を迅速にベッドサイドに還元することで、薬物療法などの治療法想起のための情報を提供し、治療可能な遺伝性疾患をもつ新生児の後遺症なき生存率の改善と、新生児個別化医療の実現を目指します。

期待される効果

診断率の向上

網羅的遺伝子解析により、数千の稀な疾患について迅速な診断が可能となります。Gバンド検査の診断率は3~4%、マイクロアレイの診断率は10~20%とされますが、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析診断率は40~50%と報告されています。

迅速な治療

疾患の遺伝学的原因を迅速に特定することで早期の介入や不必要な検査や治療を回避することができる可能性があります。 国内外の研究で、網羅的遺伝子診断が診療に有用であることが報告されています。

重症新生児の予後改善

遺伝学的診断により、原因に基づく治療を早期に開始できる可能性があります。