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学会誌

論文抄録

『医学教育』48巻・第2号【抄録】2017年04月25日

INDEX
原 著 A大学看護学生の協同学習に対する認識と影響要因
…會田 信子,三好 沙知,河地 美紀,山下 麻衣,山﨑 古都,半谷 眞七子
阿部 恵子,野田 幸裕,亀井 浩行,末松 三奈,安井 浩樹,植村 和正
原 著 初期研修における研修医のうつ状態とストレス要因,緩和要因に関する全国調査
-必修化開始直後との比較-
…瀬尾 恵美子,小川 良子,伊藤 慎,讃岐 勝,前野 貴美,前野 哲博
教育実践研究 総括的評価を組み合わせた,医学生の能力特性分析の試み
―岐阜大学医学部教学IRの取り組みから―
…恒川 幸司,鈴木 康之
短 報 研修医指導に関連したインシデント・アクシデント事例の検討
-日本医療機能評価機構の公開データ検索を用いて-
…石川 雅彦,斉藤 奈緒美
招待論文 臨床家のための質的研究(後編):まず「問い」から始めよう
…磯野 真穂
招待論文 人間性教育とコミュニケーション教育に情熱を燃やして
懸田賞受賞者によるリレー・エッセー:平成10年度受賞(第4号)
…庄司 進一
掲示板 意見:遠隔医療従事者研修に関するアンケート調査報告
…鈴木 亮二,長谷川 高志,酒巻 哲夫
掲示板 意見:第48巻1号 意見「医師の『超義務』を医学生はどう考えるのか」を読んで
…日髙 優
資 料 第43回医学教育者のためのワークショップ
(富士研ワークショップ)の記録(第2報)
…日本医学教育学会 医学教育専門家・業績FD委員会
資 料 軍事的安全保障研究に関する声明
…日本学術会議
A大学看護学生の協同学習に対する認識と影響要因

會田 信子*1 三好 沙知*2 河地 美紀*3 山下 麻衣*3 山﨑 古都*3 半谷 眞七子*4
阿部 恵子*5 野田 幸裕*4 亀井 浩行*4 末松 三奈*6 安井 浩樹*7 植村 和正*6

要旨:
背景:看護基礎教育における協同学習のあり方への示唆を得るために,看護学生の協同学習に対する認識の実態と影響要因を明らかにした.
方法:中部地方のA大学の看護学生131名を対象に,無記名自記式質問紙法で行った.
結果:二項ロジスティック分析の結果,協同作業認識尺度の影響要因として,高校での協同学習経験,学習満足度,ソーシャルサポート,対人葛藤方略スタイル及び仮想的有能感の他者軽視が確認された.
考察:協同作業に対する認識には,学生の職業アイデンティティやコミュニケーション力,過去のネガティブ体験などが影響している可能性があり,それらに考慮した協同学習のあり方を検討していく必要性が示唆された.
キーワード:看護学生,協同作業認識尺度,仮想的有能感,対人葛藤方略スタイル,ソーシャルサポート


*1 信州大学学術研究院医学保健学域保健学系,Institute of Health Science, School of Medicine and Health Sciences, Shinshu University
[〒390-8621 松本市旭3-1-1]
*2 名古屋市立大学病院看護部,Department of Nursing, Nagoya City University Hospital
*3 名古屋大学医学部附属病院看護部,Department of Nursing, Nagoya University Hospital
*4 名城大学薬学部,Faculty of Pharmacy, Meijo University
*5 名古屋大学医学部附属病院看護キャリア支援室,Nursing Career Support Office, Nagoya University Hospital
*6 名古屋大学大学院医学系研究科,Nagoya University Graduate School of Medicine
*7美幌町立国民健康保険病院(呼吸器内科),National Health Insurance Bihoro Hospital (Respiratory Medicine)
受付:2016年8月9日,受理:2017年2月21日
初期研修における研修医のうつ状態とストレス要因,緩和要因に関する全国調査
-必修化開始直後との比較-

瀬尾 恵美子*1,2 小川 良子*1,2  伊藤 慎*3 讃岐 勝*1,2 前野 貴美*2 前野 哲博*1,2

要旨:
目的:研修医の抑うつに関して,臨床研修制度導入時と,制度が広く周知された段階とで比較検討を行う.
方法:全国の臨床研修病院250施設で,2011年採用の研修医1,753名に対し,研修開始時と開始3カ月後に,抑うつ反応,勤務時間,ストレス要因,ストレス緩和要因などに関するアンケート調査を行い,2004年の同様の調査と比較した.
結果:研修開始3カ月後,抑うつ状態の研修医は30.5%(新規うつ状態率19.6%)で,2004年より有意に減少していた.一因として勤務時間の減少,ストレス要因,緩和要因の改善が考えられた.
考察:依然多くの研修医が抑うつ状態となっており,研修環境の更なる改善が望まれる.
キーワード:研修医,抑うつ状態,勤務時間,ストレス要因,ストレス緩和要因


*1 筑波大学附属病院総合臨床教育センター,Center for Medical Education and Training, University of Tsukuba Hospital
[〒305-8576 つくば市天久保2-1-1]
*2 筑波大学医学医療系,Faculty of Medicine, University of Tsukuba
*3 国立霞ヶ浦医療センター病院総合診療科,National Hospital Organization, Kasumigaura Medical Center
受付:2016年10月19日,受理2017年4月14日
総括的評価を組み合わせた,医学生の能力特性分析の試み
―岐阜大学医学部教学IRの取り組みから―

恒川 幸司* 鈴木 康之*

要旨:
背景:医学生の能力を総合的に分析する方法は未確立である.卒前での総括的評価を総合的に分析し能力特性を明らかにすることを試みた.
方法:平成26年度卒業生を対象に,共用試験(CBT,OSCE),実習後OSCE,選択臨床実習評価,試験総合計,国試不合格および留年の有無を用いて多変量解析した.
結果:主成分分析で各総括的評価の第1主成分は総合的学力,第2主成分は実習への参加度と推測された.クラスター分析では第1・第2主成分の数値により分類され,国試不合格者と留年者は特定のクラスター群で有意に多いことが判明した.
考察:各種総括的評価を統合して分析することで学生個々の能力特性を捉えられることが示唆された.
キーワード:総括的評価, institutional research (IR), 多変量解析


*岐阜大学医学教育開発研究センター,Medical Education Development Center, Gifu University
[〒501-1194 岐阜市柳戸1番1]
受付:2016年6月27日,受理:2017年2月13日
研修医指導に関連したインシデント・アクシデント事例の検討
-日本医療機能評価機構の公開データ検索を用いて-

石川 雅彦* 斉藤 奈緒美*

要旨:
1) 日本医療機能評価機構の公開データから検索した研修医の指導に関連したインシデント・アクシデント事例73例を検討した.
2) 事例発生の内容は,指導医が直接指導中に発生,指導医が近くにいたが離れていて研修医1人で実施して発生,指導医が不在中に研修医1人で実施して発生の3つのカテゴリーに分類可能であった.
3) 再発防止対策は,指導医,研修医個々の取り組みはもとより,卒後臨床研修センターや施設内の各部門・部署,および医療安全管理部門のさらなる協働によるシステム整備が必要なことが示唆された.
キーワード:研修医,指導医,インシデント,アクシデント


* 公益社団法人地域医療振興協会 地域医療安全推進センター,Center for Patient Safety and Quality, Japan Association for Development of Community Medicine
[〒102-0093 東京都千代田区平河町2-6-3 都道府県会館15階]
受付:2016年11月23日,受理:2017年4月14日
臨床家のための質的研究(後編):まず「問い」から始めよう

磯野 真穂*

要旨:
本論文は,本誌47巻6号(2017年1月発行)に掲載された「招待論文:臨床家のための質的研究」の後編である.前編では研究対象への向き合い方を中心に論を展開した.後編では質的研究の問いの重要性とその立て方に着目する.まず質的研究で重要なのは方法よりも問いであることを覚えておきたい.大量のデータを一気に扱うための解析手法が種々存在する統計調査と比べると,質的調査の方法は原始的である.どのような名前の付いた方法であっても,それらはデータを意味別に分類する方法,あるいはデータを時系列に並べ替える方法を提示しているだけであり,データをいかに読み取るかという質的研究の本質を解説してはいない.データの読み取り方は方法ではなく,問いに関わる部分であるからだ.
したがって本稿では,よき問いを立てるための5つのポイントを紹介する.その5つとは,①支援ありきの研究を脱すること,②予備調査を実施すること,③データと先行研究を相互参照すること,④先行研究に横たわる思想を把握すること,⑤「経験・想い・態度」研究をできる限り避けること,である.また最後に,臨床家が卒業論文のために行った調査が最終的に原著論文として結実した研究を,初学者の臨床家でも立てられるよき問いの実例として紹介する.
キーワード:質的調査,文化人類学


* 国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科
人間性教育とコミュニケーション教育に情熱を燃やして
懸田賞受賞者によるリレー・エッセー:平成10年度受賞(第4号)

庄司 進一


* 筑波大学名誉教授
意見:遠隔医療従事者研修に関するアンケート調査報告

鈴木 亮二*1 長谷川 高志*1,3 酒巻 哲夫*2,3

要旨:
地域包括ケアの時代を迎えて,遠隔医療の普及が望まれている.日本遠隔医療協会は,厚生労働省事業の「遠隔医療従事者研修」の採択を受け,研修を実施した.本稿は,研修後の受講者に対するアンケート結果について報告する.参加者は70名で,アンケート回収数は47名(67.1%)であった.回答者は医療職(36.2%),企業関係者(25.5%),病院関係者(17.0%),行政関係者(10.6%)と多職種からなり,遠隔医療に関する知識も異なることから,満足度にばらつきが見られた.
キーワード:遠隔医療,従事者研修,アンケート調査


*1 群馬大学医学部附属病院システム統合センター,System Integration Center, Gunma University Hospital
[〒371-8511 前橋市昭和町3-39-15]
*2 群馬大学,Gunma University
*3 特定非営利活動法人日本遠隔医療協会,Japan Telemedicine Society
受付:2017年1月31日,受理:2017年3月2日
意見:第48巻1号 意見「医師の『超義務』を医学生はどう考えるのか」を読んで

日髙 優*


* 岡山大学大学院保健学研究科
第43回医学教育者のためのワークショップ
(富士研ワークショップ)の記録(第2報)

* 日本医学教育学会 医学教育専門家・業績FD委員会
軍事的安全保障研究に関する声明

* 日本学術会議

第57回日本医学教育学会大会

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