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TSUSHIN2022

学会通信 令和4年12月


 令和4年12月発行号のダウンロード

今年度の学会通信は、A4版カラー7枚で編集しました。
ぜひPDF版をご覧下さい。PDFファイル(ここからダウンロード)

事務局より

2005年度より理事会通信を、2016年度からは評議員の先生、今年度からは名誉会員の先生にもご寄稿いただき、学会通信を年1回発行しています。各地域各分野から選ばれた公衆衛生のエキスパートである理事、評議員の先生方、そして、本学会の発展にご尽力いただきました名誉会員の先生方から会員の皆様へのメッセージをお届けいたします。ぜひ、学会通信を通して、東海公衆衛生学会ならびに役員の先生方の活動を身近に感じていただけたら幸いです。
<メールアドレス登録のお願い>
通信費の削減のために、事務局から会員の皆様への情報提供は、ホームページ:http//tpha. umin ac.jpを通して行なっております。 メールアドレス未登録の方は、事務局:tokai-ph@med.nagoya-u.ac.jpまでご連絡ください。 

 2022年度 各理事・評議員・名誉会員からのメッセージ

理事長:浜松医科大学健康社会医学講座 教授 尾島俊之

みんなの力で健康危機管理の体制づくりを

新型コロナウイルス感染症や、地震・水害を始めとした災害などに関する健康危機管理の体制づくりが求められています。
2022年12月に感染症法や地域保健法の改正案が国会で可決成立しました。感染症やその他の健康危機が発生した際に地域保健の専門的知識を有して地域保健対策の業務に従事または助言する業務支援員(いわゆるIHEAT)が地域保健法の中に位置づけられました。健康危機時には、膨大な業務が発生するため、保健所等の自治体職員だけでは到底対応が追いつきません。そこで、大学等の公衆衛生人材が、平時から研修などを通じて保健所等と顔の見える関係づくりをして、いざというときに支援することが期待されます。
また、従来から、災害対応には、自助、共助、公助が必要とされていましたが、感染症流行や、その他の健康危機においても同様と考えられます。さらに、いろいろな組織同士のソーシャルキャピタルの醸成が重要でしょう。そのような体制づくりは、南海トラフ巨大地震や、次なる感染症パンデミックが発生したときに、多くの命や健康が失われることを防ぐためにとても重要と考えられます。

副理事長:名古屋大学大学院医学系研究科国際医療保健学・公衆衛生学 教授 八谷寛

東海公衆衛生学会の発展

東海公衆衛生学会の主たる活動である学術大会は、コロナ禍にも拘わらず、過去3年間、着実に開催されたことはやはり特筆に値すると思います。過去2年間は対面+オンラインという新しい形態も導入されました。2017〜2019と2020〜2022の3年間ずつの大会参加者はそれぞれ平均で163人、155人、また演題数は36題、44題とその規模も維持あるいは発展しています。東海公衆衛生雑誌の論文数も2017〜2019と2020〜2022の3年間ずつの平均でそれぞれ10編、11編で年度による変動はありますが、高い投稿数を保っています。このような活動を支えるのは会員の皆様の意思に加え、学会事務局、大会を運営される各地域の皆様の熱意と尽力、編集委員や査読者の献身的努力の賜物であると思います。東海地域におけるこのような着実な活動、それを支えるコミュニティの存在が日々の公衆衛生活動、研究の発展に役立つことを確信する次第です。

名誉会員 青木國雄

はるかなる思い出

学会通信への投稿をネットで呼びかけられたが、現役引退後30余年を経ており、病後でぼんやりしていたので、私には縁が遠いと感じていた。たまたま12月初旬、所用で大学に立ち寄った際、事務局で東海公衆衛生学会の歴代学会長一覧を見せられ、第40回までの会長が私と消息不明のお三方を除き、すべて物故されていた。数人の先輩の面影が浮かび、何か書きなさいと背中を押された感じを覚え、即座に書きますと返事をしてしまった。現会員にはあまりご参考にならないと思うが、少しばかり灰色の思い出をお送りする。
わが国の国立大学には公衆衛生学という講座はなかった。1950年、米占領軍最高司令部からの命令で、全国の大学医学部すべてに公衆衛生学講座が設置されることになった。関係者はみな驚き、学生の我々もなぜかと疑った。公衆衛生を知らなかったのである。当時公衆衛生学の指導者は少なかったが、幸いにも名古屋大学には国立公衆衛生院を定年退職された疫学界の泰斗野辺地恵三先生が着任された。多くの大学では他講座からの転属や、厚生省、都道府県衛生部長を教授に選任、異例の人事は翌年までかかったようである。公衆衛生学の領域は広く、これまでは衛生学、内科・小児科学など医学部全体でカバー、実務は自治体の衛生部が実施していた。新講座でははじめは何をしても自由であったが、スタッフも少なく、研究は限られ、全国で多領域をカバーしようとしていた。研究内容は地域で偏りがあり、研究内容がサイエンスとは程遠いとの非難もあり、医学界から一線を画された苦しい時代があったと記憶する。数年後、日本公衆衛生学会が成立、漸次基礎体系が整えられ、存在感を持つようになった。東海地方では1955年に地方学会が発足したが、全国的には早かったと思う。もともと公衆衛生は実践医学の重要部門であり、日本での認識が甘かったのである。
一方、1950年代には、地方の国立大学で63歳という定年制が導入され混乱もあった。名大では野辺地教授がはやばやご退任され、後任人事が難航、講座の鼎の軽重が問われた。ちなみに、衛生学の鯉沼教授も退官されていた。1955年の東海公衆衛生学発足は鯉沼先生の長年の功績をたたえた記念の学会だったとの仄聞もある。しかし、これを機に、毎年東海4県の回り持ちの学会が開催され、大学教授と各県衛生部長により指導された。当時、衛生部長は公衆衛生の実務と研究のリーダーであり、多くの部下を要し、権限も大きく、学会の管理、運営、財政の重責を担当された。各大学教授がこれを支える時代が長く続いたように思われる。
私は内科医として結核の診療、研究をしていたが、1959年半ばに疫学の研究のため名大予防医学教室に転属派遣された。ただ、最初の4年間は、教授の特別講演の準備などで極めて多忙であり、その後、米国へ留学、帰国後間もなく、愛知県がんセンター研究所へ赴任したので、本学会とのご縁は薄かった。当時、偶然依頼を受けたスモン病の病因研究を大谷元彦博士と共同で実施、その成果が東大山本俊一疫学部教授などから評価されて、ようやく公衆衛生研究者として認められるようになっていた。1971年、41歳という遅いスタートであった、1977年に名大へ復帰したが、東海公衆衛生学会は先輩教授方の活動が続いており、後から支援する時期が続いた。学会会長の順番が巡ってきたのは、1983年の第29回学会長であった。癌や患者の少ない難病研究が多く、公衆衛生研究にはまだ時期が早い段階の研究が中心であったので、全会員の要望に応えるための学会の特別講演やシンポジウムの主題、演者の選択に苦労した記憶がある。その後、私は国際がん研究や、国際学会の役員を務めねばならず、海外の仕事が増えて、本学会への積極的参加はできなかったが、教室としてかなり協力していた。
個人的な思い出として、野辺地教授の斬新な教育法、社会医学の新教育体法の設立、衛生行政への協力などがある。初期の時代の会長のプロフィルやエピソードが思い出されるが、これは機会を見てご紹介できるかもしれない。

至学館大学健康科学部栄養科学科 教授 今枝奈保美

実り多き,♡幸運な私達の学会!!

こんにちは、会員の皆様‼ 私達の学術大会は2022年も、一昨年、昨年に続いて、皆様がリアルに集まって開催できました。学会発表は、日頃の研究を互いに発表し、評価や検証をする最重要イベント。これまでの3年間は、あらゆる分野の学会が、オンラインや紙上発表だけの形式を余儀なくされていますが、私たちの学会は、初めての緊急事態宣言(2020年)の時も、学会開催の7月には、ちょうど解除。万全な感染対策を皆様が実践しつつ、中部学院大学のキャンパスに集うことができました。次の年も、今年も「感染拡大の状況によっては急遽オンライン開催のみ!詳しくはWEBで!」との緊迫した広報がなされつつも、リアルとオンラインの両方の長所を活かした学術大会が実現しています。実行委員会の先生方におかれましては、本当にたいへんな御苦労ばかりだったと存じます。こんな学会通信?を呑気に書いている私は、ただ御礼を申し上げることしかできません。会場の運営、参加者への周知、衛生設備の配置などなど、コロナ禍で開催する集合イベントの「御手本」を示して頂き、「今こそ必要な知識」をシンポジウムの形で会員に提供してくださったので、私も自分の職場に「知識と実践の知恵袋」を持ち帰ることができました。開催できたのは「たまたまの偶然」かもしれませんが、運も実力の内!リアルに会って、お話しできるのは、やはり大事ですね。有難うございました。

名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学 教授 上島通浩

公衆衛生の多様な専門性と分担

私は衛生学公衆衛生学領域のある教科書の編集者をしています。毎年改訂が行われるこの書籍の編集者の仕事は、年度の初めに出版社の担当者、監修者、もうひとりの編集者とともに全体の構成を確認し、記述のアップデートが必要な点を検討すること、そして、著者全員の原稿内容を確認し、必要があればコメントをつけ、また、場合によっては望まれる記述の内容を協議検討すること、校正作業を行うことです。
そこでいつも感じるのは、広義の公衆衛生のカバーする範囲の広さです。目次にそれは端的に表れ、序論に始まって保健統計、疫学、疾病予防と健康管理、環境保健、産業保健、地域保健と保健行政、母子保健、学校保健、精神保健、高齢者の保健・介護・医療、国際保健、保健医療福祉の制度・法規と、その話題の多さに何度見ても知的興味でワクワクします。医師、コメディカル、栄養系等の学部学生を対象とした設定ですが、その道の専門家が執筆した文章を読むのは、私自身にとっても大きな勉強の機会です。自分の知識がカバーしているのは一部の領域であることを思い知らされ、公衆衛生の各現場の最前線での活動とその根拠となる科学的エビデンスや法への理解が深まるのを感じるのは、とても楽しいことです。
学会員である私たちは専門家として、それぞれの公衆衛生の前線に立って日々、懸命に前に進んでいます。大学医学部を職場とする身としては、医学生にこうした公衆衛生の多様な専門性とそれを各専門職がどの現場でどのように担っているか、是非、感じられるようになって欲しいと願っています。そして、私自身が、それぞれの現場での活動をもっと深く理解し、皆様とともに前に進みたいと考えております。

名古屋市健康福祉局 医療企画調整官 小嶋雅代

長年、大学、研究所において、公衆衛生の研究・教育に携わってきましたが、7月から行政にて、新型コロナウイルス感染症対策の最前線に立っています。
社会は既にwith コロナに向かい、街の賑わいも戻ってきました。人の流れが増えれば、新規感染者が増加するのは当然のこと。通常の医療体制を維持しながら対応していくためには、一部の医療機関だけに負担をかけ続けるわけにはいかず、コロナ医療の担い手を広げる必要性を感じています。また、患者側にも「いつでも希望の医療機関を受診でき、入院すれば病院が病気を治してくれる」のが当たり前ではないことをご理解いただく必要があります。COVID19は社会の課題を炙り出していると言われますが、医療制度においても然りです。目指す方向は地域包括ケアシステムの中にコロナ診療を落とし込むことだと思いますが、住民のヘルスリテラシーの向上も含め、公衆衛生の専門家が果たす役割は大きいと期待しています。

愛知県瀬戸保健所 所長 澁谷いづみ

山梨県甲府市での日本公衆衛生学会のシンポジウムに参画して思うこと

令和4年10月8日、土曜日。学会2日目。この日は前日までの肌寒い雨も上がり、シンポジウム座長をする会場近くの歩道橋を歩いていると、くっきりとした輪郭の富士山をみることができました。「十三夜の栗名月も期待できるかも」と考えながら、全国の行政の管理栄養士のスキルアップと人材育成を取り上げた2つのシンポジウム、この仲間にエールを送るシンポジウムにしたいと思いました。
東海公衆衛生学会も日本公衆衛生学会も、一人でも多くの行政の管理栄養士に参加してもらうことで活発な情報交換や発信、支え合い等多くのメリットが栄養士だけでなく他の様々な職種にもあると知ってほしいのです。組織は人が多いことは大切です。見えない日があっても月は雲の向こうに必ずあり全国から視線を注ぐことができます。目標が見えなくなる時があって心折れそうでも、いわゆる一人職種の栄養士も保健所長の公衆衛生医師も学会という支え、ネットワークでつながり公衆衛生活動ができたらいいなと思います。どなたからでも身近にいる管理栄養士を学会にお誘いくださるとうれしいです。

三重県伊勢保健所 所長 鈴木まき

いにしえから伝えていくこと、新しく進化すること

私の勤務する伊勢では、20年に1度、神宮の社殿を造り替える「式年遷宮」という行事があります。1300年に渡って継続されたことで、建築技術や調度品を現在に伝えることができ、いつまでも変わらない姿(常若 とこわか)を現代に生きる私達に見せることができています。
前回の第62回神宮式年遷宮は平成17年から、準備を9年に渡り重ね、平成25年に行われています。遷宮の7年前、6年前にはお木曳行事があり、伊勢の住民は1年前から準備します。次のお木曳行事は2026年、2027年ですので、現在(2022年11月)から約2年半先2025年4月頃から準備が始まります。
ところで、保健所でのコロナ対応が始まってから3年となりました。3年間の中で、3回の人事異動もあり、気がつくと私の在籍する伊勢保健所では、コロナ以前の平常業務経験のない職員が過半数を占めています。そのような中で、今年度は3年ぶりの国民健康栄養調査や医療機関への立ち入り検査が実施されています。11月末に県でエボラ出血熱患者発生時の訓練を久しぶりに行いますが、過去の訓練参加者はほとんどいない状況です。
定期的に継続していくこと、また継続しつつ、新しいものを取り入れていくこと、式年遷宮行事が近づく今、withコロナ 時代に向けても取り組んでいきたいと思う日々です。

浜松医科大学地域医療支援学講座 特任教授 竹内浩視

これからの医療提供体制や社会保障制度のリアルを伝える

昨年に医療法等改正法が成立し、これからは2040年を目指して医療制度改革がさらに加速していくでしょう。また、新型コロナウイルス感染症への対応に追われる一方で、年間出生数80万人割れが確実視されているように、今後は社会保障制度全体への危機感がこれまで以上に現実感を持って迫ってくるものと思います。
このような中、国や自治体は、毎年膨大な調査・統計資料を公表しています。ただ、それらがどこまで医療従事者や医療従事者を目指す学生にリアルに伝えられ、活用されているか、ずっとジレンマを感じてきました。
現在担当している医学科・看護学科の授業では、最新の調査・統計結果を用いて医療政策や社会保障制度について話していますが、授業後には驚きとともに切実な感想が数多く寄せられます。また、県看護協会の職階別研修でも同様の反応があります。
医師の働き方改革の推進や地域医療構想の実現が求められている中、実は一番の当事者であるはずの医師がこれらの情報から最も遠いように感じています。50歳未満の医療施設従事医師の1/3近くが女性となり、救急医療では男性医師の負担増が課題になっているとの声も聞きます。
これからの医療提供体制や社会保障制度のリアルは、臨床研修・専門研修で指導的立場にあり、2040年頃には管理職となっているであろう今の30〜40代の医師にこそ知って欲しいと思うのですが、果たしてその時間的・精神的余裕はあるでしょうか。

人間環境大学大学院看護学研究科 教授 巽あさみ

健康経営の考え方について

2022年12月2日(金)、3日(土)に東京一橋大学一橋講堂で開催された「第30回日本産業ストレス学会」に参加し、健康経営について知識を深める機会があった。私は2019年の「地域・職域連携推進ガイドライン」の改訂メンバーとして関わらせていただき、現在も愛知県内で関わっている地域がある。
地域・職域連携推進活動では地域の小規模事業場に対して健康経営への取り組みを進めることで健康支援をする方法がある。現在の支援方法は、「疾病の予防・管理」の疾病モデルとしていることが多い。しかし、健康経営は疾病モデルではなく「健康確保による生産性の向上といったパフォーマンスモデルが基本となっている」ことだと分かった。つまり、ワークエンゲイジメントの向上やプレゼンティーズムの低減を見据えて支援することが必要である。今後の健康経営を支援する上での参考としたい。

名誉会員 徳留信寛

グローカルな研究、実践を

本学会は、当初、医学部・医科大学などの分担金、地方公共団体・政令指定都市の賛助金を基盤としていた。地方財政逼迫があり、2001年に賛助金がカットされ、存亡の危機を迎えた。侃々諤々のディスカッションがなされ、2005年以降、本来の個人会員制とし、また、4県・指定都市が主催し、大学がサポートする方式で学会が運営されている。
実践(art)を伴わない科学(science)は机上の空論であり、科学の裏づけがない実践は結実しない。本学術集会・学会誌は、東海地区の研究者、実践者のフィールド研究、実践に関わるグローカル(think globally, act locally)な情報発信、意見交換の場として重要である。
今後とも産学官民が連携し、感染症・生活習慣病対策をはじめ、保健・医療・介護・福祉などへの参画、人びとのQOL維持・向上のサポート、社会格差・地域格差の是正、SDGs(気候変動対策、生態系保全を含む)への取り組みなど、社会・地域住民のニーズに応える研究、実践を期待したい。

静岡県東部健康福祉センター 技監 古谷みゆき

東海公衆衛生学会会員の皆様へ

今年も新型コロナウイルス感染症の感染拡大に追われる1年となり、今も第8波のまっただ中です。10月の日本公衆衛生学会も、コロナ関連の講演やシンポジウムが多数あり、リスクコミュニケーションの不足が指摘されていました。
市町や歯科医師会から、コロナ禍でのフッ化物洗口(むし歯予防のためのぶくぶくうがい)について、問い合わせや相談があり、第7波の最中(令和4年8月)でしたが、静岡県内の市町に協力いただき、調査を行いました。8月末現在で、フッ化物洗口の再開時期未定が実施31市町のうち23%(7市町)あり、理由はコロナ禍での多忙と飛沫感染が心配との意見が多々ございました。
フッ化物洗口は口を閉じて行う方法であり、洗口液を吐き出す場面以外は、飛沫が飛びにくく、歯みがきよりも飛沫が少なくむし歯予防効果の高い方法です。幼稚園・保育所・学校等で昼食後の歯みがきを中止しているところが多いと聞きますので、コロナ禍である今、フッ化物洗口の利点を正しく伝える必要があるのではないかと感じました。
現在は新型コロナウイルスの感染対策が最優先でありますが、フッ化物洗口の利点を生かし、1人でも多くの子どもたちがむし歯予防の恩恵を受けられるように、リスクコミュニケーションを考慮しながら、正しい情報を発信し子どもたちの歯の健康づくりを推進したいと思います。皆様の地域におかれましても、推進をお願いいたします。

名古屋市保健所長・名古屋市健康福祉局医監 松原史朗

コロナとの戦い いまだ苦戦中!

2022年4月に名古屋市南保健センター所長から名古屋市保健所長に異動しました。名古屋市は2018年度に保健所組織を再編し、市保健所は市役所内に置いています。したがって実質は区の保健センターから市役所本庁への異動でした。仕事の内容も大きく変わり、施策や予算の立案、議会や労働組合との折衝などに多くの時間を費やすことになりましたが、最大の課題が新型コロナウイルス感染症対策であることには変わりがありません。
新型コロナウイルス感染症は、2022年1月に始まった第6波以降はオミクロン株が流行の中心となり、重症化率や致命率は下がった一方、感染力は強くなりました。そのため感染者数が爆発的に増加し、保健所や医療のひっ迫が大きな課題になりました。2022年9月26日からは患者の届出対象が限定され、保健センターの業務はかなり減少しましたが、本庁が担う入院調整等の業務はあまり減らず、職員の激務が続いています。
この冬には第8波とインフルエンザの同時流行が懸念されています。もしそうなれば第7波以上に医療機関がひっ迫し、医療が必要な方も医療が受けられなくなる事態が起こるかもしれません。それに備えてワクチン接種の推進、医療機関の体制強化や転院促進を図る施策などを進めています。11月に入って全国的に感染者数が再び増加に転じています。本当に手ごわいウイルスとの長期戦で苦戦していますが、皆で力を合わせてこの苦境を乗り越えてまいりたいと思います。引き続きより一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 関連学会からのご案内

第33回日本疫学会学術総会のご案内:浜松医科大学健康社会医学講座 助教 柴田陽介

2023年2月1日(水)— 3日(金)、静岡県浜松市(アクトシティ浜松)で第33回日本疫学会学術総会が開かれます。テーマは「総合知による健康・幸福の向上」とし、会長は当学会の理事長も務める浜松医科大学の尾島俊之先生です。新型コロナの拡大に伴い、疫学の重要性を実感している人も多いのではないでしょうか。今回の学術総会は、一般的なシンポジウムだけでなく、日韓台シンポジウム、パイプオルガン演奏などの趣向を凝らしたイベントも行われます。疫学セミナー、プレセミナーは非学会員でも参加でき、疫学セミナーは日本公衆衛生学会認定専門家のポイントにもなります。一般演題は約400演題を予定しており、一部のコンテンツは終了後もオンデマンド配信します。現地でもオンラインでも参加できますので、情報交換や情報のアップデートの場として、是非ご参加ください。
詳細はhttp://web.apollon.nta.co.jp/jea2023/index.htmlをご覧ください。

 事務局通信

事務局スタッフ 渡邉優子

2022年7月3日の第68回学術大会は、第7波の直前ではありましたが、対面とオンラインの両方で開催することができ、沢山の皆様にご参加いただきました。大会事務局の皆様、参加された皆様、本当にありがとうございました。ご尽力とご協力に心より感謝申し上げます。
さて、コロナの第7波が治まった10月、今までずっと我慢していた「私の日常」をやっと取り戻しました。三年ぶりの映画館、三年ぶりの親友とのランチ、三年ぶりの居酒屋焼鳥&ビール。楽しくて嬉しくて美味しくて、三年分の感動の嵐でした。コロナを恐れているだけでは、せっかくの一度きりの人生が恐れだけで押し潰されてしまいます。今この瞬間は一度しかありません。不安で閉塞的な時代だからこそ、できる範囲で楽しみや生き甲斐を見つけて人間らしく生きないと!前向きに、前向きに、コロナなんかに負けないぞ!泣いたり笑ったり、怒ったり喜んだりしながら「生きる」ということを楽しみたいと思いました。
今年もお世話になりありがとうございました。来年もご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

事務局一同より

学会通信お楽しみいただけましたでしょうか。
学会通信に関するご意見、ご感想等がございましたら、是非事務局までお寄せ下さい。
各理事、評議員へのご質問・ご相談も承ります。
また、東海公衆衛生学会の活動全般、学術大会のあり方等への要望などもお待ちしております。

事務局一同

東海公衆衛生学会事務局:名古屋大学大学院医学系研究科予防医学分野内
〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
Tel: 052-744-2132 Fax: 052-744-2971
E-mail: tokai-ph@med.nagoya-u.ac.jp

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