研究概要
私たちの脳の存在理由は何でしょうか。人間を含む動物は環境からの情報と身体内部の情報を脳の中でコード化し、それを保持しつつ過去の記憶と照らし合わせて、いくつかの選択肢から最善の結果が得られるであろう行動を決定します。その結果得られた報酬や罰をもとに、脳回路に保持されていた情報・行動の価値、行動パターンを更新し、次の機会により良い選択、行動ができるように学習します。このことが動物全般に共通した脳の存在理由と言えます。さらに脳は、外部・内部からの情報なしに内発的にさまざまな行動パターンを創出することが出来ます。行動として表出されなくても、脳の中でさまざまなシミュレーションを行うことで将来の推定・予測もでき、これを知性・思考の初段階と捉えることもできるでしょう。ヒトに近づくにつれ、この能力が飛躍的に進化し、他者心理すら推論するようになったと考えられます。これらの脳機能を実現するために、脳の中で細胞レベルでどのようなことが起こっているのでしょうか。脳内の神経細胞の複雑なネットワークの物理的実体、そこを巡る情報、学習を実現する可塑性を、2光子イメージング、光遺伝学、電気生理学、分子生物学、統計数理などの方法論を組み合わせることで明らかにすることを研究目標としています。現在は、前頭皮質回路、前頭皮質―大脳基底核ループ、前頭皮質―小脳ループに注目し、将来予測、意志決定、運動企画・実行を実現する回路実体と情報の流れの解明を目指しています。
News & Information
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2025年2月22日ー24日にかけて、学術変革領域研究(A)「行動変容生物学」第1回ハッカソンを開催することになりました。神経科学やデータ解析に興味のある初学者の方も、是非ご参加ください。
日時:2025年2月22日(土)13:00ー2月24日(月)18:20
開催場所:東京 日本橋ライフサイエンスハブ 8階 LSH-D会議室
https://boatneck-weeder-7b7.notion.site/A-f48baedc11184d9383341d618e1513aa?pvs=4
(Webページに登録のためのリンクが存在します)
行動変容生物学では、これまでマウスの行動データや神経活動のデータを計測し、データベースとして公開してきました。
https://boatneck-weeder-7b7.notion.site/BraiDyn-BC-Database-1e972fb17ad1470b911aa108fb8c0713?pvs=4
ハッカソンでは、これらのデータベースやその使い方をチュートリアルにて説明した後に、数名程度のチームで発展的な課題を行ってもらう予定です。チーム自体は前もって作ってもらっても良いですが、なくても現地で参加者の興味関心の上でこちらで作成に協力します。 また懇親会や研究者のキャリアに関する座談会なども企画しておりますので、研究者志望の方などにもおすすめです。参加費は無料となっていますが、懇親会費として参加される方には実費で5000円程度徴収予定です。
本ハッカソンは第2回国際全脳アーキテクチャ・ワークショップと合同開催となっております。こちらも合わせて御覧ください。
https://wba-initiative.org/24521/
運営委員長:中江健(ExCELLS)
運営委員:田中康裕(玉川大学)、瀬原慧祐(東京大学)、近藤将史(東京大学)、青木亮(玉川大学)、杉本翔哉(玉川大学)、田和辻 可昌(東京大学)、山川宏 (全脳アーキテクチャ・イニシアティブ) -
野村さんの論文がNature Communicationsに掲載されました。 プレスリリースはこちら(2024年9月)
霊長類大脳新皮質へのウイルス注入手術の自動化に成功 -
蝦名さんの論文がNature Communicationsに掲載されました。 プレスリリースはこちら(2024年8月)
霊長類での感覚運動学習を可能とする 大脳皮質運動野の動的活動変化を解明 -
東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻2024年度博士課程・修士課程入試説明会を
5月25日(土)13時30分から東京大学医学部教育研究棟13階第6セミナー室およびオンラインで行います。
ご興味のある方は、下リンクから登録をお願いいたします。
https://sys-pharm.m.u-tokyo.ac.jp/nyushi2024/index.html -
野村さんの論文がBioRxivに投稿されました。(2024年1月)
野村さんがMD研究者育成プロプラムで行った研究です。
ARViS: A bleed-free multi-site automated injection robot for accurate, fast, and dense delivery of virus to mouse and marmoset brains. -
西尾さん・近藤さんの論文がBioRxivに投稿されました。(2024年1月)
西尾さんがMD研究者育成プロプラムで行った研究です。
Medial prefrontal cortex suppresses reward-seeking behavior with risk of positive punishment by reducing sensitivity to reward. -
小原さんの論文がNature Communicationsに掲載されました。
プレスリリースはこちら(2023年11月)
Change detection in the primate auditory cortex through feedback of predictive error signals. -
篠塚さん、田中康裕さん、寺田さんの論文がJournal of Neuroscienceに掲載されました。(2023年9月)
Layer 5 intratelencephalic neurons in the motor cortex stably encode skilled movement -
寺田さんの論文がCell Reportsに掲載されました。
プレスリリースはこちら(2022年11月) -
東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻2023年度博士課程・修士課程入試説明会を
5月7日(土)13時30分から東京大学医学部教育研究棟13階第6セミナー室およびオンラインで行います。
ご興味のある方は、下リンクから登録をお願いいたします。
https://sys-pharm.m.u-tokyo.ac.jp/nyushi2022/index.html -
近藤さんの論文がCell Reportsに掲載されました。
プレスリリースはこちら(2021年2月) -
谷本さん・近藤さんの論文がFrontiers in Behavioral Neuroscienceに掲載されました。(2020年9月)
谷本さんがMD研究者育成プロプラムで行った研究です。
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脳プロ「意思決定」プロジェクトのご紹介(2020年8月)
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長谷川さんの論文がPLoS Oneに掲載されました。(2020年6月)
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マーモセットの運動野回路研究に関する総説がCurrent Opinion in Neurobiologyに掲載されました。(2020年5月)
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蝦名さんの論文がProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of Americaに掲載されました。
プレスリリースはこちら(2019年10月) -
東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻2020年度博士課程・修士課程入試説明会を5月18日(土)に東大で行います。
詳細は下リンクをご覧ください。
http://sys-pharm.m.u-tokyo.ac.jp/nyushi2019/index.html -
寺田さんの論文がNature Communicationsに掲載されました。
プレスリリースはこちら(2018年9月) -
田中康代さん・田中康裕さんの論文がNeuronの電子版に掲載されました。
プレスリリースはこちら(2018年8月) -
吉田さん・寺田さんの論文がScientific Reportsに掲載されました。
プレスリリースはこちら(2018年5月) -
蝦名さん・正水さんの論文がNature Communicationsに掲載されました。
プレスリリースはこちら(2018年5月) -
近藤さんの論文がeLifeに掲載されました。(2017年9月)
紹介記事
Vogt N. (2017). Imaging deep in the cortex and beyond. Nature Methods 14, 1131. -
新学術領域研究「脳情報動態」公募説明会&特別講演会を9月9日(土)に東大で行います。
詳細は下リンクをご覧ください。
http://brainfodynamics.umin.jp/event/20170909.html (2017年9月) - 東京大学大学院 医学系研究科へ移動しました(2016年4月)。
- 大学院生募集
随時受付しています。松崎(physiol2@m.u-tokyo.ac.jp)までメールでお問い合わせ下さい。
更新日: 2021/11/24