日本語
en
第29回日本緩和医療学会学術大会 第37回日本サイコオンコロジー学会総会 合同学術大会

プログラム

2024年6月6日18時現在

プログラム一覧


日程表

大会長企画

  • 全人的医療の根源とは~すべての医療者のために~
    演者:中井 吉英(関西医科大学名誉教授/京都翔医会 西京都病院 名誉院長・心療内科部長)

    • 心療内科医出身の大会長特別公演企画として恩師の中井吉英先生に、心身医学が大切にしてきた「全人的医療の根源とは」というテーマでご講演をいただきます。神戸コンベンションセンターは約20年前の阪神淡路大震災の地元で、河野博臣先生が主催された第2回国際サイコオンロジー学会及び中井吉英先生もご尽力された第18回世界心身医学会の会場です。この会場で、時空を超えて、緩和医療、サイコオンコロジーに携わるすべての医療者にお聞きいただきたいご講演です。私も楽しみにしております。
  • JSPM理事長×JPOS代表理事講演
    演者:木澤 義之(筑波大学 医学医療系)
    秋月 伸哉(がん・感染症センター都立駒込病院)

    • 日本緩和医療学会は日本医学会分科会加盟の学術団体で1996年に設立され、会員は医師、看護師、薬剤師などの多職種で構成され約12,000人です。日本サイコオンコロジー学会は1986年に国際サイコオンコロジー学会が創設されたことに呼応して、同年、日本臨床精神腫瘍学会(後の日本サイコオンコロジー学会)が結成され、翌1987年に第1回学術大会が開催されました。会員数約1,700人で 過去4回両学会は合同大会を開催しています。両学会の今後の展望と協働について両学会のリーダーよりご講演をいただき、ともに学術、臨床、教育研修、社会貢献で高め合えることを共有できるセッションとなることを期待しています。
  • 時空を超えて考える
    演者:保坂 隆(保坂サイコオンコロジー・クリニック)
    四宮 敏章(奈良県立医科大学附属病院)

    • お二人の演者がそれぞれサイコオンコロジー、緩和医療に関係してこられたヒストリーについて時空を超えてご講演いただきます。どのようなフィロソフィーやご縁があり今のご活動につながったのか、この大会を通じて届けたい未来に向けてのメッセージを共有できればと思います。このセッションは大会全体の架け橋となるものです。是非ご参加、ご視聴ください。
  • 怒りへの対応~このしくみを知っておけば、もう悩まなくていい
    演者:清水 研(がん研有明病院)

    • 医療現場で遭遇する感情として怒りの問題があります。患者、家族、医療者にも起こりえます。この仕組みと対応について、非常に臨床経験が豊富で多数のご講演や著述活動をされている清水研先生にわかりやすくご講演をいただきます。是非ご参加、ご視聴ください。
  • 河野博臣メモリアル企画
    演者:大島 彰(国立病院機構 九州がんセンター)

    • 我が国のサイコオンコロジーの起点となった神戸ゆかりの人として河野博臣先生の存在を私たちはもう一度思い返してみることは重要です。心身医学の先達とも交流がありました。神戸市垂水区の自院でのサイコオンコロジー、緩和医療の臨床、日本サイコオンコロジー学会の創設、阪神淡路大震災の年に第2回国際サイコオンコロジー学会の開催、神戸いずみの会の運営、完成期医療構想など、ゆかりの人、土地を訪ね、当時の資料、書籍などを紐解きながら河野博臣先生の足跡、功績を振りかえります。現在、未来に伝えるべきメッセージを河野先生と深い交流がありました大島彰先生のご講演を通じて共有したいと思います。是非ご期待ください。
  • マルチレベルの相互作用を広げていく全人的医療
    演者:蓮尾 英明(関西医科大学)

    • 全人的医療としての緩和医療、サイコオンコロジーについて心身医学的な新しい視点で最新の話題を取り入れながらご講演いただきます。今後の緩和医療、サイコオンコロジーの発展、希望につながる企画です。ご期待ください。
  • 3人の自著を紐解く、生死との向き合い方
    演者:四宮 敏章(奈良県立医科大学附属病院)
    清水 研(がん研有明病院)
    保坂 隆(保坂サイコオンコロジー・クリニック)

    • 演者3人それぞれの時代、立場でサイコオンコロジー、緩和医療に従事してきました。その多くの患者さんとの出会いを通じて経験したことをそれぞれの言葉で出版されています。各人の自著を紹介しながら、「生死との向き合い方」について円環的にクロストークをするという斬新な企画です。大会二日目後半、リラックスして楽しんでご参加、ご視聴いただきたいセッションです。ご期待ください。

海外セッション(英語)

  • 海外セッション1:命を終えたい患者とどう関われば良いか? 韓国、日本、台湾の医療者らの経験から得られた示唆 
    What to do when a seriously ill patient wants to die? Implications from Experiences by Korean, Japanese, and Taiwanese Medical Professionals

    • 重い病を持つ患者が死を望む時、医療者はその希望をどのように受け止め、関連法指針に基づいてどのようにケアすれば良いのでしょうか。積極的安楽死や医師による自殺幇助が認められない国/地域において、耐え難い苦しみを経験して死を望む患者の尊厳をどう守るべきか、課題は未解決のままです。各国の専門家から実践知と理論知を学ぶことにより、最善の緩和ケアを提供するための方策を探索します。
      When a seriously ill patient wishes to die, how should healthcare providers accept their wish and how should we care for them in accordance with relevant legal guidelines? The issue of how to protect the dignity of patients who experience intolerable suffering and wish to die remains unresolved in regions where active euthanasia and physician-assisted suicide are not permitted. By learning practical and theoretical knowledge from experts, we hope to explore ways to provide the best palliative care.
  • 海外セッション2:Palliative care for children with severe neurological impairment

    • 小児緩和ケアの対象疾患は、がんだけでなく非がん疾患が多いことが特徴です。中でも神経疾患の患者の割合は高く、米国の小児緩和ケアチームの対象患者の約3割が先天奇形・染色体異常及び神経疾患のこどもたちと報告されています。日本でも5歳未満の死亡原因の1位は先天奇形、染色体異常であり、緩和ケアニーズは高いと考えられますが、わが国おいて小児神経疾患に対する緩和ケア介入はまだまだ進んでいないのが現状です。 小児神経疾患は予後が不確実であり、エビデンスが限られていることから、治療方針の決定において様々な葛藤が生じやすくなります。また、多くのこどもたちが様々な症状を抱えているとされていますが、その評価が難しく介入につながらない実態もあります。 今回、Boston小児病院で長く小児神経疾患の緩和ケアに取り組まれ、この領域の第一人者であるJulie Hauer先生をお招きし、小児神経疾患の緩和ケアの実践についてお話しいただくことになりました。米国での実践から私たちができることについて考える機会になればと思います。
  • 海外セッション3:Young adult men and the delivery of a biobehavioral intervention to improve health outcomes
    【一般社団法人 日本心身医学会】

    • 本講演では、International Journal of Behavioral Medicine誌の編集長・国際行動医学会の次期理事長で、サイコオンコロジーの専門家である、Hoyt教授に、男性の若年成人のがん患者に対する、心理社会的介入に関するご講演をいただきます。本講演により、若年成人のがん患者さんに特有の問題点と、それに対する治療介入方法の知見を学習する機会を提供したいと考えています。さらに、このご講演を契機に、日本における臨床や研究が発展することを期待しています。
  • 海外セッション4:An Integrative Medicine Approach to Pain Management

    • 統合医療では、鍼治療やマッサージ、音楽療法、ヨガなどの運動療法をはじめ、幅広いアプローチが症状緩和に用いられています。海外では米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology: ASCO)や統合腫瘍学会(Society for Integrative Oncology: SIO)等からエビデンスに基づいた症状緩和における統合医療の推奨が出されています。アメリカのがんセンターでどのように疼痛のある患者に対して統合医療的なアプローチが利用されているのか知ることで、本邦でも新たな取り組みにつながるかもしれません。本セッションでは、がん患者における統合医療をご専門にされている緩和ケア医で、MDアンダーソンがんセンターで統合医療を実装されているGabriel Lopez先生が来日され、痛みに対する統合医療の観点からのアプローチについて、学術的、臨床的、そして教育的なご講演くださいます。このまたとない機会に、統合医療のエビデンスや臨床応用について多職種の皆様と共に学びを深められれば幸いです。
      A wide range of approaches are used in integrative medicine for symptom relief, including acupuncture, massage, music therapy, yoga, and other forms of exercise therapy. Overseas, the American Society of Clinical Oncology (ASCO) and the Society for Integrative Oncology (SIO) have issued evidence-based recommendations for integrative medicine in symptom palliation. Knowing how integrative medicine approaches are used in cancer centers in the U.S. to treat patients with pain may lead to new approaches in Japan. In this session, Dr. Gabriel Lopez, a palliative care physician specializing in integrative medicine for cancer patients and implementing integrative medicine at MD Anderson Cancer Center, will visit Japan to give an academic, clinical, and educational presentation on the integrative medicine approach to pain management. We hope to take this unique opportunity to learn more about the evidence and clinical applications of integrative medicine with interdisciplinary health care professionals.
  • 海外セッション5:APHN-JSPM joint session:Primary palliative care in Asia-Pacific region

    • 重篤な患者とその家族の健康関連の苦痛を和らげるにあたり、プライマリケアにおいて質の高い緩和ケアを提供することは、アジア太平洋地域を含む世界中で非常に緊急かつ重要な課題です。本セッションは、アジア太平洋ホスピス緩和ケアネットワーク(APHN)と日本緩和医療学会の共同企画(APHN-JSPM Joint Session)として開催され、日本、マレーシア、ニュージーランド、フィリピンの多職種の医療者がプライマリケアにおける緩和ケアの現状を紹介し、専門的な緩和ケアとの連携および提供システムについて議論します。インドと日本からの共同座長と共に、アジア太平洋地域におけるプライマリ緩和ケアの現状、課題、および今後の展望についての理解を深めていけることを楽しみにしています。
      Delivering quality palliative care in the field of primary care is a very urgent and important topic worldwide, including in the Asia-Pacific region, to relieve the health-related suffering of seriously ill patients and their families. In this joint session organized by the Asia Pacific Hospice Palliative Care Network (APHN) and the Japanese Society for Palliative Medicine (JSPM), interdisciplinary clinicians from Japan, Malaysia, New Zealand, and the Philippines will introduce the current status of primary palliative care and discuss various topics such as delivery systems and coordination with specialty palliative care. Together with co-chairs from India and Japan, we look forward to deepening our understanding of the scope, challenges, and opportunities of primary palliative care in the Asia-Pacific region.

教育講演

  • 教育講演1:難治性がん疼痛の診断と治療に役立つ身体所見と画像所見のみかた
  • 教育講演2:医療受診にまつわるLGBTQの課題
  • 教育講演3:オピオイド受容体を介した鎮痛研究の最前線
  • 教育講演4:スペシャルポピュレーションに対する薬物療法を考える
  • 教育講演5:視覚・聴覚・知的障害のあるがん患者~ニーズを想像できる医療者・支援者であるために~
  • 教育講演6:発達特性を持つ人への関わりと支援
  • 教育講演7:サイコオンコロジーを動かす医療AI
  • 教育講演8:緩和ケアにおける適応外使用について考える
  • 教育講演9:神経ブロックの基本のき
  • 教育講演10:ミックスメソッドのすすめ
  • 教育講演11:心不全における精神心理的苦痛の評価と緩和ケア
  • 教育講演12:鎮痛補助薬って、実際どう使い分けるの?
  • 教育講演13:がん医療における心理療法を「きちんと学ぶ」シリーズ第2回:アクセプタンス&コミットメント・セラピー
  • 教育講演14:排尿障害の緩和ケア
  • 教育講演15:緩和的放射線治療のエビデンス
  • 教育講演16:サバイバーに聴く サバイバーシップケアとは何か
  • 教育講演17:医療を受ける子供への上手な関わり方
  • 教育講演18:ガイドラインで推奨されたDecision Aids、質問促進リストの使い方

合同シンポジウム

  • 合同シンポジウム1:脊椎転移への対応
    【特定非営利活動法人 日本骨転移研究会】

    • 臨床的に問題となる骨転移は、がん患者の10-15%と言われ、年間15万人程度の新規発生があると予測されています。これは、大腸がんの年間罹患数にも匹敵する数です。骨転移診療は、患者数や関わる医療者の広がりからも、緩和医療領域でかなり大きな分野にもかかわらず、関心が低い側面があると思われます。 特に脊椎転移は骨転移の3/4で見られ、疼痛や麻痺で動けなくなるリスクがあり、これを回避することは、最期のときまでトイレに自分で行ける、食事を自分で摂れるなど、人間としての尊厳を保ち、周囲の介護の負担を減らすことにつながります。 緩和ケアでは痛みのみがフォーカスされがちですが、脊椎転移への対応には上記のことから、通常のがん診療に加えて、理学所見や画像所見からの気づき、画像・病理診断、放射線治療、緩和的外科治療、IVR、リハビリテーション医療、在宅への移行などを職種・診療科横断的に行うべき、様々な問題があります。各分野の専門家は、横断的診療を俯瞰して、それぞれの視野からの問題をとらえる必要があります。
  • 合同シンポジウム2:骨転移以外の緩和ケア・緩和的放射線治療~骨メタだけじゃない。骨転移以外の緩和的放射線治療~
    【公益社団法人 日本放射線腫瘍学会】

    • 緩和的放射線治療はがん特有の痛みや症状を緩和し、緩和ケアにおいて重要な役割を担っています。薬物療法のSTEPに関わらず考慮されるものであり、単回~少数回の照射で症状緩和が得られています。特に有痛性事転移や転移性脊椎圧迫に対する緩和的放射線治療に関しては、豊富なエビデンスがあり各種ガイドラインでも強く推奨されています。現在、さらなる緩和的放射線治療の普及を目的として、院内・院外連携の推進をはじめとする普及活動を推し進め、多くの患者が療養する場所に関わらず緩和的放射線治療が受けられる体制づくりを目指しています。一方、骨転移以外の有痛性病変や腫瘍出血などに対する緩和的放射線治療に関しては、放射線治療医以外に広く認知されているとは言えない状況にあります。そこで本シンポジウムでは「骨転移以外の緩和ケア・緩和的放射線治療~骨メタだけじゃない。骨転移以外の緩和的放射線治療~」と題して、様々な病態に対する緩和的放射線治療の有効性について紹介するとともに、理解を深めていただく機会ととなればと考えています 。
  • 合同シンポジウム3:「がんと診断された時からの緩和ケア」をいかに現場に広めるか
    【公益社団法人 日本臨床腫瘍学会】

    • 国が「がんと診断された時からの緩和ケア」を、がん対策推進基本計画における重要課題と位置付けて久しいですが、臨床現場においては未だに「抗がん治療の終了後」や終末期が迫ってからようやく患者・家族に緩和ケアが提示される事例が後を絶ちません。がん治療の発展に伴い、進行がんであっても長期予後が十分期待できることも増え、緩和ケアの役割を「(身体的)苦痛の緩和」のみと誤解されると、早い時期に紹介されることは患者・家族にとっても抵抗感が強いと推察されます。本シンポジウムにおいては、がん治療医、緩和ケア提供者、そしてがん患者それぞれの立場から、緩和ケアに関する現状と課題をお話いただき、「診断時からの緩和ケア」を「絵にかいた餅」で終わらせないための方策について、皆で議論を深めたい次第です。
  • 合同シンポジウム4:在宅緩和ケアにおける精神症状の対応
    【一般社団法人 日本在宅医療連合学会】

    • 皆さんは在宅緩和ケアを受ける患者の精神症状について、困ることはありませんか?実際には困っていたとしても、在宅という環境の特性上から、入院している患者と比べて介入や評価が難しいこともあり、これまであまりフォーカスされてきませんでした。また、敢えて病院との違いについても語られてきませんでした。しかし、実際には病院と異なる部分もあるのではないでしょうか。環境や人との関わりの違いはもちろんのこと、治療の限界など、病院と在宅の違いはさまざまです。この企画では「在宅ならではのこと」「病院と在宅変わらない普遍的なこと」それぞれ精神症状の対応について、学び合える場になることを期待しております。一般の在宅診療でよく遭遇する「せん妄・不安・抑うつ」を中心に、一般の在宅医、精神科医、訪問看護師らがそれぞれの経験を踏まえて議論します。
  • 合同シンポジウム5:薬学の緩和医療への貢献―薬学的エビデンスを踏まえた上で―
    【一般社団法人 日本緩和医療薬学会】

    • がんや緩和医療に用いる医薬品の増加や治療法の複雑化伴い、本分野における薬学の基礎的な知識が益々重要となってきています。しかし、最先端の医学・薬学的エビデンスをどのように応用し、患者の生存率やQ O Lの向上につなげるかについての議論はほとんどなされていません。本シンポジウムでは、まず、基調講演として日本緩和医療薬学会理事長より最先端の薬学的エビデンスをご講演いただきます。それを踏まえた上で、大学研究者、病院薬剤師、薬局薬剤師が患者さんの包括的な薬物治療向上のために何ができるのか?医師が薬剤師に何を求めているのか?について議論をおこない、今後の緩和医療に薬学がどのように貢献できるのかについて考える機会とします。
  • 4学会合同セッション:救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン改訂:緩和医療学会を加えた4学会のガイドラインへ
    【一般社団法人 日本集中治療医学会・一般社団法人 日本救急医学会・一般社団法人 日本循環器学会・一般社団法人 日本人工臓器学会】

    • 2014年11月に集中治療医学会・救急医学会・循環器医学会の3学会で作成した「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン~3学会からの提言~」(以後、旧ガイドライン)の発表から、10年が経過しました。その間、日本は超高齢化社会を迎え、生命維持装置の開発が日進月歩でなされ、旧ガイドラインの示す終末期の定義に限定されない終末期像も指摘されるようになりました。さらに、旧ガイドラインでは、生命維持治療の終了や差し控えを判断した後に行うべき緩和ケアに関して明記されていませんでした。そこで、時代の変遷を踏まえて、当ガイドラインの改訂を行うこととなり、従来の3学会に日本緩和医療学会にも参入を依頼し、生命維持装置の終了/差し控え時に必要な緩和ケアも盛り込んだ「4学会のガイドライン」へ発展させることとなりました。当シンポジウムでは、改訂版ガイドラインのポイントを、4学会代表者らおよび、生命維持装置のエキスパートである人工臓器学会からの代表者を交えて議論します。

シンポジウム

  • シンポジウム1:“がん医療の妊孕性温存” ―今ある命と、今ここにない命をどう考えるかー

    • 第4期がん対策推進基本計画のがん医療体制の中に「妊孕性温存療法」が加わり、2022年に出されたがん診療連携拠点病院等の整備指針では、「対象となりうる患者や家族には必ず治療開始前に情報提供すること。患者の希望を確認するとともに、がん治療を行う診療科が中心となって、院内または地域の生殖医療に関する診療科とともに、妊孕性温存療法及びがん治療後の生殖補助医療に関する情報提供及び意思決定支援を行う体制を整備すること」が明記されている。 本シンポジウムでは、妊孕性温存に関する基礎知識や診療ガイドライン、日本の制度や現状を概説する。妊孕性温存は、今ある命と今ここにない命について考えることにもなる。妊孕性温存をしたくてもできない患者、余命短いが子供が欲しいと願う患者など、がん医療と生殖医療の場で、二つの命に向き合う共有意思決定について考える機会としたい。
  • シンポジウム2:がん患者の気持ちのつらさガイドライン

    • がん患者において抑うつ・不安といった精神心理的苦痛は頻度が高く、患者や家族に負担をもたらすのみならず、様々な深刻な悪影響をもたらす。 そこで日本サイコオンコロジー学会では、がん診療に携わる全ての医療者を使用対象者として、がん患者の「気持ちのつらさ」に関する診療ガイドライン策定に取り組んでいる。策定に当たっては、Mindsガイドライン策定マニュアルに基づき、系統的レビュー、外部評価など、妥当性・透明性を担保した手法を用いている。 本ガイドラインは、一定期間以上持続し、日常生活に支障を及ぼすような強い精神心理的苦痛を結果指標とし、系統的レビューにおいて、精神心理的苦痛に関する閾値設定が行われているかどうかを包含基準とした。臨床疑問として、薬物療法、精神療法、早期からの緩和ケアなど8つの介入の推奨が検討された。 本シンポジウムでは、本ガイドラインを概観し、8つの臨床疑問について検討結果を報告する。
  • シンポジウム3:様々な形のピアサポート

    • これまで国内で行われた患者体験調査で、がん患者が体験談や同病者との交流を求めていることが報告されています。国のがん対策の中でもピアサポートを推進するための取り組みが進められてきました。令和5年3月に閣議決定された第4期がん対策基本計画においても、分野別施策3.「がんとの共生」の(1)相談支援及び情報提供の中で「拠点病院等と民間団体やピアサポーター等との連携」が取り組むべき施策としてあげられています。現在、地域、病院、企業内と様々な場でピアサポーターは活動をしていますが、地域によって格差があることや、病院との連携においても様々な課題があることが指摘されています。当日は、患者会の活動を通して広がった病院内そして企業内でのピアサポート活動について、そして養成研修を行う中で病院や地域で広がったピアサポート活動について、それぞれピアサポーター・医療従事者の立場からお話をいただきます。より良い連携のための一助となるよう当日は活発な意見交換を予定しています。
  • シンポジウム4:がんと診断された時からの緩和ケアを推進するためのがん治療医との連携

    • 第4期がん対策推進基本計画では、緩和ケアが「がん医療」分野の分野別目標となり、これまで以上にがん治療と緩和ケアの統合を行っていく必要があります。そのためには各診療科のがん治療医と緩和ケアチームの院内連携や協働が重要となってきます。このシンポジウムでは「がんと診断された時からの緩和ケア」を推進するために各施設で行っているがん治療医との連携の工夫や取り組み、問題点などについて様々な職種・立場から発表していただきます。「がんと診断された時からの緩和ケア」をどうやって進めていけばいいか苦労されているご施設やがん治療医との連携に苦労されているご施設の参考になるシンポジウムにしたいと考えています。
  • シンポジウム5:高齢者に対するがん診療のあり方を考える-高齢者への緩和ケア、意思決定支援-

    • 超高齢化が進む日本においては、当然ながらがん患者も高齢化しています。高齢のがん患者では、治療の適応を左右する身体機能・臓器機能が若年者と異なるほか、疾患や治療法への理解力やそれまでの人生経験に基づく価値観にも大きな個人差があり、一概に「最も効果的な治療を勧めれば良い」とは限りません。近年、高齢がん患者に対する診療ガイドラインやがん薬物療法のガイドラインが作成されていますが、「がん診療と共にあるべき」緩和ケアに関しても、多様な高齢がん患者のニーズに沿った対応が求められます。本シンポジウムにおいては、各演者の講演をふまえて、このテーマについて皆で議論を深めたいと思います。
  • シンポジウム6:コミュニケーションをどこで学ぶか、学ぶ機会をどうつくるか?

    • いわゆる「がん告知」をはじめとする、生命に関わる疾患や状態に関する医療者-患者・家族間のコミュニケーションをより充実させていくことは、国際的に見て緩和ケアに関連した重要な課題と考えられています。わが国でも、がん対策推進基本計画には、病気の初期段階から患者と家族の心情に配慮した病状の伝え方を修得することが記載されています。コミュニケーションを技術として体系化し、それを学ぶプログラムが開発され、効果が実証されてきており、国内でも医師、看護師などが研修を受けることができるいくつかのプログラムが開発され実装されています。一方で、コミュニケーション技術研修を広く実施していくためにはコスト(時間、費用)、デリバリーなど多くの問題も残されています。本セッションでは、現在日本で受けられるコミュニケーション技術研修の内容や価値を紹介し、現在の課題、今後の方針について議論を深める予定です。
  • シンポジウム7:病院でも自宅でもない第3の場所におけるがん患者・家族への支援

    • がん患者や家族にとって療養の場の選択は、「自宅で過ごしたいが医療者の見守りがないと不安」「病院で過ごすことは安心だが面会や生活の自由が少なくなってしまう」など非常に難しい問題です。そのような困難さを和らげるために病院でも自宅でもない、地域生活のなかで緩やかな見守りを提供する第3の居場所としての施設の増加(サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、看護小規模多機能型居宅介護など)、がん患者や家族が語り合い交流できる場づくりなど様々な試みが行われています。医療者には現在、がん患者の療養の場の選択を支援するにあたり、病院か自宅かという二項対立ではなく、第3の居場所も含めたよりよい療養生活の場を考えることが求められています。本シンポジウムを通じて、がん患者や家族にとってどのような療養の場、療養を支援する場が存在するのか、がんの経過のなかでどのような過ごし方があるのか、療養を支援する医療者としての理解を深めたいと考えます。
  • シンポジウム8:緩和ケアの実践におけるメンタルヘルス専門家の役割と課題ー学際的視点から

    • 緩和ケアの実践では、身体の苦痛も心の苦痛も全体として把握することが求められています。身体の苦痛についての評価と対応だけでも多岐にわたる課題がありますが、心の苦痛についても幅広い課題が山積みとなっています。 本シンポジウムでは、緩和ケアの現場で従事するメンタルヘルスの専門家ならではの視点から見えることを4人の実践者が報告し、その役割と意義、課題を論じます。さらに緩和ケア領域でのメンタルヘルス専門家への期待を緩和ケア医が討論します。 登壇者は、精神科医で緩和ケア病棟と緩和ケア外来で緩和ケア診療を行ってきた津田真、精神科医で麻酔科、精神科、精神腫瘍科、緩和ケアチーム、緩和ケア病棟を経て在宅緩和ケアに従事する和田知未、精神看護専門看護師で総合病院の緩和ケアチームで従事する安達なさ子、公認心理師・臨床心理士で総合病院を経てがんセンター緩和ケアチームで従事する厚坊浩史、外科から緩和ケア医となり緩和ケア病棟を経て緩和ケアチームで従事する天野晃滋です。
  • シンポジウム9:緩和ケアと認知症 緩和ケア領域における認知症患者の意思決定支援-認知機能の評価も含めて-

    • 本邦は超高齢社会を迎え、特に認知症を有する方においては、その意思決定のプロセスが重要でその際の多職種協働は、もはや不可欠となっています。 本セッションでは、冒頭に座長より認知症の人は意思決定ができるということを前提にした「ガイドライン」の内容を含む認知症の人の意思決定支援の概要をお示しします。平原先生からは、認知症終末期の詳細、さらに認知症が進行した重度から末期の認知症の人の意思決定支援について報告していただきます。その上で、医療現場においてどのような支援が望まれるのか、を皆様とさらに共有していくために、認知症を有する方やそのご家族への心理・社会的支援を担うMSWの立場から、御牧先生が考える認知症の人の意思決定支援について、看護師の立場からは、西山先生に特にBPSDに対する考え方についてご紹介いただきます。
  • シンポジウム10:がんサバイバーの慢性疼痛治療

    • がんサバイバーとは、がん治療を終えた方だけではなく、がんと診断されたばかりや経過観察中などあらゆる段階でがんを体験しているすべての患者を指します。昨今、がん患者の治療成績の向上により、がんサバイバーが増加しています。これらのがんサバイバーが経験する痛みは、がんやがん治療による痛みのほかに、もともと併存していた痛み、消耗や衰弱による痛み、新たに発症した疾患による痛みなどがんとは直接関係のない痛みである慢性疼痛なども含まれます。がん疼痛にオピオイド鎮痛薬が処方されていた場合、慢性疼痛に対してもそのままオピオイド鎮痛薬が継続的に処方されているケースも散見され、近年、治療内容が問題視されています。本シンポジウムでは、がんサバイバーの慢性疼痛に対する薬物療法、心理療法などの非薬物療法、ケアを含めた集学的アプローチや支援について考え、切れ目のない緩和ケアの提供につながる場としたいと思います。
  • シンポジウム11:緩和とサイコ、最新の研究up to date

    • 本シンポジウムでは、毎年恒例の「最新の研究up to date」を、日本緩和医療学会学術大会と日本サイコオンコロジー学会総会の合同学術大会に合わせまして、「緩和とサイコ、最新の研究up to date」として企画しました。演者は、分野6(教育・啓発普及・研究法・その他)のWG員が代表して担当させていただき、医師・薬剤師・心理士・リハビリ専門職(OT)・看護師の立場から、各職種に応じた最新の研究論文を紹介していきます。また、各論文は明日からの臨床に活かせるような視点を交えつつ紹介し、会場の参加者の皆さんとの情報・意見共有の場にしていきたいと考えています。皆さまの参加をお待ちしています。
  • シンポジウム12:終末期の口腔症状対応を再考する(口渇・粘膜炎・味覚障害)

    • 近年がん治療中の口腔内合併症に対する認識は高まり様々な支持療法が提唱され患者のQOL向上につながっている。終末期においても口腔症状を抱える患者は多いが、他の身体症状や精神症状に比べ後回しにされやすい症状でもある。しかし、最期まで「食べたい」「話したい」という希望を支える意味でも口腔症状の緩和はなお重要である。今回は終末期によくみられる口腔症状(口渇、口内炎、味覚障害)について、多職種の立場から現在臨床で行われている方法や新たな知見を踏まえ今一度緩和手段について考えてみたい。 ① 終末期における口腔症状の有病率、原因、薬物療法に関する現状と課題 ② 症状緩和のための口腔ケアの基本および専門的歯科処置、病院または在宅における歯科連携 ③ 看護師・歯科衛生士による口腔ケアの実践および食関連苦悩への配慮や家族ケアなど今後取り組んでいくべきこと について緩和ケア医、歯科医師、看護師の各演者からご発表いただく。
  • シンポジウム13:サバイバーのアイデンティティ確立、巣立ち、社会適応

    • 2024年に報告された院内がん登録2011年診断例の10年生存率集計結果の中で、AYA世代のがんについては、脳・脊髄腫瘍は5年実測生存率83.5%、10年実測生存率77.8%、子宮頸部・子宮癌は5年実測生存率88.6%、10年実測生存率87.2%と報告されています。この結果からは多くのがん患者が治療を終えた後社会に復帰していることが推定されます。AYA世代のがん患者には、この世代に特有の多岐に亘る悩みやニーズがあり、必ずしも医療機関の中だけで対応できるものばかりではありません。また、医療機関あたりのAYA世代がん患者の診療数は少なく、医療従事者がAYA世代がん患者の支援に関する知識や経験を蓄積しにくい実態もあります。AYA世代がん患者の長期フォローアップ体制はわが国において重要な課題であり、社会と協働して考えていく必要があります。 今回、UCSFベニオフ小児病院から2人の心理士をお招きしてこの課題についての米国での取り組みを紹介して頂くことになりました。米国の取り組みから日本での実践の工夫について考える機会になればと思います。
  • シンポジウム14:緩和ケアにおける倫理的なジレンマへの対応~対話と合意形成について考える

    • 緩和ケアでは、様々な倫理的ジレンマに陥ることがあります。自律原則では、患者と家族の希望は対立することがあります。また、患者の推定意思を検討する時に、推定する者が自分の希望を切り分けて患者の意思を推定することは簡単ではありません。与益・無危害原則では、患者の考える益と害が、家族や医療者の考えるそれと一致しない場合があります。あくまで、患者自身が考える益と害の観点から選択していく必要がありますが、医学的情報を正しく伝えることの難しさも影響します。正義・公正原則では、わが国では健康保険制度において受けられる医療が制限されることは少ないのですが、今後、高額な治療が増えてきた時に、倫理的ジレンマが生じる可能性があります。 これからの対象拡大等も踏まえると、合意形成の在り方や対話の場を創ることなどに専門性が発揮されるように思います。合意形成や対話をキーワードにして、現場での取り組みについて演者に披露頂き、様々なジレンマについて、当面の治療やケアの目標をどう多職種で共有していくのかについて検討します。
  • シンポジウム15:緩和ケアに必要な思考と態度にどう介入するか~若いスタッフを育て、仲間を広げていくために

    • 専門的緩和ケアに携わる医療者を育成するには、知識や技能に加えて、思考、態度、そして在り方にも介入する必要があります。これは、患者の個別性を尊重すること、全人的なアプローチを取ること、自己と他者の感情や価値観と向き合うこと、日常の診療やケアに倫理的なジレンマが絡むこと、そして複雑で難解な問題解決には良好な多職種チームアプローチが不可欠であることなど、緩和ケア特有の課題に由来します。知識や技能に関しては、カリキュラムやプログラムが整備されていますが、態度や在り方については、一定の指針はあるものの、育成する側が苦労している可能性があります。このシンポジウムでは、経験豊富な臨床家と哲学対話の専門家を招き、緩和ケアに必要な思考と態度を育むための効果的なアプローチを模索します。また、こうした教育に取り組んでいる方々からも積極的なご発言を期待します。
  • シンポジウム16:呼吸困難に対する非薬物的な対応

    • 呼吸困難は、がんや呼吸器疾患、心疾患、神経筋疾患など多岐にわたる終末期疾患患者において、約90%が経験する共通の課題です。これに対処するため、モルヒネなどのオピオイド鎮痛薬を含む薬物療法の効果に関する研究が増加していますが、全ての症例に対応可能なわけではありません。そこで、酸素療法や送風、高流量鼻カニュラ酸素療法といった非薬物療法の有効性に焦点を当てます。今回のシンポジウムでは、臨床と研究の双方で豊富な経験を持つ4名の専門家が、最先端の非薬物療法について、その実践方法と臨床における課題を共有します。特に、治療やケアの統一性の欠如がもたらす実践上の困難について、参加者の皆さまと積極的な討論を行いたいと考えています。この機会を通じて、呼吸困難に対する非薬物療法の理解を深め、患者ケアの質を向上させるための知見を共有しましょう。
  • シンポジウム17:がん患者のビタミンB1欠乏 ~忘れ去られた病態としての脚気~

    • ビタミンB1(VB1)欠乏はかつて「脚気(かっけ)」と呼ばれ国民病として多くの死者を出していましたが、その後の研究によって今や忘れられた病態になりつつあります。しかし、この「脚気」であるVB1欠乏症は、がんの治療中に多く生じており、がん患者の精神科併診患者の55%に認められるとの報告もあります(Isenberg, 2017)。これらはアルコールの多飲歴とは関係なく、さらにその症状はウェルニッケ脳症の三徴候である意識障害・運動失調・眼球運動障害に限らず、非特異的な症状が多いため見落とされやすいのです。VB1欠乏の治療はVB1の経静脈的投与で、早期発見であれば治癒できますが、治療されなければコルサコフ症候群を発症し、死亡率も17%と高値です。したがって、今や国民病であるがんの治療経過中のVB1欠乏には注意すべきであり、不可逆な病態を予防するため、注意喚起とともに考える機会としたくこの企画を立ち上げました。
  • シンポジウム18:緩和医療、サイコオンコロジーにおけるデジタル技術を用いた新たな患者支援

    • 医学の発展には新たな治療開発が不可欠であり、これは緩和医療やサイコオンコロ ジーの領域においても例外ではない。その中で、医療におけるデジタル技術の活用が 期待されている。本シンポジウムでは、現在、わが国で取り組まれている、デジタル 技術を用いたACPの実施支援、高齢者機能評価や乳癌術後の慢性疼痛に対するスマホ アプリを用いた最先端の患者支援の試みについて紹介し、今後の期待、課題について 議論したい
  • シンポジウム19:言語障害を抱える患者とのコミュニケーションを支える ~関わり方の工夫とデバイスの活用~

    • 臨床現場において言語疎通が困難な場合の診療やコミュニケーションは様々な課題を 抱えることが多くあります。本シンポジウムはこのような状況での診療やケアの一助となることを目指して言語障害をテーマとしました。 言語障害は大きく、「発声・構音障害」と「失語症」に分けられます。発声・構音障害は、発声発語器官のどこかに異常があり正しい発音ができなくなる状態であり、失語症は、大脳の言語領域に異常が生じたため言葉を使うことができなくなる状態です。特に失語症については症状も多岐にわたり、専門領域の医療者でなければ理解はかなり難しいと考えられます。 本シンポジウムでは、発声発語のメカニズム、失語症の基本について理解を深め、臨床現 場での工夫について議論したいと思います。また、発声困難な病態をサポートする最新の技術をご紹介いただき、その活用についても会場の皆様とともに検討したいと思います。
  • シンポジウム20:コミュニケーションについて何を明らかにしていく必要があるのか?

    • 近年コミュニケーションに関する研究が徐々に報告されるようになってきた。JPOSではコミュニケーションガイドラインが発刊され、臨床上参考になる知見を得ることができるようになった。しかし一方で実証された研究は少ないため、臨床場面の多くの場合ではいまだ経験的な取り組みが行われている。 今回コミュニケーションガイドラインの改訂作業にあたり、初版では知見があまりなかったためCQとして成り立たなかった領域や、今後ガイドラインをどう扱っていくかなど、あえてガイドラインの外の話題を中心としたシンポジウムを企画した。 具体的には高齢者や小児はガイドライン改訂で議論になったテーマや限られた知見(もしくは知見のない部分)、文化については演者の経験に基づく議論、そして、標準治療終了後のコミュニケーションやや普及実装は現在の取り組みについて、幅広く紹介していただき、まさに「時空を超えて、希望につながる」シンポジウムを開催したいと考えている。
  • シンポジウム21:がん悪液質で苦しむ患者と家族に対する身体症状、精神症状と心理社会的苦悩への多職種連携ホリティックマルチモーダルケア

    • がん悪液質患者は、身体的症状にとどまらず、精神症状や心理社会的な苦痛にも直面します。またこれらの問題は、患者だけではなく、家族にも異なる形で心理的な負担をもたらします。このため、患者とその家族に対するケアは、身体症状のケアだけにとどまらず、精神的なサポートや社会的な支援をも含めた全人的なアプローチが必要です。このような総合的なケアを提供するには、医師のみならず看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士など、多様な専門職が連携し、患者と家族を一単位として捉えたケアを行うことが重要です。本シンポジウムでは、がん悪液質患者と家族が抱える身体的、精神的、心理社会的な苦悩に対して、多職種が協力したホリスティックマルチモーダルケアの実践について議論し、その効果と課題について考察します。
  • シンポジウム22:がん患者の自殺 -アセスメントとケースマネジメントの実践-

    • 近年、がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針の地域がん診療連携拠点病院の指定要件として「がん患者の⾃殺リスクに対し、院内で共通したフローを使⽤し、⾃殺のリスクが⾼い患者に対し、院内で共通したフローを使⽤し、対応⽅法や関係機関との連携について明確にしておくこと。また関係職種に情報共有を⾏う体制を構築していること。⾃施設に精神科、⼼療内科等がない場合は、地域の医療機関と連携体制を確保していること」が求められ、病院内ではフロー策定の議論が⾏われています。本シンポジウムでは、ハイリスク患者のアセスメントやケースマネジメントをどう行うか、精神科の専⾨的介⼊の実際を紹介します。さらに、昨今の被災地におけるがん患者の心理社会的支援として、自殺対策の現状や取り組みにも触れる。がん患者の自殺対策について、実践的な取り組みを知り、医療者に求められる知識を得つつ、今後のあり方をともに考える機会となれば幸いです。
  • シンポジウム23:スピリチュアルケアの実践における支援者の姿勢:人と人とのあいだ

    • 病む人の心が苦しんでいる時、そこに関わる支援者には何ができるのでしょうか。その時、人と人とのあいだに何が起きているのでしょうか。本シンポジウムでは、スピリチュアルケアの実践に携わる医療従事者と宗教家が自らの実践を紹介し、実践を通して考えることを論じます。発表者は、看護師で緩和ケア病棟などにおいてスピリチュアルケアの実践と研究に携わってきた田村恵子、キリスト教チャプレンとして病院で精神的支援に携わってきた中井珠惠、精神科医でがん診療において精神的支援に携わってきた和田信です。さらに、三人の実践者の発表について、ケアの実践で人と人のあいだに何が起きているのか現象学の観点で研究を重ねてきた榊原哲也が、哲学者の立場から議論します。
  • シンポジウム24:多様な疾患や療養の場での緩和ケアを考える~専門家を超えて広げるために~

    • 世界的に非がんの緩和ケアの必要性・重要性は認識されているものの、我が国において、非がん患者に対して、どこで、どのような緩和ケアが提供されているかということについては知見が乏しいと言われています。また、全国の緩和ケア病棟のうち、約15%の施設で、非がん患者を受け入れたことがあるということが分かっていますが、実際に、どのような緩和ケアが提供されているかということは、知られていません。そして、高齢社会において、非がん患者に適切な緩和ケアを提供するためには、緩和ケア病棟以外の施設で質の高い緩和ケアが提供される必要性も指摘されています。本セッションでは、緩和ケア病棟や療養病床などで、実際に非がん患者を受けれている先生方から、どのようなケアを提供し、どのような課題があるかということを共有頂き、我が国における非がん患者の緩和ケアのあり方を皆さまと一緒に考えていきたいと思います。
  • シンポジウム25:出血への対応

    • 目的: 進行がん患者における出血の対応について、放射線照射やIVRといった侵襲的な手法と、薬物治療による内科的な対応と、それをもとにした看護ケアの実践について解説し、多職種協働について議論します。 内容: 1. 講演 本シンポジウムでは、まず放射線治療およびIVR専門医から、それらの技術で実施できる症例とその効果についての説明を行います。次に、緩和ケア医が抗凝固剤や抗血小板剤の中止、止血薬の選定と使用法、さらには前述の侵襲的手法の具体的な活用方法について話します。最後に、看護師からは全医療現場で役立つ看護ケアの実践、特に局所ケアと患者コミュニケーションの重要性に焦点を当てた内容を提供します。 2. 総合討論 総合討論では、参加者との双方向性の議論を行い、治療から看護ケアまで、進行がん患者の出血対応における多職種協働の重要性を浮き彫りにし、認識を共有することを目指します。
  • シンポジウム26:怖くない、脊髄鎮痛の管理をやってみよう

    • がん疼痛治療においては、ときに薬物療法による緩和が困難な痛みに遭遇することがあり、そういった場合に考慮されるのが神経ブロック等の非薬物療法です。持続硬膜外鎮痛や持続くも膜下鎮痛といった脊髄鎮痛法は、難治性疼痛に対する鎮痛法として非常に強力な手段ですが、カテーテルの挿入や維持管理、投与薬剤の調整などに技術と経験を要するため、実施可能な施設が少ないのが現状です。本シンポジウムでは脊髄鎮痛法に関して経験豊かな演者の方々にご登壇いただき、本法の適応や合併症、カテーテルの挿入手技と維持管理方法、投与薬剤の調整法といった臨床的なポイントに加えて、本法を普及させる上でどのような問題点や課題があり、それらをどのように克服すればよいかについてもご発表いただき、難治性疼痛を抱える患者やその家族にとって大きな福音となり得る本法のさらなる普及に向けて、参加者の皆様とともにアイディアを出し合えればと考えます。
  • シンポジウム27:AI時代の学び方

    • Chat GPTに代表されるように、AIに関する話題を耳にしない日はありません。いまや「AI時代」と言える現代において、AIは様々な分野で活用されています。医療業界においても日々の膨大な医療情報を整理し、活用する方法について様々な方法が考えられます。AIの登場により情報収集や作業の効率化が可能になりましたが、その分我々はAIに関する知識や活用法を学び、AIを活用する能力を養う必要があります。そこで、効率よく論文を収集する方法やAIを使った学習法に関する学びを深めることを目的に本シンポジウムを企画しました。本シンポジウムでは、AIを用いた文献収集や学習法について先駆的な活用法を実践されている3名の演者の先生に集まっていただき、AIの活用法についてお話しいただきます。本シンポジウムが皆さまの「AI時代の学び方」の一助となり、日々の臨床・研究に役立てていただければ幸いです。
  • シンポジウム28:死前喘鳴への対応

    • 本シンポジウムでは「死前喘鳴への対応」をテーマに、終末期患者に見られる死前喘鳴の理解を深め、その効果的な治療及びケアについて探求します。死前喘鳴は、がん患者の死亡直前期に約2~4割で発生する症状であり、患者やその家族にとって大きな苦痛となりうるため、適切な対応は医療従事者にとって重要な課題です。薬物療法では、抗コリン薬が伝統的に死前喘鳴の治療に用いられてきましたが、その効果に関する臨床研究は限られていました。そのような中、最近になり、予防的な抗コリン薬投与の有効性を示す研究が報告され、国際的な関心が高まっています。また、非薬物療法では、吸引、口腔ケア、体位変換、家族ケアなどについて、臨床研究・実践知が蓄積されつつあります。本シンポジウムでは、死前喘鳴の基礎的知識について概説しつつ、抗コリン薬の役割や非薬物療法、看護ケアの在り方について再考し、患者とその家族が直面する苦痛を軽減するための新たなアプローチを模索します。
  • シンポジウム29:小児・AYAーエビデンス up to date

    • 小児・AYA世代の緩和ケアに困っていませんか。令和6年度の診療報酬改定では、小児緩和ケア診療加算が新設され、小児に対する適切な緩和ケアの提供を推進することが求められています。 本セッションでは、小児・AYA領域の医療を専門とする3名のシンポジストをお迎えし、小児・AYA領域の緩和ケアの重要論文を紹介します。余谷先生からは医師の視点、名古屋先生からは看護師の視点、吉田先生からは心理士の視点で近年報告された論文や最新のトピックスを中心に、それぞれの専門領域に関する重要な知見をご紹介いただき、その発表を踏まえて現場でどのように活用していくかを議論したいと考えています。 参加者が1つでも多く明日の臨床に活かすことで、緩和ケアを必要としているお子さんやAYA世代の方、そのご家族に、適切に緩和ケアが届けられるようなシンポジウムになることを願っています。
  • シンポジウム30:緩和ケア専門職において必要な資質について考える

    • 近年、緩和ケアの領域で働く医療従事者は増え、がん診療連携拠点病院だけでなく、一般病院や診療所、在宅型の療養施設など多くの場所で緩和ケアが実践されています。入院での緩和ケア病棟や緩和ケアチーム、病院での緩和ケア外来、そして在宅緩和ケアと、緩和ケア専門職の活動の在り方も多岐にわたります。緩和ケアを専門とする医療従事者は、患者や家族に包括的ケアを実践し、共に働くスタッフとコミュニケーションをとり、さらに関わる多くの医療従事者とも連携してゆく必要があります。 『緩和ケア専門職において必要な資質を考える』 逃れられない人の生と死に関わる緩和ケアというこの領域において、感覚的で言語化しにくいこのテーマを、医師、看護師、薬剤師と立場の異なる4人の視点からお話いただき、会場の皆さんと共に考えたいと思います。 ここに集う緩和ケア仲間の心の核にもきっとある何かを、見つめ育める時間となることを祈って!
  • シンポジウム31:がん患者・家族への社会的支援の今〜「誰ひとり取り残さない」を目指した方策〜

    • 社会とのつながりの中でやりとりされる支援(=社会的支援)は様々なストレッサーの影響を和らげ、幸福感にも影響を与えることが知られている。がん患者やその家族・遺族の人生を支える社会的支援には実際にどのようなものがあるのだろうか。また、患者・家族等はどのように社会や周囲の人々とつながることで、がん罹患後に経験する様々な苦痛や困難に対処することができるのだろうか。 本シンポジウムでは、がん相談支援センター、地域を拠点とした暮らしの保健室や医療者や市民が集うサロン活動等の実践から、がん患者をめぐる社会的支援の現状と課題について報告する。また、誰一人取り残さないがん対策(第4期がん対策推進基本計画の全体目標)の実現に向けて、支援を受け取ることが困難で社会的孤立・孤独に陥るリスクの高い患者等へのアプローチを含めた支援のあり方や、個人・組織・地域社会・政策等の様々なレベルにおける方策を含めて議論する。
  • シンポジウム32:高齢がん患者の人生の最終段階をどこで、どのように看ていくのか?

    • 2025年からの多死社会が迫り、高齢のがん患者は増大傾向にあります。多くは在宅で最期まで過ごしたいと希望しても、苦痛症状への対応、緊急時の対応、療養環境、介護力、在宅の医療介護の支援体制等の課題もあり、たとえ苦痛が無くても在宅で最期まで過ごせない現状があります。在宅で過ごせない高齢がん患者の受け皿が緩和ケア病棟なのか療養型病院なのか、施設なのか。それぞれの現場での課題もあります。在宅も含めた各地域ではそれらの課題に対して地域の現状に即して様々な取り組みを行い、高齢者の看取りを支援しています。今回は看取りまでの支援も含め各現場での現状や課題、取り組みについて、在宅(医師、訪問看護)病院や施設(ホームホスピス)で支援に関わる演者から発表頂き、課題等を共有していきます。尚、今回のシンポジウムでは座長からも各演者に質問や疑問等も投げかけ、限られた時間ではあるが活発なディスカッションを行なっていきます。
  • シンポジウム33:非がん緩和ケアの普及啓発

    • 非がんの緩和ケアの重要性は認識されているが、なかなか普及しておらず、計画的な取り組みが必要です。これには非 がん領域の緩和ケアの認知と緩和領域の非がん疾患に対する理解を促進し、連携や研修の体制を構築し、診療報酬に実装する必要があります。本セッションでは、演者の先生方に施設内や地域における非がん緩和ケアの普及啓発の成功例や課題を共有していただきつつ、上述の方法や課題に関する取り組みを共有いただきます。
  • シンポジウム34:Stroke Oncology(腫瘍脳卒中学)

    • 日常診療においてがん患者の脳卒中に遭遇することは稀ではなく、がん患者が脳卒中を発症する場合に加え、脳卒中を契機にがんと診断されることがある。Stroke oncologyは「がんと脳卒中合併に関する多岐にわたる領域横断的なコンセンサスを形成する取り組み」であり、がん患者の脳卒中診療が抱える多くの課題やアンメットメディカルニーズに関し検討が行われている。がん患者の脳卒中診療にはがん診療医、脳卒中診療医、リハビリテーション医を含む多職種の連携が不可欠であり、がんと脳卒中により発生する様々な苦痛に対しては緩和医療のサポートが必要であると考えられる。本セッションではがん診療、脳卒中診療、リハビリテーションの視点からそれぞれStroke oncologyを解説していただき、がん患者の脳卒中診療における緩和医療の役割に関し議論していきたい。
  • シンポジウム35:非がん緩和ケア-エビデンス up to date

    • わが国の緩和ケアは、これまでがんに罹患した患者・家族を対象として発展してきました。しかし、今や緩和ケアを必要とする人の3人に2人は非がん疾患とも言われ、非がん領域での緩和ケアのニーズが注目されています。一方、非がん疾患患者に緩和ケアの光が十分に及んでいない現状があります。わが国の非がん領域の緩和ケアも、欧米と比較すると立ち遅れていたものの、近年では2018年に末期心不全が緩和ケア診療加算の適応疾患に加わるなど、広がりを見せています。本セッションでは、心不全、呼吸不全、腎不全、肝不全、神経難病、認知症、救急/集中治療の患者を含めた非がん領域の緩和ケアに関する最新論文・エビデンスを紹介します。そこから「あらゆる人と場所に届けられる基本的ケア」としての緩和ケアを再考し、がん以外の幅広い疾患の患者を対象に、本大会のテーマでもある“時空を超えて、希望に繋がる”ケアを届けるためのエビデンスを共有したいと考えます。
  • シンポジウム36:専門的緩和ケアの医療体制が不十分な療養の場での看取りの現状と課題

    • がん治療が終了した患者の看取りの場は、緩和ケア病棟のほかに、患者の地元の⼀般病院や療養型病院、在宅や介護施設など多様化しています。しかし、転院を希望しても看取りを含めた終末期医療を提供する困難さを理由に受け⼊れを断られ、転院先を探すことに難渋する場合があります。受け入れが難しい病院や施設の事情として、医療者の終末期ケアに必要と思われる緩和ケアについての経験不⾜や知識不⾜による不安、医療資源不⾜など、様々な要因があると想像します。このシンポジウムでは、実際に専門的緩和ケアの医療体制が十分とは言えない現場で看取りの医療やケアを提供している演者の方々の、それぞれの現状や課題、その中でも工夫している取り組みなどの、経験や知恵を共有します。その上で、参加者が自身のかかわる地域や立場から専⾨的緩和ケアの医療体制が不⼗分な療養の場での看取りに関する課題やできることについて考え、⽰唆をえる機会としたいと思います。
  • シンポジウム37:苦痛に対するアルゴリズム治療開発の現在地

    • 緩和ケア診療では、どこでも、誰でも、切れ目のなく提供するという継続性とともに、苦痛緩和に代表される緩和ケアの質の担保が必須である。苦痛の緩和について、緩和ケア研修会などの学習機会や各種教材が充実してきている一方で、現場では経験値による症状緩和の達成の差が出現しうることや、指導者がおらず医師が一人で緩和治療を実践しなければならないことも少なくない。そんな時、緩和ケア医が実践する通りの治療することで患者の苦痛を緩和が実現に近づく。厚労科研「がん患者の療養生活の最終段階における体系的な苦痛緩和法の構築に関する研究(19EA1011)」班等で、がん疼痛、呼吸困難、終末期過活動せん妄、終末期鎮静等で、緩和ケアの専門家の診療がアルゴリズムとして可視化され、その実施可能性をみる研究がおこなわれ、その有効性が示されている。本シンポジウムでは、苦痛緩和のためのアルゴリズム開発の状況と今後の展望について取り上げ、臨床におけるアルゴリズムの利用について考える機会としたい。

パネルディスカッション

  • パネルディスカッション1:在宅で使えるちょっとした緩和ケアのスキル

    • 近年、在宅医療・在宅緩和ケアが地域によっては選択肢に上がるようになっています。在宅医療に従事する医療関係者の方も増えてきましたが、なかなか他の医療者がどのような医療や工夫をしているのかを知る機会は少ないと思います。今回は在宅緩和ケアに従事もしくは関りが深い医師、看護師、相談員、薬剤師、それぞれの立場からちょっとしたコツや工夫などを話していただきたいと思います。また本セッションでは、緩和医療学会であり病院関係者の参加も多いと思いますので、病院側に知っておいて頂きたいことや、病院側からの質問なども受け付け、在宅医療・在宅緩和ケアについてディスカッションをし、相互理解が深まる場にもなればと考えています。ぜひお立ち寄りください。
  • パネルディスカッション2:地域でがん患者を支える体制づくり:病院と在宅の協働

    • がん患者が地域で安心して暮らせるためには、がん治療病院と在宅医療との連携充実は欠かせません。ただ、経口抗がん剤をはじめ、がん治療の多くが外来中心に展開される昨今、誰がいつ、どのように情報共有し、患者の思いやケアをシームレスにつなげていけるかには、未だに様々な課題が山積しています。病院側、在宅側のそれぞれが連携にストレスやジレンマを抱える一方で、少しでもより良い連携が図れるように、ITCや地域性を活かした工夫や取り組みもなされています。2017年からは地域の医療福祉関係者の顔の見える関係づくりを促し連携調整を行う「地域緩和ケア連携調整員」の育成も始まっています。今回のセッションでは、地域緩和ケア連携調整員の役割や、具体的な病院側・在宅側の取り組みについて紹介し、病院と在宅医療とがより良い協働関係を基に、より具体的な地域緩和ケアを支える地域づくりのための視座を共有していきたいと考えています。
  • パネルディスカッション3:不確かな情報に揺れ動く患者を、私たちはどう支援すれば良いのか?

    • がんに関する不確かな情報は世間にあふれています。がん患者、サバイバーは、「〇〇が原因でがんになったのではないか?」、「〇〇しないと再発するのではないか」と不安を抱き、不確かな情報に過度に影響され生活に支障ををきたすこともあります。また、患者の信じている不確かな情報に、どこまでどのように関われば良いのかと戸惑っている医療者も多いのではないでしょうか。 不確かな情報に接した患者の心理をどのように理解すれば良いのか、正しい情報を伝えるとはどういうことか、そもそも「不確かな情報」を信じてはいけないのか、そして、私たちはどう支援していけば良いのか。 本セッションでは、栄養士、情報発信者、社会学者、精神科医、様々な立場からご発言いただき、「不確かな情報に揺れ動くがん患者、サバイバー」について理解を深め、医療者としてどのように支援すれば良いかを考えたいと思います。
  • パネルディスカッション4:緩和ケアにおける患者・市民参画の現状と展望

    • 第3期がん対策推進基本計画において、がん研究分野においてがん患者及びがん経験者の参画の取組が推進されてきた。2023年3月に閣議決定した第4期がん対策推進基本計画では、はじめて「患者・市民参画の推進」が設けられ、国民本位のがん対策を推進するためには、国や地方、患者団体や学会等、がん患者を含めた国民が協力し、体制整備、啓発・育成の推進が必要であるとしている。 さらに、そのためには多様な患者・市民が参画できる仕組み作り、がん研究に加えて様々な領域に横展開を行っていくこと、患者・市民への啓発とともに、医療従事者や関係学会等の理解が必要であることも記述されている。 本邦での緩和ケア領域における患者・市民参画について、現状を踏まえ、今後の展開について議論する場を持ちたい。
  • パネルディスカッション5:これからの世界に求められる学術誌の役割“The Role of Academic Journals in the Coming World”

    • 専門領域を問わず、学術誌は多様な背景の医療者・研究者・教育者・政策立案者等が新たな知見を発表する場となっている。ホスピス緩和ケア領域においても、国内外で多数の学術誌が生まれてきた。変化の激しい世界において、各学術誌はそれぞれの特徴を持ち、投稿者と読者を繋ぐことで国内外のホスピス緩和ケアの向上に資する役割を担っている。本セッションでは、日本緩和医療学会の公式な学術誌であるオンラインジャーナルPalliative Care ResearchとJournal of Palliative Medicine(JPM)との編集に携わられる先生方をお招きし、これからの世界に求められる学術誌の役割について洞察を深める。
  • パネルディスカッション6:私たち医療者は「ヤングケアラー」という言葉とどう向き合い、支援できるのかー病院・自宅での支援の現場からー

    • 家族の介護・世話を担う18未満の子供、いわゆるヤングケアラーは日本の中高生の7.4%が該当し(A Kanehara., et al. Psychiatry Clin. Neurosci. Rep. 2022) 、がん医療においてもヤングケアラーに関する話題が増えています (Pauline Justin, at al. Are there young carers in oncology? A systematic review. Psychooncology. 2021;30(9):1430-1441.; Encountering young caregivers: Attitudes and practices of healthcare professionals caring for cancer patients. Psychooncology. 2023;32(6):913-922.)。また『患者の家族などにヤングケアラーがいないかどうか把握し対応すること』は「入退院支援加算1,2」加算要件でもあります。本パネルディスカッションでは、「医療現場におけるヤングケアラー」を医療者がどう捉え、そして、医療者の配慮について議論の場を作ることができましたらと思っています。
  • パネルディスカッション7:スタッフのレジリエンスについて考える~緩和領域でのしなやかさを育む~

    • 医療従事者の仕事は、非常にストレスの高いものになりやすく、多くの責任を担い、プレッシャーの下で働くことが求められます。特に終末期に関わるスタッフは,動揺や心理的負担を感じ,メンタルヘルスの悪化やバーンアウトのリスクがあるといわれています。このようなストレスからスタッフを守るための介入として、レジリエンスへの介入があります。これまでのシステマティックレビューでは、レジリエンスへの介入が、医療従事者のストレスへの対処を助け、身体的・精神的健康への悪影響から医療従事者を守ることが示唆されています。 今回のパネルディスカッションでは、医師・看護師・心理職といった様々な立場から、セルフケアの在り方や、レジリエンスに影響する要因を発表頂き、効果的なレジリエンス介入、スタッフのしなやかさを育むために、何ができるかを議論できればと考えます。
  • パネルディスカッション8:AYA世代と社会との繋がり-YA世代の就労を通して、社会全体の課題を考える-

    • 本セッションでは、AYA世代の中でも若年成人世代(YA世代)に焦点を当て、闘病経験を携えて社会へと踏み出し、自らの立ち位置を築いていくプロセスをいかに支援し得るのかを考えます。「就労」は、日常生活を成立させる経済面だけでなく、当事者が社会に働きかけ参加し、自分らしい生き方を掴むうえでも重要な要素といえます。YA世代の中でも、就労の経験がなくこれから社会人として踏み出していく時期と、ある程度のキャリアを一旦中断して治療に臨み復職する時期とでは、異なる課題もあるでしょう。ここでは、小児~思春期(A世代)の患児の親もYA世代にあたることも視野に入れ、家族の就労という側面からも考えてみます。医療の枠組みには収まらない他機関との連携も必要となり、当事者の経験を踏まえた新たな取組みも必須です。今回は医療とピアサポートの第一線で活動する演者に講演頂き、就労支援を通してYA世代の社会との関わりにおける今後の課題を討議したいと思います。
  • パネルディスカッション9:呼吸困難に対する薬物治療:疾患での違い

    • 呼吸困難は呼吸時の不快感覚( a subjective experience of breathing discomfort)と定義されます。様々な疾患で起こりうる症状であり、患者の苦痛となり、QOLを低下させます。Chronic breathlessness syndromeといった疾患を問わず呼吸困難を捉える動きがある一方で、疾患毎に呼吸困難の特徴が異なる可能性もあります。さらにその薬物治療を考える上では効果のみならず、基礎疾患によって有害事象の出現の仕方に違いが出ることも想定されます。本パネルディスカッションでは各疾患のエキスパートの先生方に疾患毎の呼吸困難に対する薬物療法について解説、ディスカッションを頂きます。参加して頂くみなさまが各疾患の呼吸困難に対する薬物療法において共通する部分、異なる部分の理解を深め、明日からの呼吸困難緩和の臨床に生かして頂ければ幸いです。
  • パネルディスカッション10:がん患者における心理社会的因子を主とする痛みを再検討する~さまざまな領域のエキスパートの視点から~

    • がん治療の進歩に伴い、がんサバイバーは増加しており、QOLを考えるうえで痛みのマネジメントは非常に重要である。しかしながら、根治的治療後の患者の35.8%が痛みを有していることが指摘されている(Snijders et al., 2023)。がんサバイバーの疼痛マネジメントにおいては、いわゆる「心因性」と考えられる ケースへの対応の難しさや、「ケミカルコーピング」が疑われるケースにオピオイドをレスキューとして漫然と処方し続けることのリスクといった問題がある。しかしながら、疼痛に関連する心理社会的因子については、評価や理解が不十分なのが現状である。 そこで、今回は近年注目されているがん患者における心理社会的因子が大きい痛みについて、疼痛についての概論、身体症状症、不安や痛みにまつわる自己効力感の低下、薬物の乱用・依存といった観点から、緩和領域以外の識者を交えることで議論を深め、治療的アプローチを提言したい。
  • パネルディスカッション11:緩和ケア・サイコオンコロジーの卒前卒後教育

    • 病院,在宅,地域,あらゆる場で多職種協働が求められています.その一方で、緩和ケアやサイコオンコロジーに関する知識や経験を有する者ばかりでないことも多く、連携に苦慮することがあります.本セッションでは,緩和ケアやサイコオンコロジーに関する各職種の卒前・卒後教育の状況を共有し、課題解決にむけて議論することで、多職種協働を促進するための機会となることを期待して企画しました. パネリストの先生方には,①腫瘍内科医として科学的根拠に基づいた教育や複雑な患者ニーズに応えられる専門家育成,②がん看護専門看護師として卒後教育の実際,③薬剤師向けの「緩和医療を担う薬剤師育成のための標準教育プログラム」,④リハビリテーション療法士向けの「がんリハビリテーション研修会」,⑤系統的な医学教育を受けていない心理職の卒後教育などについてご紹介いただきます.その後,緩和ケア・サイコオンコロジーの教育が必要な医療者の拾い上げや教育の効果および課題について,ディスカッションを予定しています.
  • パネルディスカッション12:緩和治療の介入研究体制の構築を目指して

    • 緩和医療に関する臨床試験、特にランダム化比較試験を実施することは容易ではない。実際に実施してみて最も苦労するのは症例集積であり、患者登録ができる施設の確保、つまり「患者登録ができる研究組織の構築」が重要になる。この セッションでは、今後、緩和医療に関する臨床試験をどのように推進していけば良いのかを、All Japanメンバーで検討したい。
  • パネルディスカッション13:多職種の専門性を引き出すチームビルディング

    • 医療の高度化と健康問題の複雑化を背景にチーム医療の実践は今や不可欠なものとなり、様々な場で多職種チームによる活動が展開されています。多職種チームにおいて各職種の専門性が必要であることは言うまでもありませんが、チームとして効果的・効率的に機能するには「チームの作り方」が重要です。例えば職種間での自由な議論が難しいという経験や、反対に職種間で意見が対立してしまい、議論が進まないといった経験は多くの方が体験されているのではないでしょうか。そこで本セッションでは、各職種の専門性を引き出し、チームの力を最大限発揮するにはどのようなチーム作りができるのか議論したいと思います。患者・家族のニーズに応えるチーム作りを目指すとともに、チームメンバーが多職種チームとしての活動の意義を実感し生き生きと活動できることを目指して、チームの力を高めるための方略や工夫を見出す機会となれば幸いです。
  • パネルディスカッション14:こどものホスピスや家族滞在施設の紹介

    • 緩和ケアの対象となるこどもと家族を支援するための「こどもホスポス」や「ファミリーハウス」などのような施設が全国的に広がりつつあります。病院でもなく自宅でもない「第3の場所」という選択肢が増えることで、こどもと家族が日々の生活をより良く過ごせる可能性が高まることは想像に難くありません。しかし、「こどもホスピス」とはなにか、どのようなケアが提供されているのか、意義や活動形態について、まだ理解が浸透していません。 本企画では、「こどもホスピス」や「ファミリーハウス」を実際に運営されている第一線の方々に登壇していただき、理念を含めた総論的なこと、および各施設の現状や課題などご報告いただいた後、議論を進めていきます。 小児緩和ケアはもちろん、成人緩和ケアを専門に関わっている方にも是非ご参加いただき、地域医療という視点からも議論できれば幸いです。施設という枠を超えた議論を行い、より広い視点で緩和ケアの対象となるこどもと家族が日々の生活をより良く過ごすことについて考える時間にしたいと思います。
  • パネルディスカッション15:がん悪液質に対するホリスティックマルチモーダルケアを実践するための多職種への教育

    • がん悪液質患者は、身体的症状にとどまらず、精神症状や心理社会的な苦痛にも直面します。またこれらの問題は、患者だけではなく、家族にも異なる形で心理的な負担をもたらします。このため、患者とその家族に対するケアは、身体症状のケアだけにとどまらず、精神的なサポートや社会的な支援をも含めた全人的なアプローチが必要です。このような総合的なケアを提供するには、医師のみならず看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士など、多様な専門職が連携し、患者と家族を一単位として捉えたケアを行うことが重要です。本パネルディスカッションでは、がん悪液質に対するホリスティックマルチモーダルケアの実践とその普及のため必要になる多職種への教育プログラム開発について議論します。
  • パネルディスカッション16:就労支援

    • がん治療の成績向上の一方で、がん患者や家族の仕事と治療の両立に関しては、未だ、がん診断後に「退職・廃業した」患者が19.8%、また離職後に働く意欲があるにも関わらず新規就労に結び付いていない患者は22.5%にのぼる現状にあり、更なる就労支援体制の強化が求められてます。 仕事と治療の両立を促進、あるいは困難とする要因は、患者の医学的要因(がんの部位・治療内容・副作用等)だけでなく、仕事関連要因(年齢・雇用形態・職務内容等)、環境要因(職場風土・就業規則・その他のサポート体制等)等、様々な要因が折り重なって生じます。それでは、患者(労働者)自身がこれらの3つの側面から情報や支援を獲得し、自分なりの新たな働き方を具現化するために医療・職場・人(仲間)の立場で貢献できることは何でしょうか。 本セッションではがん治療体験者、企業の人事担当者、医師、それぞれの立場からご講演いただき、現在の課題と新たな就労支援のあり方について討議したいと思います。
  • パネルディスカッション17:非がんの緩和ケアの実態

    • 老衰を含めた、がんに限らない疾患の人生最終段階における緩和ケアのニーズは高まっている。広く世界を見渡すと、疾患を問わず緩和ケア病棟を利用できる地域も多く、医療者へのがん以外の疾患に関する緩和ケアの普及啓発や教育体制、ひいては制度設計まで、本邦における課題はまだまだ大きい。 本セッションでは、専門医療機関内や在宅医療を含めた地域ベースの疾患を問わない緩和ケア提供体勢の工夫や、スクリーニングや緩和ケアの質の評価に必要な評価尺度の開発や臨床現場の実装の様子を共有する。その情報提供をもとに、「疾患を問わず、将来自身がケアを受ける身になったとしても安心できる緩和ケア提供の在り方」を会場全体、参加者全体で熱く討論していきたい。
  • パネルディスカッション18:オピオイド持続注射を在宅や一般病棟で安全に、効果的に使うための工夫

    • 緩和ケアにおいてオピオイド持続注射は、患者の痛みや呼吸困難を和らげ、生活の質を向上するために不可欠な治療手段です。しかしその使用には相応の知識と経験が求められるので、十分には普及していないのが現状です。例えば医師、看護師、薬剤師、患者や家族のそれぞれに必要な知識と経験の不足、職種間あるいは施設間の連携などの課題があります。 本パネルディスカッションでは、病院で働く医師・看護師、在宅医療を担う医師・看護師を演者に迎え、オピオイド持続注射を安全かつ効果的に行うための実践的な知識や工夫について議論します。特にオピオイド持続注射を在宅で実施する際の注意点、一般病棟での適切な管理方法、病院と在宅医療チーム間の連携の重要性に焦点を当てます。また具体的な症例や、臨床現場での困難に対する解決策も共有します。オピオイド持続注射を導入する際のさまざまな課題を参加者が解決できるようになることを目指します。
  • パネルディスカッション19:大規模RCTのネガティブデータの衝撃!治療選択肢が否定されたとき、目の前の患者の症状をどう緩和すればよいか?

    • 悪性消化管閉塞に対するオクトレオチドや慢性呼吸困難に対する経口モルヒネ、終末期せん妄に対する抗精神薬など、これまで経験的に使用されてきた薬物治療の有効性を否定する大規模ランダム化比較試験がしばしば報告され、衝撃を与えてきた。そのたびに臨床現場では、目の前の患者の症状を従来の治療を適用すべきか悩み、治療選択肢を吟味しながら対応しているのが現状である。エビデンスレベルの高いネガティブデータを前に、どのようにEvidence ”Based” Medicineを実践し、個々の患者の治療に活かせばよいか、議論する機会としたい。
  • パネルディスカッション20:一般病棟・在宅における終末期の身の置き所のなさへのケア

    • 身の置き所のなさ(Terminal Restlessness)は、原因が多岐にわたり、終末期に比較的よく見られる徴候です。一方で、終末期を診なれていない一般病棟や在宅診療では、適切なアセスメントやケアが十分に行われない場合や、看護師等医療者の負担となる場合も少なくありません。特に在宅では、ひとたび、身の置き所のなさを発症すれば、患者・家族の負担は非常に大きく、在宅療養の継続が困難となり、患者・家族の希望が叶わない療養となる可能性があります。 身の置き所のなさへのケアは、緩和ケアチームだけでなく、もっとも身近で患者を診ている病棟・訪問看護師・医師、また家族の役割は非常に大きいと考えれます。本セッションでは、一般病棟・在宅での終末期の身の置き所のなさへのケアをどう取り組んで行くか、議論を展開します。

ワークショップ

  • ワークショップ1:ベテラン医師も悩んでいる! 困難な状況に挑む向精神薬薬物療法

    • 強度の不穏や多動の対応において、薬物介入を行うことは少なくありませんが、緩和ケアの臨床では薬物を投与する上で様々な検討事項や課題が存在します。例えば、悪液質によるアルブミン合成障害は遊離薬物の血中濃度を上昇させ、肝および腎予備能力の低下は薬剤のクリアランスを低下させます。また、不穏による拒薬だけではなく、腸閉塞や強い悪心から内服が困難なこともあり、向精神薬の投与経路選択についても臨床では問題となります。そこで本ワークショップでは、臨床現場で対応困難ないくつかのセッティングを挙げます(代謝排泄障害、臓器不全併存、神経疾患併存、依存症)。そして、臨床現場の第一線で活躍中のベテラン精神科医が、それぞれの知識や経験などに基づき、薬剤選択の考え方や注意点などを具体的に提示します。なお、ワークショップ当日は、各演者間はもちろんのこと、参加者との間でも有意義なディスカッションを行いたいと考えています。「答えは会場にある」。お待ちしています!
  • ワークショップ2:希望につながる統合医療~治療・予防・QOLの向上を目指して

    • ホリスティック(Holistic)は「全人的・全体的」を意味し、人間をまるごと全体的にみるホリスティック医学は全人的苦痛を和らげる緩和ケアに通じます。全人的苦痛を緩和するアプローチは現代西洋医学のみで完結するものではありません。ホリスティックな観点に立って、現代西洋医学と東洋医学や様々な相補・代替医療・療法の中から、個々の患者にとって最適な治療法やケアを用いて統合的にアプローチし(統合医療を行い)、全人的に支えることで、治療・予防・QOLの向上に繋がるものと思われます。単に“病気”だけを診るのではなく、病を抱えた“人間そのもの”を見て、心と身体、環境などがほどよく調和していることを目指す中で、統合医療を学ぶことで医療従事者の診療やケアの幅を広げ、患者家族の希望に繋げていくことがこのセッションの目的です。
  • ワークショップ3:在宅で倫理的な問題の意思決定をすすめる上での障壁とコツ

    • 病院と異なり在宅では各職種が異なった場所にいる中で、様々な倫理的問題に対して意思決定を進めていかなくてはなりません。そのような中で在宅にいる実践者はどのような障壁があると感じ、どのような実践をしているのでしょうか。このワークショップでは各演者の倫理的問題に対する視点や日々の取り組みも織り交ぜながら具体的な事例を元にグループワークを進めていきます。そのため参加者からの積極的な発言やワークへの参加もしていただきながら進めていく予定です。 このグループワークを通じて参加者の皆様に多くの学びや気づきを持って帰っていただけるような機会としたいと思っています。 【ワークショップの内容】 1.企画主旨とワークの説明 2.事例紹介 3.各演者より:倫理的ポイントを私はこう考える・こう見る! 4.グループワーク 5.全体でのディスカッション
  • ワークショップ4:ProsCons企画:週単位の予後と考えられる患者の頻回なレスキュー投与を許容するか

    • 痛みを有するがん患者で、PCAポンプのレスキュー回数が非常に多くなり、痛みへの効果も明瞭でない中でぼっとするような様子が見られるような場合に、医療者としてどのように対応するべきか悩むことは多いのではないでしょうか?ましてや、患者の生命予後が2-3週間と考えられる場合には実際の現場において意見が分かれることも少なくないと考えられます。今回のPros&Cons企画では、この悩ましいケースについて、演者は演者自身の本当の考えを内に秘めて「賛成の立場」・「反対の立場」を演じて、論理的な討論を行います。演者の白熱した討論の中で参加しているフロアの皆様の考えも変わるかもしれません。セッションの最後には、演者の本当の考えをカミングアウトしていただき、全体討論も行う予定です。日頃悩むことを論理的に整理して考えたい方は、ぜひご参加ください!
  • ワークショップ5:業務効率化と緩和ケア -必然性と必要性-

    • 緩和ケアの臨床現場においては、患者・家族への丁寧な対話、身体的・心理ケア、多職種連携は非常に重要です。 ただこれらのケアを効果的に行い自施設内外で連携をとることには「時間」がかかります。臨床と並行して研究・教育に従事 する医療者は多いが、こちらにもまた「時間」が必要になります。ただでさえ不足している医療リソースを活用するために効率 化は必須だが、効率化できない「ケア」が重要なことも確実である。業務の効率化とケアのバランスをどのように取るとよい のか―正解のない問を、第一線で活躍する多職種の医療者の方々と考えたいと思います。
  • ワークショップ6:せん妄GLを使いこなそう!

    • 本セッションは、昨年の日本サイコオンコロジー学会で人気を博した、パネルディスカッション「せん妄ガイドラインを使ってみよう!」の第2弾です。せん妄ガイドラインの普及・実装を目的に、ワークショップを開催します。 『がん患者におけるせん妄ガイドライン2022年版』では、より臨床現場で役立つことを目指し、新たに3つの臨床疑問が追加され、「臨床の手引き」が新設されました。 しかし、臨床の場で本書の内容を実践するには、少しコツが必要です。そこで、本セッションでは、参加者がガイドラインを駆使して症例検討を行い、実臨床でのガイドラインの使用法を学びます。 また、ミニレクチャーでは、昨年に引き続き「終末期せん妄」をテーマに取り上げ、参加者とともにがん患者のケアの原点について振り返りたいと思います。 エビデンスに基づいた、がん患者のせん妄治療・ケアについて、一緒に学んでいきましょう!

委員会企画

  • 委員会企画1:緩和ケアを語り聴き癒しあおう2024~緩和ケアに携わる看護師のための悩み・相談ブース~

    • 本企画は、病院・施設・地域・教育機関等で緩和ケアに携わる看護師(経験問わず大歓迎) の交流集会です。 【目的】緩和ケアに携わる看護師が、緩和ケアの魅力や悩みを他の看護師やエキスパートナースと共に語り合うことを通して、キャリアパスを考える、あるいは緩和ケア・エンドオブライフ(EOL)ケアの実践を高めるための仲間づくり、学びのきっかけづくりができる場を作ることとします。 【概要】様々な場で緩和ケアに携わる看護師は、日頃の実践を通して緩和ケアの魅力や悩みを感じたり、もっと専門的に学びたいと自身のキャリア(認定看護師・専門看護師・大学院進学など)を考えたりすることがあると思われます。本企画では、《緩和ケアの魅力を語り合おう》《緩和ケアの悩みを相談しよう》《エキスパートのキャリアパスを聞いてみよう》《緩和ケア・EOLケアの教育を考えよう》の4つのブース(予定)を設置し、各ブーステーマに関連の深いエキスパートと関心のある者同士が自由にリラクッスして語り合える場となるキャリアカフェを提供します。
  • 委員会企画2:2024診療報酬・介護報酬改定のポイント

    • 令和6年度に診療報酬、介護報酬改定が実施されました。健康保険・介護保険委員会は改定にあたり学会員の意見を取りまとめ、改訂に関する提案を行いました。このセッションでは今回の改定のポイントをまとめ、解説します。2年後の次回改定へ向けて学会として計画的に取り組めるように現状を共有し、会員と意見交換できる機会といたします。
  • 委員会企画3:専門医・認定医フォーラム

    • 2024年4月専門医・認定医制度が改訂され、指導医および基幹施設が新たに認定され、専門医関連システムも順次公開されています。7月には新制度下での専門医、認定医、認定医から専門医への移行申請が開始されます。 当学会は社会から、多くの質の高い専門医を育成し、専門的緩和ケアを充実させていくことが求められてきました。しかしながら制度開始から10年以上が経過しても専門医は361名に留まり、指導医が不在の施設での研修が行われ、質・量ともに十分な役割を果たせておりませんでした。また若手のキャリアパスを考える上で、日本専門医機構のサブスペシャルティ領域認定は必須ですが、旧制度では認定を得ることは困難であり、それらの課題を解決すべく制度の改訂が行われることとなりました。 新制度の下で、今後学会としてどのような専門医を育成・認定していくのか、専門医・指導医のFaculty Developmentをどのように構築していくのか、新設されたシステムでは何ができるのか、など広く意見交換を行わせていただきます。
  • 委員会企画4:働き方改革と緩和医療(オンデマンド配信限定)
  • 委員会企画5:学会の新しいロゴお披露目します!

    • 日本緩和医療学会広報委員会は、「誰かが緩和ケアを必要としたときに、その人に緩和ケアが適切に届けられる社会」を実現することを目標に活動しています。そのためには、緩和ケアがどのようなもので、それを実践する緩和ケア専門職のわたしたちは何ができるのか、そして専門職集団である学会は社会に対してどのような貢献ができるのかを、自らに問うた上で、社会に広く知ってもらう必要があると考えています。 今回、学会のシンボルであるロゴマークを一新したのは、わたしたちが何ものであるかを明確にしたいとの思いに端を発しています。そのため会員のみなさんにも選考の最終プロセスに参加していただきましたが、多くの会員からの投票をいただいたことに感謝しています。 本企画では新しいロゴマークをお披露目するとともに、わたしたちの存在意義、学会の持つ社会的価値について参加者のみなさんとともに考えます。そして個々を出発点として、医療者、患者・家族ら当事者、一般社会にわたしたちの価値を認知してもらう「ブランディングプロジェクト」を進めていきたいと考えています。
  • 委員会企画6:サイコオンコロジストとして医師はどう活動すべきか

    • がんの診断や、再発、積極的な抗がん治療の中止など、がんに関する悪い知らせを知ったとき、患者が死のことを考え、先行きのことを不安に思うことは自然なことです。しかしがん患者にとってつらい出来事はそれだけではありません。病気による身体的苦痛や治療による副作用、ADLの低下等により思うような生活ができず、うつや不安を生じる患者は少なくありません。日本サイコオンコロジー学会ではそのような患者に対応する医師を登録精神腫瘍医(以下登録医)として認定しており、現在までに約200名が認定され患者や家族のために活動しています。本シンポジウムでは、経歴の異なる複数の登録医がシンポジストとなり、教育・臨床・チーム医療におけるサイコオンコロジストとしての具体的な活動につき発言します。参加者が登録医に関心をいだくだけでなく、その活動を知ることで、がん患者の診療に役立つ何かを得られる機会となることをめざしています。
  • 委員会企画7:患者の価値観と医療の調和について多職種で考える

    • 耐えがたい疼痛に苛まれつつも、「医療用麻薬」の使用提案を受け入れ難い患者を前にすると医療者は葛藤します。 患者が「受け入れ難い」事には背景が存在し、その背景の理解には適切なコミュニケーションも重要です。 医師向けにはPEACE、看護師向けにはELNEC-Jと、コミュニケーションを学ぶプログラムが存在する中、日本サイコオンコロジー学会と日本臨床腫瘍薬学会は、新たな試みとしてがん研究開発費で薬剤師向けのプログラムを作成し、合同事業として研修会を継続開催しています。 本シンポジウムではシンポジストと座長を多職種で構成し、患者中心の医療を原則とする一方、医学的な望ましさをどのように調和させていくのか、参加者を含めた皆さまそれぞれの視点から深めたいと思います。
  • 委員会企画8:緩和ケア・精神腫瘍学の基本教育の15年:PEACEのこれまでとこれからを考える

    • 2006年のがん対策基本法、翌年のがん対策推進基本計画を受け、緩和ケアの基本教育を目的とした「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」(以下、緩和ケア研修会)が全国各地で行われるようになり15年が経過した。JSPMとJPOSでは、「PEACEプロジェクト」として根幹となる研修プログラムを提供してきた。その後、対象は多職種へ、疾患もがんだけでなくがん以外へも広がった。また、e-learningを取入れることにより従来の2日から1日研修へと変更されるなど、内容のブラッシュアップも続けている。現在受講者数は17万人を超え、基本的緩和ケア普及に一定の役割を果たしてきた。 しかし超高齢多死社会の到来を前に、必要とする人が必要な時に緩和ケアを受けられる環境を作るためには、基本的緩和ケアをどこでも受けることができ、その質をより高めることが必要であり、今後本研修会に課せられる役割は変わっていく必要があると考えている。本セッションではこれまでの歩みを振り返りつつ、今後の展望につき皆さんと話し合うことができればと考えている。
  • 委員会企画9:メサドンを安全に投与する

    • 日本では、2013年3月、メサドンの経口投与が承認され、2024年3月現在で処方可能医師は5711名、処方可能施設は1043か所となっている。しかし、がん専門病院や緩和ケア病棟の中には副作用を危惧し、使用が十分でないところもあり、地域差も見受けられる。過剰な警戒感に終わるのではなく、まれではあるが呼吸抑制やQT間隔の延長などの副作用に対する対処法など、十分な正しい知識をもつことが必要である。また、使用中のオピオイドを減量せずメサドンを追加処方することや、処方開始後痛みが強くても急激に増量をしてはいけないとされるなど、保険診療上使用しにくい面もある。また、飲めなくなった時、メサドンの注射薬がないのも不便ではある。しかし、難治性疼痛とされるがん疼痛に著効することも多いので、メサドンの評価は高く、医療現場の実務者がどのように工夫してメサドンによる治療を安全に行っていくかを論議したい。
  • 委員会企画10:「今、緩和医療に求められる遺族ケア ~生前から死別後まで~」

    • 緩和医療に携わる医療者には、生前から死別後に至るまで様々な場面で遺族ケアの実践が求められています。死別後の悲嘆について、多くの遺族にはレジリエンスが備わっており、時間とともに日常に適応していきますが、一部の遺族では悲嘆のプロセスが滞り、日常生活に支障をきたす場合があります。医療者が生前から死別後を見据えたケアを提供し、リスクの高い家族にアプローチしておくことが大切です。 また、2023年に日本語版が発刊されたDSM-5-TRでは、うつ病など他の精神疾患とは独立して遷延性悲嘆症の診断が追加されており、うつ病を呈する遺族も含め、悲嘆プロセスが困難になっている遺族をアセスメントし、適切な精神心理的介入を行う必要があります。 これらの経緯を踏まえ、本シンポジウムでは遺族ケアに関する研究、診断、介入について講演をいただき、今求められている遺族ケアの在り方を多面的に考えてみたいと思います。

事例検討

  • 事例検討1:希死念慮
  • 事例検討2:家族
  • 事例検討3:ケミカルコーピング
  • 事例検討4:臨床倫理
  • 事例検討5:精神症状の鎮静
  • 事例検討6:呼吸困難
  • 事例検討7:医心連携
  • 事例検討8:在宅系
  • 事例検討9:非がん性疼痛
  • 事例検討10:怒り・否認(防衛機制)

自主セミナー

  • 自主セミナー1:がん患者の症状緩和における看護実践 「プラクティス」×「エビデンス」with「ケアリング」

    • 本セミナーでは緩和医療領域で必要とされる看護ケアのエッセンスを多くの臨床、研究、教育経験を有する講師よりわかりやすくご講演いただきます。
  • 自主セミナー2:がん領域の心理師として ~私の経験から~

    • 本セミナーではサイコオンコロジー領域で必要とされる心理師の役割や実践のエッセンスを多くの臨床、研究、教育経験を有する講師よりわかりやすくご講演いただきます。

TIPS

  • TIPS1:子供のケア
  • TIPS2:お父さん、お母さんががんの子どものケア
  • TIPS3:倦怠感
  • TIPS4:神経ブロック
  • TIPS5:せん妄
  • TIPS6:不眠
  • TIPS7:スピリチュアルケア
  • TIPS8:ピアサポート
  • TIPS9:痛みの評価
  • TIPS10:抑うつ・不安
  • TIPS11:鎮静
  • TIPS12:鍼灸治療
  • TIPS13:リンパ浮腫
  • TIPS14:腹水の症状緩和
  • TIPS15:QOLの評価
  • TIPS16:予後予測
  • TIPS17:緩和口腔ケア
  • TIPS18:非がん(認知症)
  • TIPS19:非がん(腎疾患)
  • TIPS20:最新のがん治療
  • TIPS21:がんリハ
  • TIPS22:IVR
  • TIPS23:緩和ケアの歴史
  • TIPS24:家族・遺族ケア
  • TIPS25:非がん(救急・集中治療)
  • TIPS26:高齢者
  • TIPS27:アドバンス・ケア・プランニング
  • TIPS28:燃え尽き
  • TIPS29:解決志向アプローチ
  • TIPS30:マインドフルネス
  • TIPS31:消化器症状の緩和
  • TIPS32:がん患者とのコミュニケーション
  • TIPS33:疼痛に対する非薬物療法
  • TIPS34:非がん(心疾患)
  • TIPS35:非がん(呼吸器)
  • TIPS36:AYA世代の支援・緩和ケア
  • TIPS37:非がん(肝不全)
  • TIPS38:呼吸器症状の緩和
  • TIPS39:放射線療法
  • TIPS40:オピオイドの使い方
  • TIPS41:オピオイド以外の薬物療法

交流集会

市民公開講座

市民公開講座はこちらをご確認ください。

ランチョンセミナー

ランチョンセミナーはこちらをご確認ください。