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RIJIKAITSUSHIN2012

理事会通信 平成24年12月

 平成24年12月発行号のダウンロード

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  • 今年度の理事会通信は、A4版カラー4枚で編集しました。

ぜひPDF版をご覧下さい。ここをクリック!

事務局より


2005年度より年一回理事会通信を発行しています。今年度も各地区各分野から選ばれた公衆衛生のエキスパートである理事の先生方から会員の皆様へのメッセージをお届けいたします。
今年度は4月に新役員を迎え、学会として新たなスタートを切りました。
ぜひ、理事会通信を通して、東海公衆衛生学会ならびに理事の先生方の活動を身近に感じていただけたら幸いです。
<メールアドレス登録のお願い>
通信費の削減のために、事務局から会員のみなさまへの情報提供は、ホームページおよびメールマガジンを通して行なっております。メールアドレスを未登録の方は、事務局 tokai-ph@med. nagoya-u.ac.jpまでご連絡下さい。 

 平成24年度 各理事からのメッセージ


東海公衆衛生学会理事長 名古屋大学大学院医学系研究科医療行政学 教授 浜島 信之

医療行政学への転向

平成21年度に本学会の理事長を拝命し、この平成24年度から2期目の理事長を務めさせていただいております。引き続き、この学会が着実に継続発展していくよう努力してまいります。
上記の所属にありますように、私は名古屋大学医学系研究科の中で予防医学講座から医療行政学講座に異動致しました(平成24年12月1日付)。この講座はYoung Leaders’ Program(YLP)という1年間の医療行政に関する修士コースを担当する部局です。2003年に開講され、2012年10月-2013年9月期で10期目となります。毎年10人前後が入学し、これまでに100人近くの優秀な卒業生を送り出しています。2003年の開講の時より、私はYLPの運営員会委員長としてこの修士コースに関与してきましたが、今回、その責任講座を担当することになりました。
対象は、アジア(ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、マレーシア、ミャンマー、バングラディシュ、モンゴル、アフガニスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、カザフスタン)と東欧(ルーマニア、ポーランド)の14か国の厚生省の若手中堅の医師資格を持つ行政官です。
本コースでは、疫学、生物統計学、公衆衛生学、衛生学、国際保健、法医学などの周辺分野の授業の後に、わが国の医療提供施設、医療従事者、医療介護保険制度、医療経済、地域医療、病院経営などについての授業を行います。また、同時にわが国の文化にも親しんでもらうため多くの体験を積んでもらえるよう工夫がされています。講義と討議は英語で行いますので、教員にも大きな刺激となっています。
昨年6月から内科医として地域診療にも従事していますが、医師の偏在、終末期の医療のありかた、介護との連携、保険診療の矛盾、結核などの感染症対策など、種々の地域医療の問題点を実感しています。このことも医療行政学への転向の動機にもなっています。
今後は、YLPの教育に携わると共に、わが国の地域医療、保健所業務、医療制度についてのとりまとめをしていき、施策に反映できるエビデンスの積み上げていきたいと考えています。会員の皆様方から教えて頂くことも多くなりますが、今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

名古屋市中保健所 所長 明石 都美

平常時に準備する災害時への対応

平成23年は、3・11後、あまりに大きな災害であったため、自分の保健所であったらどうしたのだろうか、といったことしか頭に浮かばず、システム的なことは、ほとんど何も手に就かなかった年であった気がします。平成24年は、名古屋市では、今頃といわれるかもしれませんが、災害がおきた時の平常時の具体的な準備の一つとして、各種マニュアルづくりに着手しています。私が係わっているのは従来版の変更となる「災害時保健師活動マニュアル」ですが、保健所として、市民の方々の生命をできる限り救うためには・・という原点に返りながら検討しています。また、その中で、他の自治体等からの支援に対し、受け入れるための指針も検討しています。この指針は、名古屋市の職員にとっても、他の組織や仕事内容が判る、「基本情報」の役割を果たし、他の部署との連携などにも役立ちそうです。
私の所属する中保健所では、発災時間に応じたシュミレーション訓練をしています。職員間で話し合う中で、ホワイトボードが足りるか、といった些細なことからその日のうちに訪問して安否確認が必要な市民の方への対応など、心構えはできてゆくようです。
平常時にできないことは、災害時には絶対にできない、と被災自治体の方からいわれました。地域の中での活動となりますが、いつも災害のことを忘れず、心して取り組みたいと思っているところです。

愛知県健康福祉部 部長 五十里 明


今年度、愛知県では6月に「あいちの地域包括ケアを考える懇談会」と「愛知県地域包括ケア推進研究会」を設置し、団塊の世代が後期高齢者となる西暦2025年問題への対策に着手しております。診療報酬や介護報酬が在宅重視にシフトしつつある中で、一部地域で先進的な取り組みが行われておりますものの、まだまだ拡がりが見られておりません。その要因には、在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションなどの社会資源に地域差があることや、医療と介護の従事者で、言葉が通じないなどの連携が不十分であることなどが指摘されております。
来年度には、懇談会や研究会から地域モデルの提言をいただき、その後、皆様のご協力を得て、県下で様々な実践が行われ、各地域に適した愛知モデルが確立することを期待したいと思います。


岡崎市保健所 所長 犬塚 君雄

予防接種について

近年、世界とのワクチンギャップを解消すべく、矢継ぎ早に新たなワクチンの導入が続いている。幼い子供を持つ保護者にとっても、治療を担当する小児科医にとっても、誰よりも病気にかかりつらい思いをしなくてすむ子どもにとって朗報である。
岡崎市保健所でもVPD(Vaccine Preventable Diseases)を知って子どもを病気から守ることを重点目標に掲げて講演会を開催するなど普及啓発に努めている。この事業を通じて感じたことをいくつか述べてみたい。
一つ目は、「はしか」がいい例であるが、予防接種の普及で「はしか」そのものを見なくなったために、保護者にも感染症の怖さが理解されなくなってきたことである。輸入例を発端とする流行の可能性について警鐘を鳴らすとともに、重症例を含めたサーベイランス情報をわかりやすく公表するなど、接種率の低下につながないよう不断の努力が求められている。
二つ目は、副反応の正しい伝え方である。一般に、たまたま起こった有害事象であっても予防接種と結び付けて考えがちであり、正しい情報を伝え不安を軽減するための予防接種に関するリスクコミュニケーションの必要性を感じている。
三つ目は、予防接種の実務を担当し、経費を負担する市町村にとって、その財政負担が相当な重荷になってきていることである。岡崎市でも一般会計の1%を超えようとしている。本来国が全額負担すべきと考えるが、過去の経緯にとらわれずきちんとした議論が必要と考えている。

浜松医科大学健康社会医学講座 教授 尾島 俊之

平成25年の東海公衆衛生学会の開催に向けて

平成25年度の東海公衆衛生学会は静岡県での開催当番となっております。この学会は、東海地方の自治体等の現場の方と大学等の学術関係の方が交流できる貴重な機会となっています。平成25年7月20日(土)に、掛川市徳育保健センター・小笠医師会館(一続きの建物です)での開催をすることになり、現在準備を進めております。掛川市にお越しの際は、掛川茶や、掛川城などを堪能して頂ければと思っております。掛川城の天守閣は、山内一豊が整備をし、その後、安政東海地震で崩れ落ちましたが、平成6年に木造で復元されました。二の丸御殿は、文久元年の建物が現存しており、一見の価値があると思います。
また、東海公衆衛生学会では、今回から学会抄録集への掲載論文の投稿も受け付けることになりました。投稿期限までが短くなっておりますが、是非、大勢の方の投稿をお待ちしております。

愛知県豊川保健所 所長 澁谷 いづみ

平成24年度の動きを振り返って

保健所や市町村で公衆衛生に関わる仕事をしているものにとって、今後の活動を考える契機となる方向性が示されました。一つは「健康日本21計画」の科学的な評価の基、「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」が示され、いまひとつは、地域保健対策の推進に関する基本な指針が見直され、いずれも7月に告示されました。
閉塞感のある現代社会の10年後は、ビジョンである「国民皆がともに支え合って健やかで心豊かな活力ある社会」にしたいですね。そのためには、保健所と市町村が重層的に役割を果たし、保健所は地元の市町村から政策支援のパートナーとして頼りにされ、ほめてもらえたら嬉いです。
ところで、来年は日本公衆衛生学会が三重県で開催されます。久々に東海地方で開かれます。参加者の減少に歯止めをかけ、ぜひ東海公衆衛生学会員も皆で応援し盛り上げましょう。

あいち健康の森健康科学総合センター長 兼 あいち介護予防支援センター長 津下 一代

行動する「公衆衛生学」を広げたい!

今年度から本学会理事を拝命しました津下です。どうぞよろしくお願いいたします。
超高齢社会の到来、そして第二次健康日本21運動を控えたこの時期に、本学会の運営に参画できますこと、身の引き締まる思いがいたします。微力ですが、本学会の発展に貢献したいと思っております。
私自身、個人の能力が問われる臨床から、チームで結果を出す予防活動(プログラムマネジメント)、さらにはシステム化(制度設計)や社会環境へのアプローチへと視点が動いてきました。20年前、「先生が一生懸命に指導しても、数多い糖尿病の患者さんの一部ではないか?」ある保健師さんにいわれたことを思い出します。だからやってもムダ、ではなく、そこから予防法のエッセンスを学び、どうしたらより多くの人を効率よく健康にできるのかを考え、あいち健康プラザスタッフとともに実践してきました。
そんな実践的公衆衛生学を広めていきたいと思っています。

岐阜大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学分野 教授 永田 知里


年の瀬総選挙というので、テレビでは毎日のように各政党のリーダー達が入れ替わり立ち替わり登場し、政策を語っています。大学では、国の大学改革が進むというので学部のミッションの定義づけが迫られています。大学間連携が始まれば、小さい地方大学は存続の危機に晒されるわけです。研究もこのところ「イノベーション」がキーワードになっており、拡大解釈も許されるのでしょうが、狭義の意味ととれる技術革新から程遠い分野には、研究費獲得は望み薄です。政権が変わったらどうなるのかしらと考えたりしますが、何やら騒然として落ち着かない気持ちです。大学に限らず、特に公衆衛生行政の場も然りで、今後の国政のあり方如何による状態と思います。おまけに東日本震災後の復興もままならぬ状況です。とはいえ、まずは、こういう時こそ落ち着いて、それぞれの場で粛々と公衆衛生の営みに取り組むことかと思うこの頃です。

名古屋市健康福祉局 参事 松原 史朗


今年度から理事を務めさせていただいております松原です。私は現在名古屋市役所で保健施策を担当していますが、今年度は予防接種関係の制度改正が相次いでいます。9月にはポリオワクチンが生ワクチンから不活化ワクチンに変更され、11月には4種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ)が導入されました。また10月からは、名古屋市独自にロタウイルスワクチン接種の半額助成を始めました。国の動きを見ますと、来年度からヒブ、小児用肺炎球菌、子宮頸がん予防ワクチンが定期接種に位置づけられる予定ですし、BCGの接種時期の変更も検討されています。ワクチン行政が進むのはうれしいのですが、予算も人手も足りない中、担当する者は大変です。しかしワクチンギャップの解消が市民の健康につながると信じて、前向きに対応していきたいと思っています。

 事務局通信

事務局スタッフ 渡邉優子


私事ながら、親の介護に携わって12年、沢山の人に支えられ日々過ごしております。
人との交わり、自分が見聞きした事、多くの経験が今の私を作ってくれているのだなと改めて思いました。
人生無駄な事なんて一つもない、今やらなくてはならない事を精一杯頑張る、そうすれば未来の自分はもっと豊かに人生を送れる、そんな気がします。
来年もこの意気で頑張ります!

事務局一同より

理事会通信お楽しみいただけましたでしょうか。
理事会通信に関するご意見、ご感想等がございましたら、是非事務局までお寄せ下さい。
各理事へのご質問・ご相談も承ります。
また、東海公衆衛生学会の活動全般、学術大会のあり方等への要望などもお待ちしております。

事務局一同

東海公衆衛生学会事務局:名古屋大学大学院医学系研究科予防医学教室
〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
Tel: 052-744-2132 Fax: 052-744-2971
E-mail: tokai-ph@med.nagoya-u.ac.jp

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