靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

募穴

もともと五蔵の診断兼治療点は腹部に在って,おそらくは今言うところの募穴であって,それを臨床の都合から腕踵関節に移動させて,原穴を五蔵の診断兼治療点とした。それが現在の『素問』三部九候論における脈診であって,だから内経には募穴が無いとか,『霊枢』には三部九候診が無いとか言うのは,表面的な見方にすぎないと思う。『素問』の三部九候診自体も,文章の構成から見れば,中部・下部の天地人を手足に配当する部分はおそらくは後人による解釈の付け足しだろう。本来,五蔵の病は表面から五蔵を触知できる(と考えられる)ポイントを活用して治療したのであって,そうすることには種々の差し障りが有って(当時の針を腹部に使用するのには危険が伴ったと思う。),だから四肢へ移動させたんだろう。で,四肢の原穴で埒があかなければ,思い切って腹部を試してみる。現今の針なら,多分そんなに危険は無い。

Comments

Comment Form