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理事長からのごあいさつ

 このたび、日本小児突然死予防医学会理事長を拝命しましたのでご挨拶申し上げます。
 日本小児突然死予防医学会の起源は、1995年に突然死でこどもを亡くした家族の会のカウンターパートとして発足したSIDS研究会に遡る。SIDSの概念がわが国に普及し始めた頃である。当時は原因もなくこどもが死ぬわけはなく、乳幼児の突然死は窒息であるとの考えと、窒息では説明できない所謂SIDSが存在するとの考えが対峙していた。当時の研究会では、この議論にほとんどの時間が割かれていた。
 その頃、厚生労働省SIDS研究班では、海外からもたらされた仰向け寝運動(back to sleep campaign:BSC)のわが国への導入の是非に関して議論が集中していた。機序が明確でない状況での導入に消極的な意見や、仰向けで予防できるのは窒息の証拠だなどの意見があったが、突然死が予防できるのであればとの考えから学会の総意としてBSCの開始が支持された。この効果は顕著に認められ、SIDSの発生率は、開始前の1995年が出生1,000に対し0.443で、2015年には70.8%と著明に減少し0.095となった。乳幼児突然死発生率の減少と、SIDSの病因が依然として不明であること、なかでもSIDS診断が不明確で研究対象が雲をつかむような現状もあり、SIDSに対する関心は薄れてきた。世界的には乳幼児突然死を原因の如何によらず総体として捉えるSudden Unexpected Infant Death(予期せぬ乳幼児の突然死)とする概念が広まった。さらに、死後検査を実施しても死因が説明できない、Sudden Unexplained Infant Death(乳幼児の死因不明な突然死)とを峻別し、これをSIDS類縁と捉えて鑑別を進める研究が進められている。SIDS研究会から始まった学会も、この世界的概念変遷の流れに沿って、SIDS・乳幼児突然死予防学会と展開されてきた。
 SIDSは1歳未満の乳幼児に発生した突然死と定義されている。しかしながら、このような死亡事案は3歳未満まで認められている。とくに保育施設での突然死では1歳を超える症例が課題である。これらの矛盾を解消すること、さらにわが国で社会実装が進められているChild Death Review(CDR)を科学的に支える学会の必要性から、日本小児突然死予防医学会と改称し、新たな展開を推進するに至った。
 突然死はすべての年代で発生するが、原因不明な突然死は乳幼児が最も多い。今後も本学会では乳幼児突然死の機序解明と予防法の開発を主軸とする一方、18歳以下のこども達の不慮の死亡を予防するために科学的に研鑽を積み重ねていくことを目指していく。
 不幸にして亡くなってしまったこども達から学び、その小さな命の灯を未来に繋いでいくこと、そして、その命に繋がるすべての者の悲嘆を和らげる優しい社会の創出を使命と心得て、学会運営に携わっていく所存である。

2026年3月吉日

東京都立多摩北部医療センター小児科
小保内 俊雅