「ストレスのないライフスタイル」とはどのようなものかを考える時，私はいつも30年ほど前にテレビCMで流行した「くうねるあそぶ」（コピーライター 糸井重里氏）というキャッチコピーが頭に浮びます．この言葉は，よく食べ，よく寝て，よく遊ぶという理想のライフスタイルを端的に表しています．また，これらの行動は人間にとっての健康のバロメーターでもあります．私たちは，過度なストレスを受けると，食欲がなくなる（しかし，飲酒量は増える），眠れなくなる，家に引きこもるなど，ライフスタイルの面で様々な変調をきたします．逆に，日頃からライフスタイルを整えておくことで，ストレッサーへの耐性を高め，ストレス反応の表出を防ぐこともできます．健康的なライフスタイルはポジティブなメンタルヘルス状態を作りストレスの予防・対処に役立ちます．ストレスマネジメント行動は，リラクセ―ションなどの特別な技法を活用することだけではありません．バランスのよい食事（節酒や禁煙も含む），質の高い睡眠，日常の身体活動など日々の身近なライフスタイル活動の中にもたくさんあります．さらに，友人とのおしゃべりや趣味活動に没頭することなどもストレスの軽減に大いに役立ちます．このように，本分科会では，日常のライフスタイル活動（e.g. 運動，食事，飲酒，喫煙，睡眠，会話などの日常行動）を通してメンタルヘルスの改善に貢献することを目指しています．
上地 広昭（山口大学）