日本ストレスマネジメント学会News Letter Vol.22

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 朝晩に涼しく感じる日が増えて参りました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。東日本大震災から10年の節目となる年、そして新型コロナウィルスにかかわる状況の変化などが生じる中、個人と社会をより良い状態に保つために、改めてストレスマネジメントの大切さが実感されます。ニューズレターVol.22では、以下の内容にて学会および会員の皆さまの活動を発信いたします。

1. 第19回ストレスマネジメント学会学術大会を開催して

第19回大会長 川﨑 聡大

 無事に第19回日本ストレスマネジメント学会学術大会を終了することができました。まず、ご参加いただいた皆様、ご登壇いただいた先生方、ご発表いただいた皆様に心より御礼申し上げます。さらに、ご支援いただきました事務局をはじめ嶋田理事長を筆頭に理事会の先生方にも併せて御礼申し上げます。COVID-19に最初から最後まで状況が読めない中ではありましたが、東日本大震災の10年の節目の年に専門職種の支援が現実から乖離しないために、また「支援のための支援」に陥らないためにも今一度「綺麗事ではない現実を今一度振り返る」を裏のテーマとして掲げて学会を準備いたしました。学会後のアンケートを拝読させていただいた感触では一定の目的は達することができたと自負しております。これも皆様のご支援と大会を一緒に作り上げた準備委員会スタッフの熱意によるものでございます。
 オンライン開催ということもあって勿論課題も残りましたが、オンラインでここまでできた!という一つの学会全体の実績にはなったと考えております。次年度は現地開催、今回の大会の数倍、数十倍の学びの場と充足感を得ることができると久留米大学の先生方の展開を楽しみにしております。少し皆様から頂いた感想も踏まえて学会を振り返りたいと思います。まず25演題に及ぶ一般発表で活発な意見交換が行われました。若い方のご発表に私も大いに活力をいただいた次第です。受賞された先生、おめでとうございます。基調講演では、加藤道代先生(東北大学大学院教育学研究科名誉教授)より東日本大震災以降10年間のSチルでの支援の歩みをお聞きしました。多くの方から「当時を思い出した」とコメントをいただいております。今回のテーマを踏まえていただいたご講演、先生の真摯な姿勢があふれ出たご講演に称賛の嵐でした。特別講演では清元秀泰先生に東日本大震災でのDMATの活動や、今、医師として行政のトップとしてコロナ下での取り組みをお聞きいたしました。 誰も正解がわからない中、先進的な取り組み科学的に検証しつつ展開される姿に「称賛と感動の嵐」でした。なお、質疑応答では学生の質問に真摯に答えてくださる姿にも感動いたしました。専門家として、そして行政のトップとして尊敬に値する先生にご登壇いただけたこと改めて感謝いたします。

 さらに清元先生はストレスマネジメント学会の方向性にご賛同いただき今回全くのボランティアとしてご登壇してくださいました。この心意気に準備委員会一同、大きな勇気をいただきました。二つのシンポジウムも聞きごたえのある素晴らしいものでした。DPATでご活躍されている池田先生(桜美林大)から、感極まってお話をされる先生のお姿に真の専門家の矜持を感じましたし、東日本大震災でオンタイムで支援に入られた氏家先生(仙台大)のお話に「何のための支援か」を考えさせる心意気を感じました。「EARTH」(兵庫県教育委員会震災・学校支援チーム)の活動は是非多くの方に知っていただきたい素晴らしいものでした。阪神淡路を教訓に被災した学校を教職員が支援する組織で、心のケア班で活躍されている三村先生(養護教諭)から「先生だからできる支援」について話題提供をいただき大いに学ばさせていただきました。これは是非全国の人々に知っていただきたい!と自身のツイッター(https://twitter.com/Vn7rfILsHyD3gCu/status/1447039890667945986?s=20)でも紹介させていただきました。二日目の3つの研修は参加者の方の感想からも近年にない充実ぶりであったのではないかと推察しております。杉山登志郎先生のスロットル全開の臨床・研究ともに意義深いお話、江西孝仁先生の初学者にも系統的にわかりやすい基本に則ったお話、冨永良喜先生の明日から実践可能な有意義なお話、本当にありがとうございました。
 最後に二つの感謝を述べさせていただきたいと思います。まず私事になりますが、修士課程の折に阪神淡路大震災があり、半端な学生であった私にいろいろな経験をさせていただいた本学会顧問の冨永良喜先生に深く御礼申し上げます。先生の教えが今回の学会のコンセプトに流れております。冨永先生ありがとうございます。

次に、事務局長として二人三脚で今回の学会を支えていただきました前田先生に感謝とお詫びを申し上げます。思考のぶっ飛ぶ大会長との二人三脚は正直毎日「骨折もの」の気苦労をおかけしたと思います。私は研究者としてはそろそろ「終活」が近づいていますが、前田先生はこの学会を背負って立たれるお方。このお詫びは近い将来前田先生が大会長を務められる時に果たさせていただくこととしますね。

 今回の学会は黒字となりました。その背景には半数以上の非学会員の参加者の皆様の存在が大きく、ある意味本学会への期待の表れと私は思います。本学会が伝統墨守に終始することなく、若い人の声を積極的に拾い上げ、本当の意味での上記の期待に応えるために、なすべきことは何か積極的に発信される団体であることを切に願っています。

2-1. 大会優秀賞の紹介

 第19回日本ストレスマネジメント学会学会発表優秀賞および奨励賞が下記論文に決定いたしましたので,ご報告させていただきます。
〇学会発表優秀賞
菅井美香(東北大学大学院教育学研究科)
「COVID-19感染拡大下におけるASD傾向と精神的ストレスの関係―予防行動,危機意識の観点から―」

〇学会発表奨励賞
杉山智風(桜美林大学大学院 国際学研究科 国際人文社会科学専攻 博士後期課程2年)
「定時制高校に通う生徒を対象とした抑うつ予防を目的としたストレスマネジメントの効果の検討」

受賞者の声

第19回日本ストレスマネジメント学会学会発表優秀賞を受賞して
菅井美香(東北大学大学院教育学研究科)

 この度は,日本ストレスマネジメント学会第19回学術大会におきまして大会発表優秀賞という栄誉ある賞を頂き,大変光栄に存じます。大会長の川﨑聡大先生や事務局長の前田駿太先生をはじめとした大会実行委員会の皆さま,当日私の発表をお聞きくださった大会参加者の皆さまに厚く御礼申し上げます。
 私は,第19回学術大会において,「COVID-19感染拡大下におけるASD傾向と精神的ストレスの関係―予防行動,危機意識の観点から―」という演題で発表させていただきました。本研究は,210名の成人に対してストレスの程度,ASD傾向,予防行動の実施率,感染への危機意識の程度を調査することで,COVID-19による日常生活の大きな変化がASD傾向の高い人に与える影響について探索的に検討することを目的に行ったものです。調査の結果, ASD傾向が高い人はCOVID-19感染拡大下におけるストレスの程度が大きいこと,感染への危機意識とASD傾向には有意な関連が認められないこと,ASD傾向の高さに関わらず多くの人が予防行動を実施していることが分かりました。今回の調査はインターネット調査であることや人数が限定されたものであったことなどから解釈に様々な制約があるとは存じますが,感染症の流行がASD傾向の高い人に与える精神的な影響についてその一端を明らかにすることができたという点で意義を認めていただけたのではないかと考えております。
 ASD者やASD傾向を強く有する人がCOVID-19により受ける影響については明らかになっていない部分が多く,今後さらなる研究が行われることと思います。本研究が関連領域における研究の一助となることを願っております。 今回の受賞を励みに,より一層の努力を重ね,発達障害に関する研究領域に少しでも貢献できるように研鑽を積んでいきたいと考えております。
 最後に,本研究発表を行うに当たりご指導,ご鞭撻を賜りました東北大学大学院教育学研究科の野口和人先生,神谷哲司先生をはじめ本研究を支えてくださったすべての皆さま,共同研究者である川﨑聡大先生,荻布優子先生,川田拓先生にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

第19回日本ストレスマネジメント学会学会発表奨励賞を受賞して
杉山智風(桜美林大学大学院 国際学研究科)

 この度は大変名誉ある賞をいただき,誠にありがとうございます。ご審査をいただきました第19回大会準備委員会の先生方,ご投票いただいた先生方に心より感謝申し上げます。
 今回受賞した「定時制高校に通う生徒を対象とした抑うつ予防を目的としたストレスマネジメントの効果の検討」では,定時制高校に通う生徒の皆様を対象として,アンガーマネジメントと問題解決訓練によって構成されたストレスマネジメントプログラムを実施し,ストレスコーピングおよび抑うつに対する介入効果の検討を行いました。実施した介入プログラムは,ストレスマネジメント学会Webページにて公開されている「ストマネマスターへの道」で示されている,ストレスマネジメントの中核要素を踏まえながら,学校の先生方のニーズや生徒の皆様の状態像に応じて構成いたしました。近年,児童生徒に向けたストレスマネジメントの実践やニーズは増加していますが,本研究では,実践報告の少ない定時制高校の生徒の皆様を対象に,ストレスマネジメントの有効性について実証的に検討を行った点で,研究としても臨床としても意義があると考えております。
 今回の発表も含め,私はこれまで,高校生の心理的不適応や問題行動を予防することを目的とした,ストレスマネジメントに関する研究に取り組んで参りました。高校生年代は,これまでの義務教育課程に比べると支援の手が回りにくいことや,進学や就職に備える準備段階にあるといった特徴があると考えています。こうした特徴を踏まえると,全員に等しく”ストレスとの上手な付き合い方”を考え,身に付けてもらうことができる最後の世代とも考えられます。現在だけでなく,生徒の皆様の長い人生に少しでも貢献できるように…という思いから,先行研究ですでに明らかになっているストレスマネジメントの有効性の担保および精度の向上が必要と考え,プロセス変数を用いた効果検証や学級集団へのアセスメントが重要である,という着想に至りました。このような視点が,本研究の基盤となっています。自分自身,まだまだ未熟なところも多いですが,今回の受賞をさらに励みとして,先生徒の皆様や学校の先生方に研究成果を還元できるよう,より一層,努めて参りたいと思います。また,今回の論文が,児童生徒を対象としたストレスマネジメントに関する取り組みの一助となれば幸いです。
 最後になりますが,一瀬英史先生をはじめとした共著者の先生方には,さまざまなご助言をいただくとともに,手厚くご指導を賜りましたこと,心より感謝申し上げます。そして,介入プログラムに参加してくださった生徒の皆様や,多大なお力添えをいただいた学校の先生方には,この場を借りて改めて,心よりお礼申し上げます。生徒の皆様の感想や,現場の先生方の貴重なご意見は,日ごろの研究および臨床活動において,大変励みとなっております。

2-2.学会参加者の声

「学会に参加して」小松果歩(川崎市総合教育センター)

 この度は,日本ストレスマネジメント学会第19回大会に参加させていただきました。大会事務局の皆様・関係者の皆様におかれましては,このような難しい状況のなか,大会を開催してくださり,誠にありがとうございました。全国の先生方に直接お会いできなかったことは残念でしたが,大会事務局の皆様のご尽力により,大変有意義な2日間でした。本当に,ありがとうございました。
 私は,災害後の心理社会的支援に関心を持ち,これまでも何度か東北の被災地域を訪問させていただいたことがありました。今大会が「災害とともに生きる−ストレスマネジメントの未来−」というテーマで開催されると知り,参加をとても楽しみにしておりました。会期中に諸先生方のご講演やご意見等を拝聴し,災害と復興について改めて考える機会をいただけたこと,また,日々の臨床へのヒントを頂戴できたことを大変有難く存じます。
 私自身も一般演題として,「被災した地域住民がコミュニティを維持・形成する過程-コミュニティ感覚に着目して-」(○小松果歩・池田美樹)をご報告させていただきました。この研究は,先に修士論文研究として実施し,被災地域へ赴き,釜石市や気仙沼市,名取市で,地域活動にご尽力されている多くの地域住民の方々にインタビュー調査にご協力をいただいた大変思い入れのある調査でした。震災から10年が経った節目に開催された大会で,発表の機会をいただくことができ,大変感慨深い気持ちです。今回の発表を通し,新たな課題も発見することができました。今大会での気づきは,今後の研究活動や日々の臨床に役立てていきたいと考えております。
 最後になりますが,今回,このような情勢の中でもオンラインで大会を開催し,研鑽の機会を作ってくださった大会関係者の皆様に改めて心より御礼申し上げます。来年は,皆様に直接お目にかかれることを楽しみにしております。

3-1.「ストレスマネジメント研究」J-STAGEへ掲載

 学会誌「ストレスマネジメント研究」が国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナルプラットフォーム「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)に掲載されることになりました。ぜひご利用ください。

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/sutomane/-char/ja

3-2.学会賞受賞

第5回優秀論文賞(山中寛賞)を受賞して
町田 規憲(早稲田大学大学院人間科学研究科)

 この度は,このような名誉ある賞をいただき,誠にありがとうございます。査読審査にて,本論文の学術的意義を深める上で有益なご指摘をくださいました査読者ならびに編集委員の先生方には,厚く御礼申し上げます。

 今回受賞いたしました拙著「高心配性者の認知行動的側面に対するメタ認知的介入の効果―注意訓練法と自己教示訓練の単独効果比較―」(共著者:佐藤健二・田山淳・清水健司)は,私が信州大学人文学部在籍時に取り組んだものであり,共著の先生方をはじめとする多くの方の支えとご協力によって完成したものでした。この場をお借りして,改めて,心より感謝申し上げます。
 本論文では,単なる心配性(≒性格の問題)として軽視されがちである一方で,実際には全般不安症や大うつ病性障害と同程度の心理社会的困難を経験している高心配性者を対象としました。全般不安症や高心配性者の該当者数は非常に多いことが研究レベルでも臨床現場の声としても挙げられている一方で,その半数以上が「自分で解決したい」「時間的・金銭的コストの観点から困難」等の理由で,一切の心理社会的支援を受けていないことが明らかになっています。そのため,高心配性者に対する短期的支援を可能にする実行可能な支援法ならびに標的変数の特定が求められています。また,高心配性者の当事者の方からは,臨床現場でも研究上でも,日常生活機能を支える機能的行動の維持・増進が,重要な治療目標・動機として報告されていますが,既存の心理社会的支援による結果の報告は不足しており,かつ一貫していないというのが現状です。さらに,高心配性者の症状面に短期間で効果を示しているメタ認知的アプローチはプログラム研究がまだまだ進められておらず,その作用機序や組合せの必然性についてもエビデンスが不足している現状がありました。そこで本研究では,この問題に,対象者のニーズと実行可能性を重視する立場から取り組み,初期のエビデンスを示すことを目的としました。

 詳細な結果は原著に譲りますが,全体としては一部希望も見えた一方で,まだまだ検討の余地のある課題も残されました。これら課題については,その後現在に至るまで,より精緻な手続き等を用いながら,続けて検討を進めております。研究を進める中で見えてきた要点に基づく工夫や課題は,他の研究対象にも共通する点を多く含んでいると感じています。今回の研究や現在進めている研究が,高心配性者の枠を超えて様々な心理社会的支援,ストレスマネジメントの研究・実践や,議論のきっかけになれば幸いです。今後は,今回の受賞をさらなる励みとして,更なる検討とその知見の共有・還元に注力してまいりたいと思います。
 最後になりますが, 本研究にご参加いただいた研究協力者の方々に,改めて,心より御礼申し上げます。

4.「認定ストレスマネジメント実践士(仮)」の資格概要

矢島 潤平(別府大学)

資格設置の背景

 日本ストレスマネジメント学会は,ストレスマネジメントの理論と実践技法を用いて,心身の健康の維持増進及び疾病の予防と回復を目的に基礎研究と実践研究を通して社会貢献を目指しています。特に年1回開催される学術大会では,研究発表のみならず,実践に役立つシンポジウム,実践場面での活動状況等からみえてくる課題のブラッシュアップ,多様な研修会,役に立つスキルの習得を提供し会員全体のストレスマネジメント実践力のスキルアップに貢献しています。更に,諸先輩方が,教育領域,災害支援領域などはじめとする様々な場所にて地道に実践活動を続け,社会から頼られるようになってきました。今後も本学会への期待や社会的責任が強く求められる中,社会から更なる信頼を得るために,宿願であった学会認定資格の設置に着手しました。

資格の概要

 名称を「日本ストレスマネジメント学会ストレスマネジメント実践士」(仮称)としました。この資格は5年ごとの更新制とします。ストレスマネジメント実践士に求めるコンピテンス(小関ら,2021)は,基礎コンピテンス(ストレスマネジメントに関する基礎的知識と理論など)と実践コンピテンス(支援対象者に役立つストレスマネジメントの実践など)から構成しています。詳細は下部に記載されている文献を読んでください。資格の取得方法は,①日本ストレスマネジメント学会の会員であること,②研修を受講し,試験に合格することの2点です。研修は,表1に示したとおり,必修研修(3時間),選択必修A(3時間),選択必修B(3時間)から構成されています。なお,特例措置(研修の講師等で受講できないなど)として,研究業績による申請も受け付けることとします。申請方法は,webによる申請を予定しています。

学会認定資格の実践領域での広がり

 資格取得者は,本学会が重点的に取り組んでいる教育・特殊教育,災害支援,産業・労働,基礎・医療,ライフスタイルの各領域での活躍が期待されています。そこでは,個別や集団への支援(面接,アセスメント,コンサルテーション等)はもちろんのこと,組織への心理教育,社会への啓発及び広報活動,実践プログラムの研究及び開発,研修会の講師派遣,研究者と実践家の協働の支援,災害支援におけるロジスティクス業務などストレスマネジメントをキーワードに多くの具体的な活動を行うことができます。

進捗状況

 現在,学会関連資格対応委員会を中心に,名称,資格の概要,取得方法,規程の設置などの鋭意準備を進めています。第一弾として,日本ストレスマネジメント学会第19回大会のシンポジウムで概要を披露させて頂きました。大会時のアンケートでも期待の高さを感じました。今後進展がありましたら,ホームページやニューズレターにてお知らせします。

【文献】

小関俊祐 , 杉山智風 , 岸野莉奈 , 伊奈優花 , 三井梓実 , 貫井 侑 , 山口昂亮 , 森石千尋 , 一瀬英史 , 嶋田洋徳(2021)ストレスマネジメントに関するコンピテンスの体系化と今後の展開,ストレスマネジメント研究,17,41-48

DOI:https://doi.org/10.50904/sutomane.17.1_41

5.日本ストレスマネジメント学会オンライン研修会2021のお知らせ

研修委員長 小関 俊祐(桜美林大学)

 2020年度に開催させていただきました、オンライン研修会は大変ご好評いただき、たくさんの先生方に受講いただきました。本学会としては初めての試みであることに加え、コロナ禍のさまざまな対応もあり、受講証や領収書の発行に一部遅れが出ましたことを、あわせてお詫び申し上げます。このような課題がありつつも、受講された先生方からは高い評価を得ることができ、また新たな研修のご要望もいただきました。

 加えて、先だって開催されました日本ストレスマネジメント学会第19回大会総会でもアナウンスがありましたとおり、現在日本ストレスマネジメント学会では、学会資格の認定の準備を行っております。昨年度および今回ご用意させていただきました研修も、この学会資格の認定要件に組み込めるよう、手続きを整えているところです。資格制度および研修企画の充実が、ストレスマネジメントの発展と社会貢献に寄与することを、心から願っております。

 本研修は、いずれもウェブでの開催ということで、通常の大会時の研修会のような、インタラクションの機会が担保できていないことは大きな課題ではありますが、いつでも、どこでも、受講いただけるというメリットもあります。また、1つの研修は2時間30分程度で構成されており、2つ以上の研修を受講いただくことで、臨床心理士の資格更新のポイントとして申請いただくことも可能です(2つ以上の研修の受講につき2ポイントの申請が可能です。3つ以上受講していただいた場合も2ポイントとなりますのでご了承ください)。ただし、学校心理士の資格更新に関しましては、認定運営機構がウェブでの研修の認可を対応検討中ということで、現時点では認定のポイントにはなりません。学校心理士につきましては、情報が出そろいましたらあらためてお知らせいたします。

 なお、本研修受講料は会員および学生会員には限定価格として1講座あたり2,500円にて受講いただけます。限定価格での受講をする際には、購入画面にて学会メーリングリストで配信しましたパスコードを入力してください。非会員の方は1講座あたり3,000円になりますので、今後の学会認定資格の取得も見込んでいただき、この機会に入会をご検討いただけますと、大変うれしく思います。

6.  2022年度年次大会開催の予告

下記の通り、次年度年次大会の開催が予定しております。
詳細は決まり次第、順次学会ホームページ等でご案内いたします。

次期大会委員長:岡村尚昌先生(久留米大学)
事務局長:三原健吾先生(九州龍谷短期大学)

プログラム委員長:栗木明裕先生(筑紫女子大学)
会期:8月下旬から9月上旬の土日

7.委員のご紹介

 今期、当会の運営に関わっている理事や委員会委員の先生方をご紹介させていただきます。今号(Vol.22)では、実践研究推進委員会と研修委員会の皆さまです。アンケート方式で、①お名前②委員会名③出身地④勤務先⑤勤務先の自慢できる場所と料理⑥趣味⑦自己PRについて、お尋ねしました。これまでにご紹介させていただいた先生方につきましては、お名前とご所属のみを掲載いたしました。多彩なご専門やお得な情報が盛り込まれていますので、ぜひご覧ください。

実践研究推進委員会

①矢島 潤平 YAJIMA Junpei(別府大学)
①倉田 知子 KURATA Tomoko

②実践研究推進委員会
③神奈川県
④本郷メンタルサポートさぷる 玉川学園
⑤町田にある玉川学園には農場(農学部)があり、桜と菜の花が満開の季節には素晴らしい里山風の景色になります。そこで養蜂している蜂から採れた蜂蜜や、蜂蜜飴、蜂蜜入りアイスクリームはとっても美味しいです。(購買部で販売してます)
⑥小さな花の写真をアップで撮ること(iphoneですが)   

⑦さぷるでは臨床動作法を中心としたカウンセリングや研修会を行なっています。玉川学園では小学生から高校生まで対象に心の授業を継続して行なっています。4人のカウンセラーで知恵を絞り、発達段階に合わせたプログラムを作成、更新していくのが楽しみです。

 ①岩野 卓 IWANO Suguru

②実践研究推進委員会
③北海道
④大分大学オオイタダイガク
⑤大分には、湯布院や別府といった温泉が各地にあります。また、海産物も豊富で、関アジ、関サバなどが美味しいです。
⑥趣味:サウナ、料理、心理学
⑦嗜癖行動・依存症の誤解を解くような研究をしています。情報発信のために、YouTubeも始めました。お暇な時にのぞいて頂けると嬉しいです。YouTube「ばっちこい心理学」https://www.youtube.com/channel/UCP4-g_Hw0BNtTgNnqLXjWOg

①浦田 英範 URATA Hidenori

②実践研究推進委員会 
③熊本県
④西南学院大学 人間科学部 心理学科
⑤大学のキャンパスの中には遺跡元寇防塁があります。また、車で10分ぐらいのところに、paypayドームもあり近くには海もあり風光明媚なところです。大学から徒歩で5分ぐらいのところには、西新商店街があり、博多の名物の水炊きや一蘭のラーメンなど、海鮮のおいしい店などたくさんあります。
⑥森林浴、温泉、映画鑑賞
⑦私は、精神分析学を学び実践してきています。その途中では阪神淡路大震災への支援をきっかけに、リラクセーション法なども学び実践しています。 現在は大学と小学校のスクールカウンセラー(月に1回程度)として臨床を行っています。

研修委員会

①小関 俊祐 KOSEKI Shunsuke(桜美林大学)
①三原 健吾 MIHARA Kengo

②研修委員会
③福岡県北九州市
④九州龍谷短期大学
⑤佐賀県の最東端にあり、博多から新鳥栖駅まで新幹線で12分と交通アクセスに優れています。夏には西日本最大級の筑後川花火大会を観覧することもできます。また、久留米市にも近く、ラーメン、もつ鍋、焼き鳥などB級グルメの宝庫で親しみやすい街です。
⑥これからブレイクしそうな若手お笑い芸人の発掘
⑦ストレスと健康への心理生物学的アプローチをテーマとしています。特に、生きがいや成長感などのポジティブな心理的要因に着目して、唾液中コルチゾール、free-MHPG(ノルアドレナリンの最終代謝産物)や血圧などのバイオマーカーとの関連を調べることで心身相関の生物学的メカニズムの解明を試みています。そして、このような基礎から臨床への心理生物学的な橋渡し研究を通じて、応用実践としてのストレスマネジメントに貢献できればと考えています。若輩者ながら微力ではありますが、研修委員会を通して本会のストレスマネジメントの専門性向上に尽力していく所存です。

①坂上 頼子 SAKAGAMI Yoriko(オフィスかけはし)
①宮下 啓子 MIYASHITA Keiko

②研修委員会
③大阪府
④近畿地方更生保護委員会、更生保護委員
⑤今の職場にはこの4月からの勤務です。場所は大阪の府庁や府警など官公庁が集積する大手前エリアにあります。私の勤務する委員会は、法務省・厚労省・国土交通省・財務省管轄の事務所や施設が入っている、17階建てのビルです。近くには大阪城があり、窓からは阪神高速が見えます。こんなところで働くのは初めてで、これまでは給食やお弁当の昼食だったので、「ビジネス街のランチ」をめっちゃ楽しみにしていましたが、コロナのことや面倒と言うこともあり、まだ外での食事や仕事終わりの一杯もできておりません。これからを楽しみにしているところです。
⑥映画鑑賞、温泉めぐり、ゴスペル、美味しいお酒と肴をいただくこと
⑦これまでは、大阪で小中学校教員として勤務し、東日本大震災の翌年教員を退職して、岩手県沿岸部宮古市に移り、宮古市・山田町・岩泉町の小中学校で勤務する巡回型SCとして5年、フリーで幼保~高のSCとして3年、計8年を過ごし、昨年春コロナの最中に帰阪しました。この春から、思うところがあり、加害者支援をやってみたいと考え、更生保護委員として勤務しています。ただ、施設でのカウンセリングや処遇プログラム実施ではなく、矯正施設を仮退院・仮出所のための審理に携わる仕事です。それにつけても、彼らと接するに、ストレスコーピングの拙さがそのまま非行や犯罪につながっているというケースがほとんどで、所内や院内での「ストレス・マネジメント」の教育や指導が、必須だと改めて、考えているところです。教育畑から司法畑へとフィールドが替わり、カルチャーショックを受けている毎日です。学会でも矯正施設で活動・研究されている先生方が多くいらっしゃると知りました。いろいろ勉強していきたいと考えています。よろしくお願いいたします。

①伊藤 大輔 ITO Daisuke

②研修委員会
③島根県松江市
④兵庫教育大学
⑤神戸ハーバーランドキャンパスは、人の賑わいを感じながらも、海も山も近く、自然が感じられる場所にあります。
⑥キャンプ、サッカー
⑦専門は、抑うつや不安、トラウマ関連障害に対する認知行動療法です。今後も学術的な研鑽を積みながら、社会的ニーズに対応できるストレスマネジメントのあり方について考えていければと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

①金澤 潤一郎 KANAZAWA Junichiro

②研修委員会
③福岡県北九州市
④北海道医療大学心理科学部
⑤北海道医療大学は札幌あいの里キャンパスと当別キャンパスがあります。いずれのキャンパスからも高層階からは地平線に夕陽が落ちる姿がきれいで、時折、学生達と一緒に眺めています。北海道はもちろん美味しい物の宝庫です。海鮮、ジンギスカンなどもありますが、牧場が経営するイタリアンレストランのフレッシュなチーズを使ったピザやカプレーゼなど絶品です。北海道にお越しの際はぜひ、ご連絡下さい。「金澤観光」がご案内させていただきます。
⑥食べログ閲覧、NBA、ジャズ、オールナイトニッポン
⑦専門は成人期の発達障がいへの認知行動療法です。医療、福祉、スポーツ、司法、産業、教育など幅広く活動しています。15年近く成人期の発達障がい領域で活動させていただき、その存在や知識は普及されてきた実感があります。しかし、系統立った研究や専門家への研修はまだまだこれからです。お仲間がもっと増えてくれると嬉しいです。

①蓑﨑 浩史 MINOSAKI Koji

②研修委員会
③大阪府堺市
④広島修道大学
⑤広島市には6本の川が流れていて水と緑に囲まれた自然豊かな街です。ゆったりと流れる川面を眺めていると、日々のわずらわしさも流れていくようです。豊かな山と川の恵みがおいしい牡蠣を育ててくれます。レモンもよくあいます。最近はホルモン天ぷらがお気に入りです。
⑥ドライブ、スーパー銭湯、カヤック、スイミング
⑦認知行動療法を基軸として、児童期青年期の子どものストレス、発達障害に関する支援に興味を持って臨床・研究活動をしています。

8.編集後記

野村 和孝(広報委員・早稲田大学)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し,2年の時が経過しようとしております。日本ストレスマネジメント学会におきましてもオンラインでの学術総会を行うなど,感染拡大の影響を受け,これまでにない対応が迫られています。今回のニューズレターでは,オンライン開催にご尽力いただいた第19回ストレスマネジメント学術総会大会長の川﨑聡大先生のご報告にはじまり,学術総会関連の記事を中心に掲載されております。今後の見通しが持ちづらい状況が続いておりますが,広報委員一同,会員同士の情報交換,情報共有の場としてニューズレターの作成に努めて参りますので,会員の皆様からのご意見ご提案をお寄せください。よろしくお願いします。