池田美樹災害は、非常に強く、かつ大きな変化を伴う非日常的なストレスフルな出来事です。出来事の始まりは明確ですが、災害に伴って生じる生活ストレスは、中長期に渡り、終わりが不明確であるといえます。災害に伴うストレスフルな出来事は、① 衝撃的な出来事の体験、②大切な人や物、地域社会を失う体験、そして③これまでと異なった環境下における生活など複合的であり、また時間の経過に沿って、さまざまに変化します。当然のことながら、災害を体験した人々に生じるストレス反応やその強さは、個々人で異なります。平時から、そうした災害時に起こりうるストレス反応を知り、うまくマネジメントすることは、人々が出来事の体験から生じるストレス反応を軽減し、現在の環境に適応していくまでの過程をサポートすることに役立ちます。  

当分科会では、緊急時・災害時におけるストレスマネジメントについて、何を標的(目的)とした介入であるのか、そしてストレスマネジメントのどの要素に効果が認められるのかという視点からの実証的な研究実践を推進して行きます。同時に、災害時のストレスマネジメントについて、発災直後の急性期から中長期にわたって、学会員はもとより、災害によって影響を受ける可能性のある全ての人々(被災した地域の人々、学校、地域社会、そして地域内外の支援者)を対象とし、知っておきたい知識と対処スキルを習得していただくことを目標として、普及啓発活動を行います。

池田 美樹(桜美林大学)

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