ニヒリズム

(にひりずむ nihilism)

[Iran's former Princess Leila Pahlavi's] mother, Queen Farah, [...] acknowleged she had been depressed and without a "sense of purpose in life".

`Where has God gone?' he cried. `I shall tell you. We have killed him -- you and I. We are all his murderers. [...] God is dead. God remains dead. And we have killed him.

---Nietzsche


人生に意味はないとする考え方。広義には、否定的、破壊的な態度一般を指す。 虚無主義。

「人間には固有の目的がある」 というのが西洋哲学を長いあいだ支配していた考え方だった。 たとえば、アリストテレス哲学においては すべての存在者は固有の目的(目的因)を持ち、 ドングリがオークの木になることを目指すように、 人間は真理を追及する理性的な人生を目指すべきである。 また、キリスト教においては人間は神に従って生きるべきであり、 自然法を信じる人々は自然に従って生きるべきであった。 これらの考え方に共通するのは、 人間は誰か(何か)によって与えられた「使命」がある、 という目的論的世界観である。

しかし、近代になり科学的世界観(機械論的世界観) が発展するにつれ、 このような目的論はしだいに流行らなくなり、 ついにはニーチェが「神は死んだ」 「真理も道徳も相対的なものだ」などと言いだすようになる。 この発想、すなわち 「人間には(これまで考えられてきたような)人生の目的が存在しない」 という考え方がニヒリズムである。

ちなみに、「ニヒリズム」という言葉はツルゲーネフが『父と子』(1862)において 最初に使用したとされる。

10/Aug/2001


上の引用は以下の著作から。


KODAMA Satoshi <kodama@ethics.bun.kyoto-u.ac.jp>
Last modified: Thu Mar 6 08:00:03 JST 2003