ご挨拶
近年、社会環境の変化などにより、食に関する健康問題が顕在化し、これらの解決に向けた取り組みが求められるようになりました。
日本においても、過栄養による生活習慣病が健康的な生活に大きな影響を与えています。また、シニア世代になると食事量が減少し低栄養に陥りやすく、健康寿命の延伸や疾病予防・重症化予防、介護予防・重度化予防において、過栄養と低栄養の両方が重要な課題となっています。さらに、日本は食料輸入が多い国であり、今後、異常気象などの影響によって食資源の重要性が一層高まることが予想されます。昨今では米不足も大きな問題となっており、健康的な食と栄養への取り組みは、大きな課題と言えます。
私たち国立大学病院栄養部門会議においても、日本国内にとどまらず、世界における多様な栄養課題の解決に向けた幅広い議論や取り組みが求められています。また高度かつ先端的な医療を提供する使命を担っており、栄養管理においても高度な技術が必要不可欠です。医学・医療を取り巻く環境の変化とともに栄養の重要性が認識され、治療や在院日数の短縮にも大きく影響していることが明らかとなりました。令和4年度の診療報酬改定では、特定機能病院において管理栄養士の病棟配置に対する評価が新設され、令和6年度の診療報酬改定では、リハビリ・栄養管理・口腔管理の一体的実施を評価する加算が新設されました。栄養の専門家としての役割は一層重要視されています。また、私たち管理栄養士においても栄養管理だけでなく、全人的ケアが求められていることを強く感じており、患者様中心の質の高い医療の提供とともに、研究や臨床において必要とされる高い倫理性、情報収集能力、対人関係形成能力を育み、将来を担う良き医療人の育成を進めて参ります。
本部門会議は約60年の歴史を歩んできました。これまでに培われた諸先輩方の知見や、前委員長の方針・取り組みを継承しつつ、社会における医療および栄養に関する課題に積極的に参画し、医療への貢献や超高齢社会に向けた取り組みを一層強化して参ります。皆様のご理解とご支援を、何卒よろしくお願い申し上げます。
このホームページを通じて、広く社会に本会議の活動を紹介し、大学病院における栄養部門への理解を深めていただくとともに、本会議が取り組む様々な活動についてお伝えして参ります。
多くの方々に、このホームページをご覧いただけますと幸いです。
全国国立大学病院栄養部門会議 委員長
愛媛大学医学部附属病院 栄養部 部長
利光 久美子