靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

斲輪之巧

『太素』巻二・摂生之二・順養
黄帝曰:余聞先師有所心藏,弗著於方。余願聞而藏之,則而行之,
楊注:先師心藏,比斲輪之巧,不可□□,遂不著於方也。又上古未有文著□□□暮代也,非文不傳,故請方傳之,藏而則之。
「斲輪之巧」の出典は『荘子』外篇「天道」に在り,「斲輪,徐則甘而不固,疾則苦而不入。不徐不疾,得之於手而應於心,口不能言,有存焉於其間」と言う。そこで,『太素新校正』は不可の下の空格を「言傳」ではないかと言う。意味としては妥当だが,残念ながら,上の空格の残筆は明らかに「言」ではない。むしろ「專」が左に傾いている可能性が有る。そこで私の『新新校正』では「傳也」の二字ではないかと言っておいた。しかし,よく考えてみれば,「不可傳也,遂不著於方也」という言い方はいかにも拙だ。いっそのこと「不可傳數」ではどうだろう。つまり,輸を斲る技術には,数(手段,方法,コツ)というものが有るのだが,その数は人に伝えたりできないはずのものなのだから,ついに文字に書きあらわしたりはしなかった。

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