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在宅医療を支える多職種連携研修会/板橋サバイバーシップ研究会 2018
患者さんが安心して住み慣れた地域で暮らすために【第2部】グループワーク

患者さんとご家族が安心して地域で暮らすために

まとめ:渡邊 清高さん
渡邊 清高さん写真
渡邊 清高さん

さまざまな専門職種がチームで支える

今日お話を伺って、普段私が大学病院でがん診療をやっている中では感じることのできない、「家でどういう思いでご本人がいらっしゃるか」とか、ケアに関わる介護職の方、ケアマネジャー、薬剤師、リハビリテーション職の方といった多くの職種の方がどういう視点で患者さんをみていらっしゃるかなどがわかり、いろいろな気づきをいただくことができました。

いろんな慢性疾患、基礎疾患があります。疾患モデルで見てみると、がんは比較的意思決定ができる状態で進行し、身体的・精神的な機能がある程度保たれ、最終的には急速に状態が悪くなってしまう疾患といえます。心不全や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などはゆっくりとした経過をたどり、急性増悪を繰り返しながら終末期を迎えます。認知症や老衰では、身体や認知機能が低い状態を過ごされていきます。こうしたモデルも参考にしながら、どのように専門職種が関わっていくのか、介入していくのかを考えていくことが重要だと思います。

切れ目なく患者さんとご家族を支える包括ケアへ

患者さんと家族の歩みが、「trajectory(道筋、軌跡)」という形で示されていますが、「急性期の医療」から「ホスピスケア」へと不連続に切り替わり、そして亡くなる、ということでなく、「治療的なアプローチ」と「緩和的なマネジメント」をそれぞれの比重を変えながら組み合わせ、亡くなった後もグリーフケアに継続していく、そういったモデルが示されています。

「人生の最終段階における医療」に関する意識調査が厚生労働省で行われています。家族や医療関係者との話し合いが十分なされているとはなかなか言えない、というのが現状です。「詳しく話せている」が2%、「一応話し合っている」も3分の1ぐらい、ということで、話題にする機会はまだまだ少ないのです。ですが、こうした調査がなされること自体が、ある程度意識が高まりつつあることを示しているとも思います。ご家族の病気とか著名人の方のニュースをきっかけに話ができることもあります。こうした話を普段の診療の中で取りいれてみる、とか、家族や身近な方の介護の間に話題にしてみる、といったことも必要なのかなと考えました。

研修会での議論、取り組みを地域へ広げる

ACPについては、それが何を意味しているのか、ACPによってどんなことが得られるのかについての議論も大切です。さまざまな職種の方、関係者の方が本日のように集い、話し合い、こうした取り組みを住民の方にもお知らせしてくことが大切だと思います。今回こういった研修会がなされたことも、区民の方にも知ってもらえたら、きっと安心して過ごしていただけるようになると思います。

「どこで最期を迎えたいか、を考える際に重要だと思うこと」について調査すると、日本では「家族への負担」「不安」「経済的な負担」がネックになるということが分かります。終末期の死生観とか家族観によるところも大きいのかと思います。こうした課題をうまく解消していくためには、ご本人と、同居している方、親しい方、キーパーソンとなる方も含めてケアをしていくことも大切だと思います。

人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン

2018年3月に公表された「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」です。ACPや地域包括ケアという視点で、どういう職種が関わるのか、本人の意思を話し合っておくこと、話し合った結果だけではなくて話し合いのプロセスが非常に重要である、ということが書かれています。ご本人、家族に加えてケアに携わるチームが関わり、あらかじめ話し合い、意思決定ができない場合でも医師がきちんと確認でき、最善の治療方針をとることができるように、きちんと文書にまとめておくことが大切、ということが示されています。

臨床的な評価から今後の見通し、そこから振り返り、事前にどんなリスクや課題があるのかを職種間のカンファレンスで話し合っておくことで何かしら介入できるポイントがあったかもしれないし、今日話し合ったことで視点の違う課題がお互いにあるということが共有できたのではないかと考えています。それを踏まえて、連携していく中や患者さんとのやりとりの中でいろいろなことができてくると思います。

専門職のACPへの関わり

「アドバンス・ケア・プランニング」というと、患者さん・家族の方が「プランニング」すると考えられがちですが、私ども医療・介護・福祉に関わるプロフェッショナルとしては、アドバンス・ケア・プランニングにあたっては、患者さんのために事前に備えておくべきことを、専門職種が今の時点で評価し考え、そのための手立てを講じておく、ということができるよう求められていると思いました。

オープン形式でやったのは今回初めてですけれども、貴重な機会にとても印象的な症例を提示していただいた鈴木先生に改めて御礼を申し上げて、簡単ですがまとめとさせていただきます。どうもありがとうございました。

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掲載日:2019年1月28日
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