靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

楊上善は道士

 楊上善は道士なのか? それはまあ道士なんだろう。唐書の経籍志や芸文志に『老子』や『荘子』に関する著作が有ったように載っているし,第一,名前が『老子』の「上善は水の如し,水は善く万物を利して而も争わず」に拠っている。
 ただ,道士である楊上善が撰注した『太素』だから,それが道教風かというと,それはちょっと違うだろう。ただ,この設問がそもそもインチキなのであって,道教とは何ぞやという反省を欠いている。古代の中国人にとって,健康を維持し長生きするための方法には,医学の他に服餌や房中や符籙が有った。後者のほうを一まとめにして道教風な養生法と言ってもまあ良いと思うけれど,そういうことは『太素』の楊上善注には見えないと思うが,如何?
 楊上善の注には,しばしば『老子』や『荘子』に基づくものが見られるけれど,その内容にはむしろ,ときに腐れ道教徒を揶揄するようなものが有る。
『太素』巻19 設方・知針石「二曰治養身」楊上善注
 飲食男女,節之以限;風寒暑濕,攝之以時,有異單豹嚴穴之害,即内養身也。
『荘子』外篇・達生
 魯有單豹者,巖居而水飲,不與民共利,行年七十而猶有嬰兒之色,不幸遇餓虎,餓虎殺而食之。

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