厚生労働行政推進調査事業 地域医療基盤開発推進研究事業 遠隔診療の有効性・安全性に関するエビデンスの飛躍的な創出を可能とする方策に関する研究

遠隔医療研究班 H29-医療-指定-019
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厚生労働行政推進調査事業「遠隔医療研究班」事務局

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27年度研究の概要

1.背景

従来の遠隔診療の臨床評価は十分なインパクトを持たず、政策的推進も各地域の取り組みも弱かった。評価の確立や普遍的実施手法が求められる。そこで遠隔から医師の遠隔介入による訪問看護の質的向上(迅速性、適切性など)を実証する臨床研究を計画し、実施する。

2.研究方法

臨床研究モデル作りのための情報収集として、遠隔指導の有効性、臨床評価指標、質管理手法、現場意識(ニーズ)の調査を、先進地域(医大、中核病院等)や遠隔医療従事者研修参加者を対象に行った。先行研究として2011年度に収集した在宅患者向け遠隔診療の比較研究データを精査した。今後、臨床研究計画書作成と多施設臨床研究を進める。

3.研究結果

モデル調査より種々の研究実態がわかった。先進地域調査(先進的大学や施設)でも臨床研究やガイドライン作り、質保証や医療安全、診療記録管理は検討途上だった。また同診療科間連携が主流で、在宅医療ニーズの一つである他科専門医と在宅医の遠隔指導の研究事例を見いだせなかった。
遠隔医療従事者研修受講者等を対象に意識調査を行い、医師・多職種間の遠隔医療による支援や専門医からの地域への支援へのニーズや関心が非常に高いことがわかった。しかし実施可能な対象行為、請求できる報酬などの詳細情報不足でリスクを犯せないとの意見も多かった。また立ち上げの支援が不足で、中々進められない実態も明らかになった。
平成22~23年度の先行研究で集めた臨床研究データによれば、薬の用量変更実績や、対面診療と同等の有害事象発生率等の結果が得られていた。一方で上記研究以降、在宅患者向けに積極的な遠隔診療を実施する施設の出現は見受けられなかった。実証された臨床効果は、一般的な即時指導で、電話等再診や連携指導に相当し、在宅医療での既存の指導管理料(診療報酬)の評価が進み、新たな加算は難しい。

3.研究結果

モデル調査より種々の研究実態がわかった。先進地域調査(先進的大学や施設)でも臨床研究やガイドライン作り、質保証や医療安全、診療記録管理は検討途上だった。また同診療科間連携が主流で、在宅医療ニーズの一つである他科専門医と在宅医の遠隔指導の研究事例を見いだせなかった。
遠隔医療従事者研修受講者等を対象に意識調査を行い、医師・多職種間の遠隔医療による支援や専門医からの地域への支援へのニーズや関心が非常に高いことがわかった。しかし実施可能な対象行為、請求できる報酬などの詳細情報不足でリスクを犯せないとの意見も多かった。また立ち上げの支援が不足で、中々進められない実態も明らかになった。
平成22~23年度の先行研究で集めた臨床研究データによれば、薬の用量変更実績や、対面診療と同等の有害事象発生率等の結果が得られていた。一方で上記研究以降、在宅患者向けに積極的な遠隔診療を実施する施設の出現は見受けられなかった。実証された臨床効果は、一般的な即時指導で、電話等再診や連携指導に相当し、在宅医療での既存の指導管理料(診療報酬)の評価が進み、新たな加算は難しい。

4.考察

在宅患者向けの遠隔医療の価値として、現状電話等再診さえ活用が十分と言えなかった。対象や手法を明確にして、普及展開することが大きな課題である。遠隔医療普及の障壁は、制度的規制よりも、手法理解や立ち上げ支援の不足の影響が大きい。ルールや事例を示せば各自が取り組めるものでは無い。継続的・組織的な普及・支援活動が欠かせない。

5.結論

電話等再診を対象とした有効な対象、安全な実施の手法を示す具体的な遠隔診療指針の必要性が明らかになった。また遠隔診療を立ち上げる組織的・継続的支援の必要性も明らかになった。今後の多施設研究にて、指針開発や支援に関する具体的情報を収集する。

6.研究スケジュール

臨床研究準備調査 平成27年4月~10月
臨床研究計画作業 平成27年11月~平成28年3月
臨床研究準備~臨床研究 平成28年4月~12月
スタディ結果の分析 平成29年1月~3月

28年度研究について

1.背景

 本研究は、テレビ電話による在宅医療での遠隔診療の価値の定量的な評価をを狙い、遠隔診療普及に重要なガイドライン作りをめざしている。エビデンス収集が診療報酬追加等に直結するとは限らないが、今後の発展のための重要なステップである。
 遠隔診療の臨床価値は、患者側医療者へのタイムリーな指示や診断による、在宅医療の質と効率の向上と考えられる。定量的に実証する多施設前向き臨床研究を現在進行中である。研究経過を報告する。

2.目的

 患者宅訪問(訪問看護等)時に、音声のみ報告による指示受け群とテレビ電話診療による群の二群に無作為振り分け・前向き多施設研究で比較評価する。

3.方法

  1. 研究デザイン
    • プライマリエンドポイント:訪問医療者からの医師への報告スタート~指示確定に要する時間
    • セカンダリエンドポイント:予定外往診・通院の回数、患者QOL、医療者および患者の満足度とする。
  2. 参加施設募集:遠隔医療従事者研修や遠隔医療学会投稿などの施設に訪問・説明して募集した。
  3. 臨床研究審査:群馬大学医学部附属病院臨床研究審査委員会で審査した。
  4. 研究登録:UMIN-CTR()およびEQ5Dに登録した。
  5. 研究開始指示:群馬大学医学部附属病院システム統合センターに事務局を置き、指示・管理・指導を続けている。
  6. 各施設の研究 : 2017年3月末日まで実施
  7. モニタリング:  現在実施中。
  8. データ収集および分析(予定)

4.参加施設

  • 秋田厚生連由利組合総合病院(秋田県由利本荘市)
  • 内田病院(群馬県沼田市)
  • 美原診療所(群馬県伊勢崎市)
  • つくばハートクリニック(茨城県つくば市)
  • 篠崎クリニック(岡山県岡山市)
  • 日南市立中部病院(宮崎県日南市)
  • 宮上病院(鹿児島県徳之島町)

群馬大学医学部附属病院臨床試験審査委員会にて研究計画が承認された。

5.結語

新たに着手する施設もある中、円滑に多施設研究をスタートできた。

29年度研究について

1.研究目的

遠隔医療推進の機運の高まりを支援すべく、既存診療行為から遠隔医療と親和性の高い診療領域を抽出し、今後解明すべきエビデンスを分析して、遠隔医療普及推進のロードマップを策定する。下記を研究目標に設定する。
・各診療行為の遠隔医療に於ける状況を示すモデル開発
・既存の有効性・安全性に関するエビデンスに関する状況の網羅的調査
・各診療行為の遠隔医療適用可能性の網羅的調査
・エビデンス不足の診療行為に関する研究デザインの方針提案
・上記をまとめた遠隔医療普及推進のロードマップ

2.研究方法 

研究データベースの検索、研究報告の精査、厚生労働統計などの精査、訪問調査等を行った。

3.研究結果

(1) 形態評価モデル開発
関係職種、指導・連携関係、機能(指導、管理、モニタリング、介入他)、有効性など18因子からなる形態モデルを考案して、診療行為調査等の尺度とした。
(2) 先行研究調査
Clinical Trial21件、RCT20件、Systematic Reviewおよびmeta-analysis13件、観察研究5件の研究を抽出した。症例報告等も収集し、救急、ICU、慢性疾患管理の地域連携、重症・難病のDtoDtoP、大規模集約的なデバイス治療など、新しい形態の遠隔医療事例も見いだした。
(3) 検討対象診療行為調査
社会医療診療行為別調査(約7400件)について、相当する遠隔診療形態を分析して、適合可能性のある約130件を抽出した。

5.考察

遠隔診療が期待されるにもかかわらず、明確な調査結果につながらない対象が少なくない。遠隔診療は従来診療行為の単なる置換ではなく、新形態への転換を伴うことも勘案して、検討対象事例抽出と研究方針のデザインを進める。

6.まとめ

2年間の研究の初年度として、先行研究と診療行為の調査を行った。対象事例の抽出を進めている。今後、検討対象事例抽出、対象事例への研究方針のデザイン,研究デザインの適切性評価,ロードマップ作成などを行う。

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