三叉神経鞘腫 ( さんさしんけいしょうしゅ )の手術について
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三叉神経鞘腫 (trigeminal neurinoma / neuroma)とは

 
聴神経腫瘍と同じ神経鞘腫が三叉神経から発生した良性腫瘍を指します。
 三叉神経とは、顔の感覚を司り、また、ものを噛む筋肉の支配を行っています。
 したがって、三叉神経が障害されると、顔の感覚が低下したり、顔の痛み(三叉神経痛)や顔のしびれ・違和感
 を感じるようになったり、噛む力がおちたりします。基本的には障害された側の症状が起こり、両側に起こることは
 ほとんどないと考えてよいと思います。
 腫瘍が大きい場合は、聴力障害や時として
顔面神経症状、複視(二重視)、手足のしびれ・歩行障害等など
 脳幹・小脳症状や水頭症を伴うこともあります。

治療法の適応・選択・治療計画について
 
本疾患は発生頻度が少なく、聴神経腫瘍の1/10ぐらいと考えられています。したがって、
 現在でも明確な治療基準等がないと言ってもよいと思います。
 一般的には、無症状のケースや高齢者、腫瘍が小さい場合には積極的に治療が行われる
 ことは少なく、治療方針としては経過観察・放射線治療・手術の3つの選択肢があります。

 症状を呈している大きな腫瘍で、高齢でない場合に手術適応があると考えられます。

経過観察と放射線治療について
 経過観察を行うことになった場合には、腫瘍が発見されたばかりであれば、まずは半年後に
 造影
MRIを再検します。大きさに変化が見られなければ1年に1回のペースでMRIのフォローアップ
 を行ってゆきます。
 定位的放射線治療については、ガンマナイフ・サイバーナイフ・定位的ライナック等が行われて
 いますが、いずれも長期成績は報告されていません。

手術(外科的治療)について  [この腫瘍の手術は専門性を要求されます]
 本疾患に対する手術方法は種々報告されています。
 腫瘍の存在する位置によって、中頭蓋窩限局型 (M型)、後頭蓋窩限局型 (P型)、中頭蓋-後頭蓋型
 (MP型)、中頭蓋-頭蓋外型 (ME型)に分類され、それぞれに対して手術方法が異なります。
・後頭蓋窩限局型 (P型)に対しては、通常は脳外科のスタンダードな手術方法である外側後頭下
 アプローチが用いられます。
・中頭蓋窩に首座を置くその他のタイプ (M,MP,ME型)に対して手術を行う場合には、脳神経外科で
 一般的には用いられていない頭蓋底アプローチが必要となります。これは、メッケル腔という、
 三叉神経が頭蓋外と交通する手前の場所に腫瘍が存在しやく、その部分をきちんと処理しようと
 すると、どうしてもこの手術アプローチを必要とするからです。
 しかし、この手術アプローチを日常的に用いている施設は、全国的にも当科を含めて10施設はないと
 思われます。そのぐらい、脳外科医にとっては不慣れなアプローチということになります。
 腫瘍の根治を目指すためには、この手術方法ではじめて腫瘍の全摘出が可能となります。

当科の特長  [この腫瘍の手術の専門施設]
・まず、上記のように、この腫瘍の手術で必要となる手術アプローチを日常頻繁に用いていること。
・三叉神経鞘腫の手術では、従来は三叉神経は守れなくて当然といった風潮がありましたが、
 当科では以前から、健常な三叉神経は極力温存するという方針で手術を行ってきました。
 温存した神経は、形態的だけでなく、機能的にもある程度きちんと保たれることが実感として
 わかっており、その方針を続けております。
・各種、術中の脳神経モニタリングが完備しており、神経機能を守るための環境が十分に整っていること。
・この三叉神経鞘腫を含めて小脳橋角部腫瘍の手術件数が飛び抜けて多く、経験値が高く手術成績が
 極めて良好なこと。



以下は当科からの以前の学会報告の内容です。
現在は54例となっています (2022年3月)。
















 


     












































               

       
          業 績  kouno-nsu@umin.a
c.jp


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テレビ東京の番組で
「神の手」福島孝徳教授に信頼される医師の1人に挙げられました。
       TV内容

    
「神の手」福島孝徳教授とのセミナー


       リーフレット





当科では、聴神経腫瘍をはじめとして小脳橋角部腫瘍の手術を専門的に行っており、
手術中の神経モニタリングを徹底して行い、また、さまざまな手術方法を患者
さんによって使いわけて、最新の治療により良好な成績をあげております。
気になる症状等ございましたら、お気軽にご相談いただければ幸いです。






              

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