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物質
│レクチン│
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マーカー
参考
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レクチンとは、「
糖鎖
を特異的に認識して結合、架橋形成 (糖鎖と糖鎖の橋渡し) するタンパク質」、手短には、「糖鎖の解読者」。
糖鎖 glycochain
複数の糖分子が複雑に鎖状に繋がって、タンパク質や脂質と複合体を形成し、様々な細胞間情報を伝える主要な役割をしている
各種の糖がグリコシド結合によってつながりあった一群の化合物
糖鎖は糖同士だけでなく、タンパク質や脂質その他の低分子とも結合して多様な分子を作り出す。
糖鎖は、細胞間の認識や相互作用に関わる働きをもち、細胞社会を成り立たせる要となっている。
●イソレクチンisolectin
同一個体内にある、同等の分子構造を持つが、特異性や等電点などに違いのあるレクチンを相互にイソレクチンと言う。
イソレクチンB4 isolectin B4:IB4
アフリカのマメ科植物 Griffonia simplicifolia由来のレクチン
微小
グリア
細胞
マーカー
、 内皮細胞マーカー
小型DRG
ニューロンの約半数は、植物由来のIB4で認識される糖鎖を持ち、残りの半数は持たない。
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●ガレクチン galectin
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サイトカイン
参考
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βガラクトシドに特異的に結合するレクチン
1975年に、Vivian I. Teichbergらが電気ウナギの発電器官をはじめとする様々な動物組織の抽出物中に、βガラクトシドで阻害のかかる低分子量(14-16 kDa)の赤血球凝集素を発見した。
β-ガラクトシドに親和性を持ち、一次配列上に保存された領域をもつレクチンファミリーとして定義されている。
糖鎖の中でもガラクトース galctoseを含む糖鎖構造(β-ガラクトシド)によく結合することから名付けられた(galactose + lectin → galectin)。
脊椎動物をはじめ、線虫、昆虫、海綿動物などの無脊椎動物にも広く分布する。
発現場所は細胞質内にとどまらず、核、細胞表面、細胞外マトリックスと多彩で、ガレクチン分子の種類、組織、時期によって異なることが多い。
一般に、可溶性で、金属要求性はない。細胞質タンパク質としての属性を示し、ジスルフィド結合、付加糖鎖、シグナル配列をもたず、一般にN-末端アミノ酸はアセチル化されている。
ガレクチンの関与する生命現象としては、発生、分化、形態形成、腫瘍転移、細胞死、RNAスプライシング等、多岐に及ぶが、機能発現の機構、特に糖鎖認識との関連については未解決部分が多い。
様々な免疫調節活性が確立されていることから、ガレクチンは
炎症性サイトカイン
として働いている可能性も示唆されている。
細胞内では、ガレクチンは通常の分泌たんぱく質のように、生合成後分泌経路に入らないにもかかわらず、免疫反応が始動される時に、細胞外に能動的又は受動的に放出されることが知られている。
細胞外に分泌されたガレクチンは、オートクラインに分泌した細胞に結合するか、パラクラインに近傍の細胞に結合し、免疫系細胞上のガレクチンのリガンドを架橋することで、種々の免疫反応を誘起する。
多くのサイトカインと同様に、ガレクチンの免疫調節活性も作用が多様性で、また、重複を示す。
多様性・重複性は、ガレクチンが多価にリガンドに結合することにも由来するとも考えられる。可溶性のガレクチンは細胞表面上にあるリガンドを少なくとも3通りの様式で架橋することができる。すなわち、細胞接着、アゴニスト的な情報伝達、そして、ガレクチン格子の形成の3通りである。
注目すべきは、他のサイトカインと異なり、ガレクチンは白血球の接着分子として機能すること、そして、ガレクチン−複合糖鎖(糖タンパク質または糖脂質)格子を形成することである。細胞表面のガレクチン格子は、格子内に存在する受容体の側方拡散を拘束することにより、リガンド依存的な受容体の凝集や情報伝達を起こす閾値を高めると示唆されているので、ガレクチン格子の免疫学的な重要性が近年注目されている。
[酸化型ガレクチン-1]
参考
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堀江秀典氏らとキリンビールは、動物レクチンの一種であるガレクチン-1が、酸化型の状態で
神経線維の再生
を促進
することを明らかにした。
腎由来のCos1細胞の培養上清中に、末梢神経再生促進因子が存在し、それが動物性レクチンの1種であるガレクチン-1であることが確認された。
ガレクチン-1は運動神経や感覚神経の細胞体およびその軸索、シュワン細胞に2量体の還元型ガレクチン-1として局在している。
In vivoの研究から、坐骨神経損傷後酸化型ガレクチン-1を投与すると、神経再生が促進され、その抗体により強く抑制されることが証明された。
損傷後運動神経や感覚神経細胞内でのガレクチン-1の発現は上昇し、損傷部では成長円錐や活性化されたシュワン細胞からガレクチン-1が分泌され酸化型ガレクチン-1となることが明らかにされた。
更に酸化型ガレクチン-1の標的細胞がマクロファージであり、刺激されたマクロファージから軸索再生並びにシュワン細胞の遊走を促進する因子が分泌されていることが判明し、末梢神経損傷後の初期過程の全貌が明らかにされた。
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