靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

勅勒の歌

勅勒の川、
陰山の下。
天は穹盧に似て、
四野を籠蓋す。
天は蒼蒼たり、
野は茫茫たり、
風吹き草低れて牛羊を見る。
 これは岩波文庫『中国名詩選』に載る「勅勒歌」であるけれども、もとは鮮卑語であったものを漢語に訳し、いま和訓する。和訓はまあ何とか朗唱に耐えるけれども、現代日本語訳となるともうちょっと無理だろう。そもそも「戦いに不利なのを怒って、士卒を激励するため」に武将に唱わせたというけれど、和訓でもそこまでは難しかろう。

 で、若年のころにランボーとかオマル・ハイヤームに魅せられて、終生の友としたという話をときどき耳にするが、にわかには信じがたい。いままで読んだ外国の詩歌で記憶に残ったものは、漢詩以外には、ほとんど無い。意味は正確かも知れないが、唱ってないからである。

 最近、矢野峰人訳の『ルバイヤート』が復刻されたらしい。
如何にひさしくかれこれを あげつらひまた追ふことぞ、空しきものに泣かむより 酒に酔ふこそかしこけれ。
 なるほど、これならまあなんとかなる、かも知れない。

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