靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

手陽明と少陽の大絡

『太素』巻九の經胳別異(新校正p149)に:
六經胳手陽明、少陽之大胳也,起於五指間,上合肘中。
楊上善注:
六陽胳中,手陽明胳,肺府之胳也;手少陽胳,三膲之胳也。手陽明大腸之經,起大指、次指之間,即大指、次指及中指内間,手陽明胳起也。手少陽經,起小指、次間,即小指、次指及中指外間,手少陽脉起也。故二脉胳起五指間也。
楊上善注の「手少陽經,起小指次間」の「次」の下に,恐らくは「指」字を脱している。蕭延平は補っている。新校正もそれに従うべきだと言う。
その他で気になるのは,次の「即小指、次指及中指外間,手少陽脉起也。」の「脉」字である。これは「胳」字の誤りではあるまいか。前の手陽明については,「即大指、次指及中指内間,手陽明胳起也。」としている。
つまり,手陽明と手少陽の経はそこから起こり,そして手陽明と手少陽の絡(胳)はここから起こる,と言っているのではあるまいか。
あるいはさらに,手陽明の経は大指と次指との間,手少陽の経は小指と次指との間から起こり,手陽明の絡(胳)は大指の次の指および中指との内間,手少陽の絡(胳)は小指の次の指および中指との外間から起こる,と言っているのではあるまいか。
してみれば,「手陽明大腸之經,起大指、次指之間;即大指次指及中指内間,手陽明胳起也。手少陽經,起小指、次指之間;即小指次指及中指外間,手少陽胳起也。」(陽明の経は親指と人差し指の間に起こり,絡は人差し指と中指の間に起こる。少陽の経は小指と薬指の間に起こり,絡は薬指と中指の間に起こる。)と解すべきではあるまいか。
問題は「即」字の用法に,「そして」あるいは「だからつまり」といったことが可能なのかどうか。
経文には,手陽明と少陽の大胳が五指間に起きると言う。楊上善の注文には,手陽明と少陽の二つの脉と胳,合わせて四条は五指間に起こると言っているらしい。経と注に齟齬は無いのか。

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