靈蘭之室 茶餘酒後

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体例と校正

『中醫古籍考據例要』王育林撰 學苑出版社
顧觀光《素問校勘記》
《寶命全形論》:“刺虛者須其實,刺實者須其虛。”顧記:二句誤倒,當依《針解》乙轉。實字與下文失、一、物韻。
  案此言是。試觀這一段經文:
  “刺虛者須其,刺實者須其虛。經氣已至,慎守勿。深淺在志,遠近若。如臨深淵,手如握虎,神無營於眾。”
  這應是一段偶數句入韻的韻語(OAOA式),孫說是。另今檢《針解》文,未得所指。待考。
 この書物は内容が簡潔であることといい、文章が平易であることといい、結構良い本だと思うけれど、体例には不満が有る。例えば上記の「案此言是」以下は、顧觀光『素問校勘記』には無くて、だから王育林さんの案語のはずで、だから引用とは別の書体にしてくれたほうが分かりやすかったと思う。
 また、ここの「孫說是」は「顧說是」の誤りだと思う。この前の文章で、孫詒譲の『札迻』を紹介している影響であろう。どこまでが『札迻』、『素問校勘記』の引用なのかはっきりしないので、すぐには誰の說を云々しているのか分からなかったし、今なお「誤りだと思う」としか言えない。ついでに言えば、『箚迻』と書くのもあまり気に入らない。
 さらにまた、どうして「今檢《針解》文,未得所指」などと言うのだろう。針解篇には「刺實須其虚者,留鍼隂氣隆至,乃去鍼也。刺虚須其實者,陽氣隆至,鍼下熱,乃去鍼也。」とある。これでは不足と言うのか。要するに、刺實のほうが刺虚より前に在る例を示せば充分だと思うが。
 古籍考據について述べる書物であるから、当然ながら校勘の学についてもかなりのページをさいてる。その書物にしょうもない校正ミスが多いというのは滑稽ではあるけれど、書物は校勘せずには読めないということを実感させてくれるという点では、有用なのかも知れない。

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