ブレインラボ社について
ブレインラボ社はいわゆる医療機器メーカーであるが、ソフトウェア開発にほとんどの人的リソースを注入することにより、腫瘍治療のみならず、低侵襲性治療ソフトウェアのリーディングカンパニーとなることを目指し、1989年独国ミュンヘンに誕生したベンチャー企業である。
優れた医用・非医用ハードウェアを既存の医療システムに取り込むためのソフトウェアを開発することにより、ソフトとハードウェアを一体化し、使い勝手の良い統合医療システムを提供することを得意としている。
ブレインラボ社の主力製品は赤外線画像誘導技術を用いた、外科手術用ナビゲーションシステムとX線画像誘導技術を用いたラジオサージェリー(定位放射線治療)システムなどがあり、現在、約2500台の高精度治療システムが世界の医療現場で稼働している。 最新の高度放射線治療装置
ブレインラボ社は従来から販売してきた、治療中心部位を示したプリント用紙とリニアック室のレーザーポインタを目視によって位置決めする、オーソドックスなラジオサージェリーシステムを、どうのように改善すれば、より高精度に、より早く、より簡便に扱えるシステムになるのか思案した結果、ブレインラボ社が外科手術ナビゲーションシステム開発で蓄積してきた「画像誘導技術」を応用することにより、これを実現することに致しました。外科手術用ナビゲーションシステムは、高精度な赤外線カメラシステムを用い、腫瘍位置・形状を3次元的に補足し、リアルタイムでテレビモニタや顕微鏡に映し出すことができますが、この技術をそのまま放射線治療に応用することにより、脳腫瘍の治療や脊椎腫瘍、肺がん、前立腺がんなどを行う際に、患者様の位置決めを赤外線カメラとX線カメラでナビゲーションし、高精度放射線治療(いわゆるピンポイント照射)を高速かつ、高精度に行えるようになりました。
Novalis Tx
BrainLAB社とVarian Medical Systems社は、現在市販されているリニアックベースの治療機で最もパワフルな高精度放射線治療システムNovalis Txをリリースいたしました。
二社間の長年にわたる強い絆は無限の可能性を追求し、より革新的、より効果的な治療法の選択を可能にし、放射線治療を新たなステージへと導きます。 ラジオサージェリー、IMRT、一般外照射に対応
NovalisTxはBrainLAB社が得意とする画像誘導型ラジオサージェリー機の最上位モデル「ノバリス」とVarian社が得意とするCone BeamCT搭載型放射線治療機の最上位モデル「Trilogy」を融合する事によって誕生した、統合型の画像誘導型ラジオサージェリー/IMRT治療システムです。
ラジオサージェリーにはBrainLAB社製「iPlanRT」、一般外照射の治療計画にはVarian社製「Eclipse」を選択し治療計画を行うことにより、NovalisTxはほぼ全ての放射線治療適応症例に使用することが可能です。(体幹部定位放射線治療、IMRTはどちらの治療計画装置とも対応) 定位放射線治療用2.5mm マイクロMLCで最大照射野22×40cm
Novalis TxはVarian社が開発した新型マイクロMLCHD120を搭載。2.5mmリーフを中心部に32枚(8cm)、5mmリーフを外縁部に14+14=28枚(14cm)配置し、リーフ幅方向で22cmの照射野を、リーフ進行方向へはリーフバンクそのものを移動する構造により40cmの照射野を実現。最大照射野は22×40cmとなり、ラジオサージェリー用マイクロMLCとしては業界最大クラスの照射野を実現した。
このHD120は回転原体照射ならびにDynamic/Step & ShootIMRTに対応するとともに、新たな照射法として注目を浴びているVMAT(Volumetric Modulated ArcTherapy)にも対応し、潟oリアンメディカルシステムズが日本国内で販売している「RapidArc」による治療も可能である。
IMRTとIGRTによるベストマッチ治療
2008年4月よりIMRT治療が保険診療となりましたが、IMRTビームは通常の放射線治療で用いる平坦なビームとは異なり、線量勾配が急峻な切れ味の鋭いビームを用いるため、患者の位置決めを正確に行わないと危険臓器に大線量が照射される可能性があるなど、リスクを伴う照射方法でもあります。
Novalis TxはIGRT(Image Guided RadioTherapy)と呼ばれる画像誘導技術を用いた位置決め装置を使用し、患者様の位置決め誤差を算出し、さらに6軸制御の(X,Y,Z,Yaw,Pitch,Roll)ロボットカウチによってその誤差を遠隔操作によりすばやく正確に補正移動を行えるため、IMRT治療を安全かつ迅速に実施できます。
最新の治療計画システムによる、臓器の自動輪郭抽出
近年ではコンピュータの進化とともに治療計画システムの担う役割にも変化が生じてきている。従来は医師がCTやMRT画像を1スライス毎に臓器の形状を確認しながら、その輪郭を手作業でなぞることにより、臓器の輪郭抽出を行ってきたが、Novalis Txに採用された治療計画システム「iPlanRT」ではこれをほぼ、自動で行うことが可能である。
適応部位は、頭部・頭頸部・肺野・前立腺であり、特にリンパ節領域などをふくむ頭頸部領域では治療計画の作成に必要な時間を大幅に短縮できる可能性がある。例えば、放射線治療中に抗がん剤治療の影響により体重が減少したり(体輪郭の変形)、放射線治療の効果により腫瘍が縮小しても、従来の治療計画システムでは時間的な制約等からこういった変化に対応することが難しかったが、iPlanRTのオートセグメンテーション機能により臓器の輪郭を自動的に作成できればこういったケースにも十分対応できるようになり、いわゆるオーダーメード治療にも比較的対応しやすくなると考えられる。 |