靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

かんかんのう

落語の「らくだ」にでてくる「かんかんのう」が,明清楽「九連環」の替え歌であることは,インターネットのおかげで容易に知れた。(九連環は知恵の輪。)
看看兮 賜奴的九連環 九呀九連環 双手拿來解不解 拿把刀兒割 割不斷了也也呦
青木正児先生の訳では,
見やしやんせ 妾が貰うた九連環 両手に取り持ち 解けども解けず ホーカイ 小束で切ろうか 切れはせぬ 切れはせぬ
これが「かんかんのう」では,
かんかんのう きゅうれんす きゅうはきゅうできゅう さんしょならぇ さぁいほう しいかんさん びんびんたいたい やぁんろ めんこがこかくて きゅうれんそ
ところで,これの解説に「情緒的な歌詞とは似つかぬ卑猥な歌に変わった」というのが,どうにも分からない。そこでさらにいろいろ調べた結果,『曲亭雑記』に「かんかんのう踊唱歌の訳並ニ評」および「再評再訳附」を見つけました。そこに文句は少し違うが「かんかんのう」に漢字を当てたものが載っている。
看看阿 久阿恋思 久久恋思 久阿久恋思 三叔阿 財副 二官様 戒指大大 送你 面孔不好的 心肝 男根大 陰門好好
たしかにまあ......。

このあと,例によって滝沢解(曲亭馬琴)の考証癖が繰り広げられているわけだけれど,「再評再訳附」の末尾は依田百川の次のような評で締めくくられている。なるほど。
曲亭の博覧なるも,原文を見ざりければ,又さらに推量を加へて,その説益密にしてその訳ますます謬れり。これによって考れば,古の文章などに力を極めて考証を述るも実に中れりや否らずや,いとも危きことなりかし

もとうたの全文は:

看看兮。賜奴的九連環。九呀九連環。双手拿來解不解。拿把刀兒割。割不斷了也也呦。

誰人兮。解奴的九連環。九呀九連環。奴就與他做夫妻。他門是个男。男子漢了也也呦。

情過河。在岸的妹住船。妹呀妹住船。雖然與他隔不遠。閉了雙門難。難得見了也也呦。

變個兮。鳥兒的飛上天。飛呀飛上天。唭哩呱嚧落下来。還有一個春。春相會了也也呦。

雪花兮。飄下的三尺高。三呀三尺高。飄下一個雪美人。落在懐中抱。懐中抱了也也呦。

一更兮。好奴的爹爹呦。爹呀爹爹呦。二更等你不來了。三更鼓兒敲。敲不斷了也也呦。

四更兮。金鶏的報曉天。報呀報曉天。五更三點天明了。害得奴家想。想思病了也也呦。

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