ご挨拶

Greeting from the Chairman,
“Dream for researchers!”

日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
理事長 岡野 光博

2025年4月から日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会の第3代理事長を務めさせていただいております岡野光博と申します。本学会は2020年7月に日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会と日本耳鼻咽喉科感染症エアロゾル学会の統合により誕生しました。6年目に突入した若い学会ですが、源流のひとつは1971年に設立された日本耳鼻咽喉科感染症研究会であり、50年以上の歴史を有します。原渕保明初代理事長は「10年先の進歩と発展を見据えて新たな潮流の創出」を目的として非常に多くの試みを行われました。吉崎智一第2代理事長は「いつまでも”sense of wonder“を」をスローガンに、知的好奇心から発せられるClinical & Research Questionを学術的に解決するという学会の方向性を示され発展されました。本学会は発足以来、”ホップ“”ステップ“と順調に歩んでまいりましたので、今期は”ジャンプ!“できるように努めます。

本学会は耳鼻咽喉科・頭頸部外科学のなかの、免疫・アレルギー・感染症・エアロゾル(ドラッグデリバリーシステムを含む局所療法)をターゲットにした学会です。横断的・網羅的に人が集まりディスカッションする点、臨床研究のみならず基礎研究を重視する点が特徴です。例えばタイプ2の免疫反応から耳の病気(好酸球性中耳炎)、鼻の病気(好酸球性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎)、首の病気(IgG4関連疾患)、腫瘍などを横断的・多角的に検討することで、それぞれの病気の病態理解を深めることができます。

若手に門戸を積極的に開き、未来の研究を担う人材の育成にも精力的に取り組んでいます。基礎研究者育成委員会が設置され、吉崎前理事長のご英断で35歳以下の若手会員に対する年会費を7000円に減額しました。また日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会において若手の登竜門となっていた奨励賞はそのまま継続発展しています。これは学術大会で奨励賞応募セッションを設け、十分なディスカッション時間をとって理事が選考する、いわば若手発表者と理事との真剣勝負です。是非、大学院などで研究した成果を本学会で腕試ししていただければと思います。その他の賞として、本分野において世界的にも傑出した業績を輩出したリーダーに対する特別賞、現在第一線で活躍中のエースに対する学会賞、学会誌に投稿された秀逸論文オーサーに対する優秀論文賞を設けております。

社会貢献として、各種の委員会を立ち上げ、情報を発信するようにしています。常設委員会として医用エアロゾル研究推進委員会、三学会合同抗菌薬感受性サーベイランス委員会、ICD講習会委員会があり、アドホック委員会として鼻アレルギー診療ガイドライン委員会、小児急性中耳炎診療ガイドライン委員会(日本耳科学会・小児耳鼻咽喉科学会と合同)、急性扁桃炎・咽頭炎ガイドライン委員会(日本口腔咽頭科学会と合同)、上気道感染症対策・抗菌薬適正使用検討委員会、口腔アレルギー症候群診療ガイドライン委員会、小児アレルギー性鼻炎診療の手引き作成委員会(日本鼻科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会と合同)があり、ガイドライン・手引き・指針などを発刊しております。改訂作業や英文化などを行い、社会実装をより推進いたします。

アレルギーやがんの増加、新型コロナ感染症など、耳鼻咽喉科・頭頸部外科学を取り巻く免疫・アレルギー・感染症疾患は変貌しております。本学会では世界の先端を走る基礎医学ともタイアップして最新のトレンドがキャッチアップできるように努めます。臨床が忙しく研究マインドを保つことが難しい時世となっておりますが、本学会が研究の楽しさ、新しい知見を発見する喜びを共有できる“Dream for researchers(研究者に夢を!)”を提供できる場となるように尽力いたします。