靈蘭之室 茶餘酒後

   ……休息している閑な時間

鶯はウグイスに非ず

 青木正児『中華名物考』に「鶯はウグイスに非ず」という文章が有った。
『本草綱目』によれば、黄鳥は一に黄鶯、また黄鸝・鵹黄・楚雀・倉庚などと呼ばれて、立春後すぐ鳴き出して、麦の黄ばむころ最もよく鳴き、その声は円滑で機を織るようであると。これはまずウグイスに当てはまる要件であるが、その形色が違う。すなわち鸜鵒(哵哵鳥)よりも大きく、体毛は黄色で、羽及び尾に黒毛があって相間て、黒い肩、尖った嘴、青い脚、とある。これでは「体毛は黄色」以外は一つもウグイスに該当しない。……ところで私が夜鳴くように考えたのは見当違いで、実は朝非常に早く、人がまだ眠っているうちに鳴くのらしい。それは唐詩を見ると、春暁に鶯を聞く詩が多いのに徴して明らかである。
 日本では梅にウグイスであるが、中華では柳に鶯であることにもふれて、杜甫の対句を例に挙げてある。
兩個黄鸝啼緑柳 一行白鷺上青天

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