優秀発表賞

第22回大会でのポスター各賞を受賞された先生方のコメントをご紹介します(敬称略)。

瀧井 美緒(岩手県立大学)

この度は第22回学術大会におきまして優秀発表賞をいただき,誠にありがとうございました。第22回大会準備委員会の先生方,ならびに発表に興味を持っていただいた皆様に心より感謝申し上げます。本研究は,公益財団法人日本健康アカデミーの助成を受け実施した,学校教員の児童生徒の睡眠に関するメンタルヘルスリテラシー向上を目的としたプログラム作成の一部を報告いたしました。学校教員の知識や理解の現状を踏まえ,リーフレットと動画を使用した研修を行うことで,睡眠への理解が深まるだけでなく,児童生徒対応における教員のニーズ把握,SC等専門職との共通理解促進,教員の業務負担軽減にもつながると期待できる研究です。リーフレットは学校教育関係者向けに配布可能ですので,気軽にお申し出ください。 最後に共同研究者の先生,本研究にご協力くださった方々に心よりお礼申し上げます。これからも現場に活かす実践と研究を進めて参りたいと思います。

瀧井先生

今泉 菜緒

この度はこのような名誉ある賞をいただき,誠にありがとうございます。今回発表させていただきました「ストレスマネジメントに基づく薬物防止教室が高校生の薬物乱用への態度とストレス反応に及ぼす影響-仲間関係への対処法の比較-」では,個人の行動に着目した群とピアに着目した薬物乱用防止教室を行い,比較検討を行いました。その結果,ピア着目群においては危険性・有害性と薬物乱用への考えに対しては使用リスクを低める結果でしたが,比較対照群との違いは見られませんでした。ですが,断る自信には個人差があり対人依存傾向が低い者ほどピアに着目することが有用であることが確認されました。今後の課題としては,ピアの影響性を受けやすいたと考えられる対人依存傾向の高い者への効果的な介入方法を検討する必要があると考えられます。最後になりますが,本研究に携わっていただきました全ての方々にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。

今泉先生

研究奨励賞

寺戸 武志(上越教育大学教職大学院)

この度は、このような栄誉ある賞をいただきありがとうございます。本研究は愛知教育大学の五十嵐哲也先生、福田博美先生、東京学芸大学の江角周子先生とともに進めている不登校予防に向けた研究プロジェクトの一環として実施し、共著で発表させていただいたものです。不登校が傾向として顕在化する前の予兆の段階で把握できればと考え、約2,800名の児童生徒の皆様のご協力をいただき尺度作成を試みました。ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後、妥当性の検討や実際の出席状況との関連についての調査などを行い、学校の先生方が少しでも早く子どもたちの「学校へ行きたくない気持ち」に対処できるための支援ツールとなるように、さらに開発を進めていきたいと考えております。この度は誠にありがとうございました。

寺戸先生

新牧 恭太(久留米大学大学院)

この度は,名誉ある賞を賜り,誠にありがとうございました。本研究では,化学療法開始時及び3カ月後のがん患者のストレスコーピングが心的外傷後成長(Post traumatic growth:PTG)に与える影響を検討しました。その結果,問題解決に向けた積極的な対処がPTGの促進に有効であることが明らかになりました。また,化学療法開始3カ月後の絶望感もPTGを高めることが示されました。しかしながら,不安や絶望感によって引き起こされたPTGは,苦悩を一時的に緩和する一方,非現実的な楽観主義が精神的健康に悪影響を及ぼす可能性があります。従って,がん患者に対するPTG促進を目的とした支援や介入においては,適応的コーピングを育むためのアプローチやプログラムの重要性が示唆されます。今後は,これらの知見を基に,支援方法の開発や臨床現場への応用を目指し,精進してまいります。本研究におきまして,治療で大変な中ご協力頂いた患者様に,心より感謝申し上げます。

土屋 さとみ(アース・キッズ株式会社)

この度は、大変貴重な賞をいただき、誠にありがとうございます。子どもたちの発達支援に携わり、ひたむきに取り組んでいる中で、本研究に興味をもっていただけたことを嬉しく思います。本研究は、バランス感覚の向上を介した療育がポジティブな感情を喚起する効果について、発達の特性を考慮して検討したものです。アース・キッズ株式会社、マスセット株式会社、株式会社チャイルド社の三社共同研究で実施いたしました。マスセット株式会社提供の用具を活用した療育は、特性に関わらず、楽しい・面白い等のポジティブな感情を喚起させる効果が確認されました。一方で、気持ちよさについては感覚の過敏さ等を考慮する必要も示唆されました。療育は、「楽しくなければ続かない。もっとやりたい!が成長に繋がる」との想いで、「できた!」や「楽しい」を大切にしています。目標や特性に合った用具を用いて、子どもたちが笑顔で成長できるよう尽力してまいります。

土屋先生

戸髙 美月(別府大学大学院)

この度は大変名誉な賞を受賞させていただき誠にありがとうございました。私はプロアクティブコーピングを中心に研究しています。プロアクティブコーピングとは,将来起こりそうなストレスに対してあらかじめ対処法を準備することで最近注目されている概念です。今回の研究では「就業者のProactive Copingは仕事ストレスを緩和できるか」(共著:外山浩之(ヘルシンキ大学)・田村理絵(別府大学院臨床心理学専攻)・岩野 卓(福島県立医科大学)・矢島潤平(別府大学))と題して,就業者1540名を対象とした調査を行いました。その結果,プロアクティブコーピングを選択している個人ほど,仕事のパフォーマンスや取り組み方,生活への満足度や身体的健康度が高く,フラストレーションや抑うつ症状が低いことを明らかにしました。  これから,修士論文の提出に向けて更に一層努力をかさねて,今後も,働く人々のストレス対処につながるような研究をすすめていきます。