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がん医療フォーラム 2018 がんを知り、がんと共に生きる社会へ
【第2部】 パネルディスカッション
私たちが望む「がんと共に生きる社会」とは
がん患者団体からの報告

岡 悦郎さん(日本オストミー協会 JOA20/40フォーカスグループ)
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岡 悦郎さん
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オストメイトって何だろう

日本オストミー協会20/40フォーカスグループ外部リンクの岡と申します。まず、「オストミー協会ってなんぞや」と思われるかもしれませんので、そのあたりを含めてご説明します。
皆さん、このマーク、何のマークかご存じですか。最近、イベントで調べたら、2割程度の方がご存じでした。結構世の中の見当たるところにあるのです。どこで見ましたか。多目的トイレによく掲示されています。これは「オストメイトマーク」と言います。

「オストメイト」は、がんなどでストーマを造設、つくっている人のことです。では、「ストーマって何?」。「ストーマ」は、人工肛門、人工膀胱のことです。オストミー協会というのは、人工肛門、人工膀胱の患者団体とご理解いただければと思います。

「オストメイト」とか「ストーマ」という言葉は、まだ一般的に浸透しておりませんが、身近と言うと語弊があるかもしれませんが、なじみのある言葉として今後使っていただければと思います。そういう言葉に対する理解も、社会との共生という意味で、社会から理解を得られると、私たちも活動しやすく、安心して過ごしていくことができると考えています。

外見でわからない身体障がい

私は人工肛門をつけています。さっき、馬上さんのお話にあった希少がんのGIST(ジスト:消化管間質腫瘍)という病気です。人工肛門って人工的な機械がついているのかなというイメージをもたれるかもしれません。おなかに腸が出ている、口が出ているのです。ストーマというのは、ギリシャ語で「口」という意味なのです。この口に袋を張って、排せつ物をためています。

私たちオストメイトは「内部障がい者」という身体障がい者になります。外見では分からない障がい者ということで、ご理解いただければと思います。内部障がい者はオストメイト以外にもこういう方々がおられます。これは「ハート・プラスマーク」といいますが、内部障がい者のマークです。あまり見掛けることはないのですが、こういう外見で分からない障がい者がおられます。

がん自体も、はた目からは分からない重い病気を持っている。普通に健康そうに見えるけれども、そういう意味では、内部障がい者とがん患者とは同じような課題があると思います。

オストメイト用のトイレへの理解を広げる

オストメイト用のトイレの写真です。多目的トイレの中、洗面台みたいなところ、これがオストメイト用のトイレです。ストーマでは、普通のトイレだと位置が低いので、しゃがんでしなきゃいけないのですが、オストメイト用のトイレは立ったままできるのでありがたいです。そういうトイレがあるということを知っていただければと思います。多目的トイレから、一見普通そうな人がパッと出てきて、「何でこの人、多目的トイレを使っているの?」と思われるかもしれませんが、実はそういう方々も使われているということをご理解いただければ非常にうれしいです。逆に、そう思われたくないと思って、多目的トイレにオストメイト用のトイレがあるのに、オストメイト用のトイレは使わないという方が実際に多いので、ご理解いただければと思います。

オストミー協会は、お手元のパンフレットにあるような活動をしています。オストメイトは、今は15万人くらい国内にいると言われていますが、平均で71歳です。60歳以上が90%。一方、40歳未満の方は1.6%しかおられません。先ほど、馬上さんがおっしゃった希少がんと同じくらいの割合しかいません。だからオストメイトの患者交流会を行ったとしても、だいたいご高齢の方が多くいらっしゃいます。そうなると、若い私たちとは悩みが違います。

若い世代のオストメイトの悩みを共有し、交流する

「20/40フォーカスグループ」は、主に20歳代から40歳代の若い年代のオストメイトの悩みを一緒に考えましょうという団体です。仕事・恋愛・結婚・出産など、若い世代のオストメイトの悩みを共有します。全国各地で交流会をやっています。少ないながらも何十人かの同じような境遇の仲間が集まって話しています。交流会では、悩みを話したり、新しい治療法の話を聞いたりしています。がんの患者会もあり、私はいろんな交流会に全国行って、仲間がいっぱいできています。

病気や障がいに感謝

そういった意味で、私は、パンフレットにも書きましたけれども、障がい、がんになって、むしろ世界が広がったし、仲間がいっぱいできたし、私は病気や障がいに感謝しています。患者会は、情報を得る場、悩みを解決する場でもあり、仲間を増やす場でもあります。先ほどの桜井さんのビデオにもありましたけれども、本当に仲間が増えて良かったなと思っています。

20/40フォーカスグループでは、正力厚生会の助成によって、冊子とホームページの立ち上げができました。

「オストミー」「オストメイト」の言葉を見て何のこと?と思われたかもしれませんが、「あ、分かった」と言っていただける方が1人でも増えれば幸いです。

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掲載日:2019年6月17日
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