主題:感染症診療と検査 (血流感染) 重要性と迅速性を中心に
講師:小森 敏明 先生(京都府立医科大学附属病院)
表記テーマで講演した。参加人数は23名であった。
血液培養は感染症起炎菌を推定するために、最も重要な感染症検査の一つであるが、検査を進めていくうえで注意する点がある。1)採血時期:SIRS診断基準、基礎疾患、抗菌薬投与前、2)セット数と採血量:2〜3セット/日、成人では1セット20mLで全血液量の1%未満、乳幼児では全血液量の2〜3%が適切、3)分注方法:血液は針の交換なしに好気ボトル、嫌気ボトルの順、4)保存:室温保存で2時間以内に血培装置に装填、5)培養日数:5日間。
血液培養陽性時には、1)他の検体の培養結果、2)血液培養陽性のセット数、3)全ての血液培養のセット数、4)陽性と判定されるまでの時間、5)グラム染色で観察される細菌の所見、などをチェックして報告する。カテーテルからの血培陽性が末梢血からの血培陽性よりも2時間以上早い場合は、カテーテル関連菌血症の診断の参考になる。
血液培養陽性時には迅速な報告が要求される。血液培養陽性検体の93%が培養開始48時間で陽性になる。当院では、365日感染症検査を実施しており、血液培養陽性時にグラム染色結果を迅速に報告している。MRSA菌血症患者では、血液培養陽性から48時間以内に抗MRSA薬が適切に投与された場合、患者の死亡率は有意に低下した。迅速な報告がMRSA菌血症患者の救命に役立っている。
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