一般社団法人 京都府臨床検査技師会
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会報 理事会議事録 研修会報告
研修会報告(平成22年度)
輸血分野

10-058


日時:2011/01/29(Sat) 14:00 〜 17:00;京都保健衛生専門学校 視聴覚教室
参加人数:47(39)人 分類:専-20

主題:輸血検査講演会
演題1:輸血検査技師に求められるスキル
講師1:押田 眞知子 氏 (大阪大学医学部付属病院)
演題2:輸血後鉄過剰症の生化学値に関する報告
講師2:多気 秀和 氏 (京都第一赤十字病院)
演題3:輸血後鉄過剰による鉄毒性
講師3:堀池 重夫 氏 (京都府立医科大学附属病院 血液・腫瘍内科)

今回の輸血検査講演会は2部構成で行われた。第1部は、大阪大学医学部付属病院で長年輸血業務に携わられ、全国の輸血関連学会でも中心的な役割をはたされてきた押田眞知子先生をお招きし、輸血検査技師に求められるスキルについて講演いただいた。講演では、輸血検査の結果報告と輸血への対応、輸血副作用の把握と対応、廃棄血の削減と血液製剤の適正使用について、大阪大学での実際例を紹介しながらわかりやすく解説いただいた。輸血検査では、必要な検査を正確に行うことはもちろんのこと、臨床への適切な対応が求められる。また、安全な輸血を実施するにあたり、検査、製剤管理、輸血実施、副作用報告などの体制を適切に構築することが必要不可欠である。今回の講演は各病院が抱える輸血業務の問題点を解決する一助になったのではないだろうか。
第2部は、古くて新しい話題である輸血による鉄過剰症についての講演であった。輸血による鉄過剰は、以前より輸血による組織への鉄沈着により臓器障害を引き起こすことが知られていたが、近年、鉄キレート療法により、この臓器障害の予防が可能となり話題となっている。今回は、京都第一赤十字病院検査部の多気秀和先生に京都第一赤十字病院における輸血後鉄過剰症の現状報告、京都府立医科大学附属病院 血液・腫瘍内科の堀池重夫先生に輸血後鉄過剰症について講演いただいた。多気秀和先生の講演では、輸血量と血清フェリチン値の相関について実際の症例を示しながら解説いただいた。頻回輸血が必要となる血液疾患患者でのフェリチン測定の重要性がよくわかる講演であった。堀池重夫先生の講演では、鉄の生理学と代謝、鉄過剰症、輸血依存性疾患、鉄キレート療法について解説いただいた。鉄の生理学と代謝を学ぶことにより、鉄の生体内での必要性や毒性が理解でき、また、鉄過剰症により発症する有害事象や、MDSや再生不良性貧血などの輸血依存性疾患の予後などを理解することにより、除鉄の必要性が十分認識できたのではないだろうか。
輸血医療に携わる検査技師が、現場の諸問題へ対応するときのヒントが多数あった講演会であった。これを参考にして、各施設での輸血療法の向上がなされることを期待する。

2011/02/10:笹田 裕司 (京都府立医科大学附属病院)

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