主題:感染症診療と検査(グラム染色標本の観察ポイント教えます!)
講師1:棚村 一彦 先生(洛和会音羽病院)
講師2:足立 睦宏 先生((株)日本医学臨床検査研究所)
講師3:高橋 裕治 先生(株式会社 いかがく)
グラム染色は敗血症、髄膜炎、肺炎などのような緊急に適切な治療が要求される感染症に関しては、迅速診断法として非常に有用な方法である。微生物検査に携わる技師だけでなく、当直、日直業務により顕微鏡に不慣れな技師がグラム染色を見なければならない状況がある。その為にグラム染色の原理、菌の種類や形態、品質評価法など基本的なことから実際に特徴のある菌の顕微鏡写真をたくさん用いてのわかりやすく説明があった。
グラム染色法には、ハッカー変法、B&M法、フェイバー法があり、操作手順、染色の色合いに少しずつ特徴がある。京都府の施設における使用割合はほぼ均等であった。
品質評価法には、顕微鏡下で行うGecklerの分類などがあり、白血球と扁平上皮の割合により、検査に適しているかどうかが判断できる。白血球が多くて炎症を強く疑うような標本では、より丹念に観察して有意な菌を探さなければならない。
菌の形態では、単に染色性が陽性・陰性と球菌・桿菌だけの報告では臨床側に有用な情報とならない場合が多い。肺炎球菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、腸内細菌等は特徴があり菌名が推定できるものがある。
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