「若年者心疾患・生活習慣病対策協議会」(以下これを若心協と略す)
(英文名:Japanese Association for Cardiovascular and Lifestyle Related Disease of the Young(JACLADY))
「若年者心疾患・生活習慣病対策協議会」(以下これを若心協と略す)
(英文名:Japanese Association for Cardiovascular and Lifestyle Related Disease of the Young(JACLADY))
会長 長嶋 正實(愛知県済生会リハビリテーション病院名誉院長)
若年者心疾患・生活習慣病対策協議会事務局(〒710-8602 岡山県倉敷市美和1-1-1 倉敷中央病院内)
Tel:086-422-0210 Fax:086-421-3424 メールアドレス:jakushin.ay@gmail.com
若心協は、わが国における若年者(新生児・乳幼児・児童・生徒・学生ならびに同年齢層を含む)の心臓病・生活習慣病の早期発見、予防ならびに管理指導に関する諸問題を取り扱い、健全なる社会人に育成することを目的としております。すなわち保育園・幼稚園の園児から小学校、中学校、高等学校、大学に至るまでの児童、生徒、学生に対する心臓病の検診について、その方法、評価法さらに結果などに関連する諸問題を医学的に検討することを目的とする協議会であります。本会の構成員は、医科大学、医療機関、府県地区医師会、府県教育委員会、学校保健会の会員でありますが、主として心臓病学の専門的知識を持ついわゆる循環器病専門医と、検診の現場にある学校医会・医師会に所属する医師等からなっております。
昭和43年2月1日若年者心疾患対策協議会を設立し、全国に先駆けて第1回の会合が京都市で開催され、以後各府県をもち廻って地域での活発な活動が継続されています。若心協の会員は、東海、北陸、近畿、中国、四国の他に全国各地域を対象とし、どなたでも入会を歓迎し事業に参加して頂いております。
なお若年者の健康対策には、循環器疾患ならびに生活習慣病の健康管理の重要性から、平成2年(1989)2月20日会則を追加し、「小児の腎疾患、高血圧、高脂血症等の発症ならびに予防に関する研究、対策化を行う専門研究委員会」を新設しました。さらに平成13年(2001)2月25日会則改正、「小児期における生活習慣病研究委員会」と改称しています。平成18年(2006)1月29日会則第2条(会の目的)に「心疾患および生活習慣病の早期発見予防ならびに管理」と生活習慣病対策を追加しました。
更に平成23年(2011)1月30日会則1条(会の名称)を「若年者心疾患・生活習慣病対策協議会」と改定をしました。
児童生徒、学生に対する心臓病の集団検診は昭和30年代に開始され、その検診方式の一部として、対象者全員に対する心電図検査を行う方式が一般的であります。このような形での心臓病の検診は、学校での突然死を出来るかぎり予防したいとするわが国の行政側の要請とも一致して、その後次第に全国的に広くおこなわれるようになり、現在では、全国の小・中、高等学校で全員心電図検査を含む学校心臓病検診がおこなわれています。このような心臓病検診により、それ以外の方法では検出困難な心臓病、たとえば心房中隔欠損をはじめとする各種先天性心疾患、心筋症をはじめとする各種後天性心疾患、QT延長や心室頻拍をはじめとするいわゆる致死性不整脈などが初めて発見されることも珍しくなく、そのような疾患の発見とその後の管理によって、よりよい乳・保、幼・学校生活を保証するものです。さらには新生児、乳幼児期から将来の循環器疾患の起因となる生活習慣病に対し、予防対策を講じることにより将来の生活を改善するものになっています。また一方、校医の聴診などによる身体所見などから検出されているものについて、心電図所見、さらには循環器専門医による所見などを加えることによって、無用な生活制限を緩和することも重要な点であります。このように、心臓病の適切な検診とその後の管理指導によって、児童生徒学生らの学校生活をより安全なものとするとともに、より充実した形で送らせることを支援しています。
また近年、若年者(乳幼児、学校児童生徒)の日常生活、習慣の変化が見られ欠食、小食、多食、スナック菓子などの加食が増えています。肥満と睡眠時間の短縮、運動嫌いによる運動機能の低下等が現れています。これらに対処するには、日常のライフスタイルの適正化と危険因子を少なくすることが必要であり、日頃の家庭での生活習慣の中心になる保護者への正しい理解を得ることが重要な事であります。児童、生徒、学生らの生活習慣病予防検診のもつ意義は、当該個人のみならず、また単に学校生活だけのことに留まるものではなく、広く社会に還元される利点を含めて、その意義は極めて大きいものであります。
若心協が前記の目的を達成するために行なう活動について、事業計画を作成しています。この計画された事業は毎年新たに設定されたものではなく、これまで50年以上にわたって行なわれてきている若心協の事業の、継続的な延長線上にあるものです。まず、毎年の若心協総会の開催による学術的知識の交流と伝播をはかっております。
なお若心協総会を、年1回各都道府県医師会長が総会長として開催しております。
若心協は広報啓発活動の外、学術的な研究活動として7つの研究委員会「心臓急死を主とする調査研究、川崎病対策、スポーツ心臓研究、心臓手術の適応・術後管理研究、不整脈対策研究、小児期における生活習慣病予防研究、心臓検診精度管理研究」があり、各々の専門分野での高度な情報収集と分析研究を行っています。
さらに若心協の活動として、地域保健活動の充実に関する要望があり、これは長年にわたり国会・行政機関等に対して行ってきました。例として「脳死・臓器移植法の見直し・15歳未満の小児の臓器提供を可能として、患児にも心臓移植を受ける機会を与えられるように法改正」と「自動体外式除細動器(AED)の設置ならびに取り扱い研修の徹底等」です。わが国での実現を願い、毎年継続して陳情活動を行ってきました。この総会決議による要望活動は、全地域で行い、平成21年7月には「脳死臓器移植法の改正」が成立し、法改正後はあらゆる年齢層で脳死臓器移植を受けることができるようになりました。
また「自動体外式除細動器(AED)の設置、実技研修等」に関しましては、小、中、高校、大学若年者心疾患対策協議会誌Vol.39等において国ならびに自治体での取り組みで機器が設置されてきました。一方、社会生活の場でも、公共施設、交通機関乗り場(駅舎)大型商業施設、運動競技場等でも逐次設置され社会全体での救助対応が整ってきました。更にAED操作を含む救急対応の実技研修には、あらゆる学校・企業・学術団体での集団、個別対応が継続して行われ、また自治体の救急防災センター、医療団体の救急講習等が希望者に数多い機会を提供しています。これらの取り組みが功を奏し、命を助けられた人の数は急増し、AEDの普及は社会的事業として有効であるとする学術論文が発表されています。
現実に若年者の突然死が過去には年間100例以上ありましたが、最近では数十例と減少し、顕著な効果が見えていることは喜ばしいことです。
総会の記録ならびに学術研究活動の内容は「若心協会誌」として発刊されています。会誌は会員をはじめ各府県医師会、国会図書館等にも寄贈配布しています。
若心協の初代会長は、京都大学名誉教授 故高安正夫、第2代会長は滋賀医科大学名誉教授 河北成一、第3代は大阪大学名誉教授・国立循環器病研究センター名誉総長 川島康生が努めました。平成16年から国立循環器病研究センター名誉総長 北村惣一郎が会長を努め、令和6年からは愛知県済生会リハビリテーション病院名誉院長 長嶋正實が会長を務めております。
事務局は〒710-8602 岡山県倉敷市美和1-1-1 倉敷中央病院内に置いています。(令和5年度より)