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研究概要

2光子イメージングとマーモセット

細胞から知性へ
― 神経回路から霊長類の認知を理解する ―

脳は未来を予測し、行動を選び、他者を理解する中枢です。動物は外界からの感覚情報と身体内部の状態を脳内で表現し、過去の経験と照らし合わせながら将来起こりうる結果を予測します。そして複数の行動の選択肢の中から最も適切な行動を選びます。行動の結果として得られた報酬や罰は神経回路を変化させ、次の機会により良い選択ができるように学習が進みます。この「予測・選択・学習」の循環は、動物の脳に共通する基本原理です。

霊長類ではさらに、他者の行動を観察してその意図を推測し、模倣によって新しい行動を学習する能力が発達しています。こうした能力は、人間を含む霊長類に特徴的な知性の基盤を形成しています。

私たちの研究室は、こうした行動や知性を生み出す神経回路の実体と情報処理の原理を細胞レベルで理解することを目標としています。そのために、2光子カルシウムイメージング、光遺伝学、電気生理学、分子生物学、統計数理解析などの手法を組み合わせ、活動する神経細胞を直接観察しながら回路の働きを解析しています。

研究にはマウスと非ヒト霊長類(マーモセット)を用いています。マウスでは前頭皮質―大脳基底核ループおよび前頭皮質―小脳ループに注目し、行動選択や予測を支える神経回路における情報の流れと学習原理を解明します。一方、非ヒト霊長類であるマーモセットでは、側頭・頭頂連合野と運動前野・前頭前野を結ぶ皮質ネットワークに着目し、自己主体感、他者行動理解、模倣学習など霊長類に特徴的な高次認知機能を支える回路の実体を明らかにします。

マウスと非ヒト霊長類という二つのモデル動物を組み合わせることで、細胞レベルの神経回路から霊長類の認知機能までを理解する脳回路科学を目指しています。こうした研究は、意思決定や社会認知に関わる神経回路の理解を通じて、神経・精神疾患の神経基盤の理解にも貢献すると考えています。


行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学   脳情報動態を規定する多領野連関と並列処理

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更新日:2026/03/11