靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

刀削

『霊枢』五変篇の一節を,渋江全善『霊枢講義』は「匠人磨斧斤,礪刀,削斲材木。」と句読しているようだが,誤りである。正しくは「匠人磨斧斤,礪刀削,斲材木。」(匠人は斧斤を磨き,刀削を礪ぎ,材木を斲る。)とすべきである。「削」はここでは竹簡や木簡の訂正すべき部分を削り取るための小刀,つまり「刀削」はカタナやコガタナ。この部分は『太素』に缺くので,銭超塵教授の意見が分からないのは残念だが,郭靄春教授の『霊枢校注語訳』はそのように断句している。流石だと思う。
ただし,自筆本の『霊枢講義』でも「削」の下に句読らしきものが見える。単なる汚れかも知れないし,抹消した句読の痕跡かも知れないけれど,訂正して打ちなおした朱点かも知れない。こうなってくると,影印を見たからといって安心はできない。朱墨が不明で困るのは,なにも王冰注ばかりではないということ。

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