緩和ケアを学ぼう会 特別編 2017 鶴岡・三川/がん患者さんの療養を地域で支える
開会あいさつ
鈴木 聡さん
今日はいつもの「緩和ケアを学ぼう会」とは違って、遠くから4名の講師の方に来ていただいております。前半で講師の先生方からお話をうかがって、後半はこの地域の在宅緩和ケアについて語り合うという会になっています。さらに、正力厚生会、読売新聞社の後援をいただいています。
平成20年度から、厚生労働省のOPTIMプロジェクト(厚生労働科学研究費補助金第3次対がん総合戦略研究事業「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」)が実施されました。このプロジェクトに応募して、当時、緩和ケアが根付いていない地域の代表として、全国4地域の一つとして鶴岡地域が選ばれたわけです。それから「庄内プロジェクト」という愛称のもとで取り組みが始まって、10年が経ちました。皆さん、この間にどんなふうに変わったと思われるでしょうか。
私は非常に変わったのではないかと考えています。以前はがん患者さんが在宅で療養するなんてことはほとんどありませんでした。がん患者さんは病院で療養するものと考えられていましたが、今や在宅療養は普通のことに、当たり前のことと捉えることができるようになりました。平成19年、OPTIMが始まる前にこの地域でどのくらいのがん患者さんが在宅で亡くなっていたか。在宅死亡率は、わずか5.7%だったのです。それが、皆さんの努力の結果、平成27年には12.9%、約13%までになりました。すばらしい、自慢できることかなと思います。皆さん、おおいに自信を持って今後も活動していただければと思います。
しかし、まだまだ課題は残っています。この地域の住民が、がんになったら安心して自宅で暮らすためには、どういうことをしたらいいのか。このテーマは永遠のテーマではないか、課題ではないかと思っています。本日はすばらしいファシリテーターのみなさんにお越しいただいていますので、在宅医療の原点について聞いて、どんどん意見を言い合って、実りある時間を過ごしていただければと思います。一人、一人、よく考えて、恥ずかしがらずにおおいに討論していきましょう。よろしくお願いいたします。