靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

『難経』苦行

『難経』嫌いを公言しているけれど,本当は結構おもしろいんじゃないかとも思っているんです。これまでの『難経』解釈があまりに強固に積み上げられていて,息苦しいのを嫌ってきたんです。
で,これからやりたいのは,二千年の歳月をかけて堆積してきた解釈の層を丹念にはがしとり,『難経』という岩盤の最古層にたどりつくことなんです。
実は,中国の代表的な古典について,そうした試みをした書物が出ています。著者は高名な学者さんですから,代表的な解釈を基にして,その解釈が出てきた理由として,それ以前の解釈の不備が有ることを考察し,同様にして,基準として選んだ代表的な解釈をも批判しながら,原初の本意に辿り着こうとしているようです。言い換えれば,思想史的に,何時どういう必要から,どちらへ一歩を踏み出して,現在のような解釈に至ったのか,あるいは至ってしまったのか……。
私にはそんなことをする素養も腕力も有りませんから,表向きは「古来の注釈は無視する」フリをして,『難経』の経文だけを読もうとしています。実際には「バカな考え休むに似たり」ですし,オッチョコチョイな失敗は避け難いので,裏では「古来の注釈をコッソリと確認する」フリもしています。
古来の注釈にガンジガラメになるよりは,浅慮によるハチャメチャのほうが,少しだけマシじゃないかと……。まあ,オッチョコチョイな言い訳ですがね。

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