Japanese

ごあいさつ

金沢大学がん進展制御研究所・共同利用共同研究拠点シンポジウム
第3回がんと代謝研究会

謹啓
皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。

 今回、がんと代謝研究会と金沢大学がん進展制御研究所は共同で、「がん代謝」をメインテーマとしたジョイントシンポジウムを金沢市内で開催することといたしました。本シンポジウムでは、がん代謝に関する国内のトップランナーをお招きし、特別講演、特別企画、一般口演、ポスター発表など、熱い2日間にしたいと思います。
 金沢大学がん進展制御研究所は、平成23年度に、従来の呼称であった「がん研究所」を「がん進展制御研究所」と改め、がんの悪性進展機構の解明に基づき制がんを目指すという研究姿勢を明確にしました。さらに、我々は、「がんの転移・薬剤耐性に関わる先導的共同研究拠点」である金沢大学がん進展制御研究所の研究拠点機能強化により、がん進展機構の本態解明を目指す国際研究拠点形成を目指しています。がんと代謝研究会は、平成25年、がん代謝を対象としたがん研究の発展と社会への還元を目指した研究者コミュニティー形成のため組織され、慶應義塾大学鶴岡キャンパス(実行委員長:曽我朋義教授)において第1回の学術集会が開催されました。その後、東京理科大学(江角浩安教授)での第2回を経て、本回へと引き継がれています。今回は、二つの組織のコラボレーションによって、新たながん研究の方向性を探る意味深いシンポジウムになると期待しています。
 がん細胞の代謝的制御に関する研究は、近年、急速に進歩し、様々な代謝調節が、がん遺伝子やがん抑制遺伝子の異常と関連し、がんの悪性進展に深く関わることが明らかになってきました。例えば、従来、エネルギー代謝に関与すると考えられてきた酵素遺伝子(IDH)が、脳腫瘍や白血病で変異し、その結果、発がんの原因となる「オンコメタボライト」が産生されていることが知られています。これらの酵素活性を標的とした治療法も関発され、臨床的に有用性が示されるなど、がん患者の治療応用を視野にいれた開発型研究へと発展しています。がんの代謝調節は、増殖シグナルが原動力となる細胞が増える現象を支えるとともに、過酷な環境に耐える生存戦略にとっても極めて重要な意味を持ち、代謝の変化がエネルギー産生やアミノ酸、脂肪酸、核酸の代謝を超えて、エピゲノムを制御していることも明らかになってきました。このように、代謝に焦点を当てることによって、がんのしたたかさ、しぶとさの核心に迫る可能性があると考えられます。
 本会の開催によって、本邦におけるがん研究者コミュニティーの活性化に繋がることを期待しております。

謹白

シンポジウム実行委員長
金沢大学がん進展制御研究所 平尾 敦

実行委員
曽我朋義(慶應義塾大学)、江角浩安(東京理科大学)、末松誠(慶應義塾大学)、大島正伸(金沢大学)、高橋智聡(金沢大学)、源利成(金沢大学)、落合淳志(国立がん研究センター)、北林一生(国立がん研究センター)岡本康司(国立がん研究センター)、佐谷秀行(慶應義塾大学)、田沼延公(宮城県立がんセンター)、小松雅明(新潟大学)、石井秀始(大阪大学)、本橋ほづみ(東北大学)、南嶋洋司(慶應義塾大学)、田久保圭誉(慶應義塾大学/国立国際医療研究センター)、古川龍彦(鹿児島大学)