主題:病院で使える手話講習会
座長:増田 健太 技師 (京都大学医学部附属病院)
挨拶:袖岡 太一郎 先生
司会:徳江 真史 先生
副題1:講演『医療とろうあ者の暮らし』
講師1:井上 勗 先生
副題2:手話実技
講師2:袖岡 順子 先生(実技)
講師2:吉田 直美 先生(通訳)
今年度、情報システム分野では京都市聴覚障害者協会の協力を受ける手話実技講習会を5回のシリーズで企画し、今回はその第1回の講習会であった。耳の不自由な患者さんが病院で医療を受けようとする際に、手話通訳者が危険である等の理由により検査室に同伴できない場合があり、適切な医療を受ける機会が損なわれる可能性がある。生理機能検査や採血等において患者さんと接する機会の少なくない臨床検査技師が、耳の不自由な患者さんと出会った際に、少しでも手話ができると聴覚障害者にとっても医療従事者にとっても有益なことがあると考え、今回のシリーズ実技講習会を企画した。
各回、前半に講演・質疑応答の後、休憩をはさんで手話実技講習という内容で、今回の講演では講師の井上勗氏に、実際に入院をした時のろうあ者としての経験を話していただいた。聴覚障害者は会話において、相手の口の動きを読むが、最近はインフルエンザの影響もあり多くの医療従事者がマスクを着けているためにそれができないことが多い。聴覚障害者は、コミュニケーション手段として手話・筆談だけではなく、利用できる情報を最大限に得ていることを改めて認識した。井上氏が実際に入院していた病院では、担当医師・看護師に「痛い」といった最低限の手話を覚えてもらったとのことであった。医療従事者が少しでも手話ができることの必要性を感じた。
後半の1時間で、袖岡順子氏の手話実技講習(通訳:吉田直美氏)を受けた。今回は第1回の講習会であるので、基本的な内容のものであった。手話を知らない者として、「ぞう」「牛」「信号」「テレビ」といったものを身振りで現してみた。その後、実際の手話ではどのようにするのかを見て、それが身振りで現したものとどう違うかを知るとともに、手話を知らなくても身振りでも多くの情報を与えることができることも知った。実際の手話は、身振りが元となっているものも多く、イメージをたくましくして身振りで伝ええようとする気持ちを持つことの大切さを感じた。
引き続き、自分の名前を手話で現せるよう練習した。「あ」「い」「う」「え」「お」というように単一文字を表現する指文字というものもあるが、ここでは名前に使われている漢字の手話にて名前を表現した。
第2回講習会では第1回の復習の後に、指文字や数の手話を学習する。
|